クリスマスプレゼントを探そう！　【clum】

clum @clum_memo

少し遅い朝を迎え、僕たちは買い物へ繰り出した。今日のサークルのクリスマス会に備えて、プレゼントを買い直す為だ。顔ぶれが違うのだから、昨日と同じ物でも構わないのだけど、先輩たちが熱心に選んでくれているので、黙って任せることにした。 #twnovel

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昨日のプレゼント交換はなかなか楽しかった。やっぱりこういうのって、いいよな。オレの用意したものが折館に当たり、折館のブランケットが早坂に、早坂のシクラメンの鉢植えが玲に、玲の手袋がオレに当たった。いろいろ計算通り過ぎて笑いが止まらない。 #twnovel

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僕らの後ろの方で樹さん（先輩と呼ぶべきかな？）が、笑いながらこっちを見てる。そういえば、昨日のプレゼント、喜んでもらえてよかったな。鉢植えの花なら誰に当たっても無難かなとは思ってたけど。岡本先輩でよかった。ちゃんと世話してもらえそうだから。白いシクラメン。 #twnovel

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早坂の「真綿色した」シクラメンもなかなかオレのツボを押さえてた。「出会ったときの君のよう」でな。まぁ、でも何よりも傑作なのは、オレからのプレゼントをお披露目しようとして、固まる折館だ。頑なにみんなには見せなかったしな。あれ、絶対後で玲に見せろとせがまれるぞ。 #twnovel

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岡本先輩が何かを見つけては僕に見せにくる。「これは？ あんまり可愛すぎる？ 」「こういうのだったら面白くていいんじゃないかなぁ？ 」ウケ狙いの方向に決定したのか、パーティグッズが増えてきた。近くにいる折館先輩が何故かやたらとびくびくしているのは、僕の気のせい？ #twnovel

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熱心に早坂へとプレゼントを提案していた玲が、オレの方を見た。双子のオレと同じ眼の色。しばらく会えなかった間にまたきれいになったなぁ。「そういえば、樹は昨日の手袋まだしてくれてないの？」「今日は気温高いから」…なくしたら嫌だからしてないに決まってるだろう。 #twnovel

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岡本先輩たちがふたりで話してる。「あ、昨日折館くんに当たった樹のプレゼントって結局何だったの？ 」僕もそれは気になってた。「え～、本人に聞けば？ 」「だって、教えてくれないんだもん」岡本先輩にも？ それは、余計に気になる。折館先輩はいつも必要以上に正直なのに。 #twnovel

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ははは、そうだろう。教えられないだろう。なんとなく勝った気分。少し離れたところで話を聞いていた折館と目が合う。いやぁ、感謝こそすれ、そんな諦めたような目で見ることはないだろう。まぁ、いずれ玲は中身を知るだろう。オレの妹だ。寛容に受け止めてくれるだろうよ。 #twnovel

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クリスマス当日はイブよりマシだろうとたかをくくっていたら痛い目をみた。思ったより車が混んでいる。折館先輩の車が大学に着いたのは集合時間ギリギリだった。校門から岡本先輩と二人で走る。同じ科の人とクリスマス会だそうだ。「じゃあね、早坂くん。楽しいクリスマスを！ 」 #twnovel

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早坂と玲の姿が見えなくなった。大学の所々に明かりが灯っている。みんな考えることは同じなのだろう。「樹は何も予定はないのか？ 」自分の大学の友人たちの、執拗なクリスマス会の誘いを思い出す。「オレの予定は玲だけだったからなぁ」折館の呆れたため息が聞こえる。 #twnovel

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間に合った。まだ準備中だった。先輩たちに遅刻の謝罪をし、すぐに準備に取りかかる。「お前、さっき誰かと一緒じゃなかった？ 」同じ位に来た同級生に訊かれる。見られてたかぁ。「俺らは朝から早坂がデートしてるのを見たぞ！ 」「確か2年の岡本とかいう」…うわ…。 #twnovel

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「お前のソレはいつまで続くんだろうな」おいおい、病気みたいにいうなよ。オレから妹へのこの愛を取ったら何が残ると思う！？ ただの優等生が残るよ！？ それ、つまんないし、オレじゃないでしょ？ 折館はまたため息をつきながら、カフェの駐車場に車を停めた。 #twnovel

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いや、だから、岡本先輩とは何でもないって。「朝が一緒ってことは、昨日の夜も、なのか！？ 」そりゃあ、一緒にいたけど。「お前、俺の農学部の友達、岡本さんに一目惚れで告って玉砕したんだぞ！？ 」それは他の大学に彼氏がいるから。…どれだけ言っても誤解はとけそうにない。 #twnovel

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男二人でこれって、どーなんだ。「積もる話になりそうだったから座ろうと思って」て、早速ケーキを頼み始めたよ、こいつは。昨晩、玲の手作り食べたじゃん！ 喫煙席を陣取り、取り残された男二人のクリスマス会が始まる。ま、たまにはき旧交をあたためるのも悪くはないか。終 #twnovel