FC東京はなぜ9人の清水に勝てなかったのか

あるいは、なぜ清水は負けずに済んだのか。 2012 J1 第8節 FC東京vs清水エスパルスの試合を、田邊雅之さんが考察。
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田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

昨日のFC東京VS清水戦。清水の選手の驚異的な粘りと集中力の高さ、あの状況下での高木選手のゴールを別にすると、「なぜFC東京が清水を崩せなかったのか?」がポイントになると思う。個人的に感じたのは3点。1つめはFC東京の戦術が徹底していなかった点。終盤、F東は平山を投入。(続く)

2012-04-29 20:08:30
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

その後、渡辺も投入するわけだが、平山を投入して高さでアドバンテージが生まれたにもかかわらずパワープレーはしかけず、中盤から丁寧に作ってサイドを突いてというような手法に固執した。仮にゴール前にボールを入れるにせよ、いい意味で時間をかけずにどんどんボールを放り込み、平山に(続く)

2012-04-29 20:12:02
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

ポストプレーなどをさせていたら、清水のDF陣は持ちこたえられなかったのではないかと思う。この点については記者会見で長島コーチに質問させていただいたが、コーチも判断(チームとしての意思)が徹底していなかったことを認めておられた。 http://t.co/lx8TESsd (続く)

2012-04-29 20:15:51
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

二つ目の理由は、その「ポストプレー」がキーワードになる。昨日は梶山が先発している。今季序盤のF東の好調は梶山に支えられた部分も大きいし、実際梶山は非常に充実したシーズンを送ってきていた。昨日も中盤でボールを受け、トップ下の位置でボールをさばき、そしてルーカスと並んで(続く)

2012-04-29 20:18:14
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

ゴールを狙うなど本当に精力的なプレーを見せていた。F東が4-2-3-1や4-4-2を使い分けているように見えたのはこのため。しかしこのような梶山の精力的なプレーは、反面でルーカスからスペースを奪うことにもなった。ルーカスはシングルトップでいわゆる裏に抜ける動きも(続く)

2012-04-29 20:21:32
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できるし、ゴールを狙うと見せかけておいて実はチャンスをお膳立てしたり、あるいはポスト役などをこなせることもできる。その意味である程度自由に動けるような状況にあることが重要になる。だが梶山が前に張って2トップのような形になることもあったため、逆にスペースと自由度がなくなり(続く)

2012-04-29 20:23:28
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

あまり存在感がなくなってしまった。同じような弊害は梶山と石川との関係においてもみられた。石川はF東の飛び道具であり、まさに古典的なウイングのようなスピードが魅力だが、実はゴール前に飛び出してストライカーのようにゴールを狙うこともできる。だがゴール前が込み合ってしまうと(続く)

2012-04-29 20:25:41
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

それは難しくなり、結局、ウインガーとしての役割をこなすシーンばかりが増えてしまった。その点では梶山ではなくたとえば羽生のようなフリーマン(遊撃手)が4-2-3-1の3の中央にいた川崎戦などの方が、はるかにチームとしては機能していたように思う。このあたりの人選をどうするかは(続く)

2012-04-29 20:28:31
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

相当に難しいが。3点目はウイング絡みでサイドからの崩しという問題。平山を投入した後もF東の戦術が切り替わらなかったことは先ほど述べたとおりだが、かといってそれ以前の段階でF東のサイドアタックが非常に効果的だったわけでもない。太田は闘志を燃やしていたし、清水の選手も太田と(続く)

2012-04-29 20:31:29
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

太田とさかんにやりあい、サイドからの攻撃を封じようとしていたのはご存じの通りだが、サイドで数的優位を作り深いところからえぐってクロスを上げるというF東のフォーマットは実にこなれていたにもかかわらず、本当の意味で脅威にはならなかったように思う。崩し方の問題という点で言うと(続く)

2012-04-29 20:34:22
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ジミー、アレックスを失った後、清水は当然のように自陣に押し込まれシンプルにクリアーせざるを得ない場面が続いた。クリアーした後、清水の選手たちは当然のようにラインを再び上げようと前に出てくるわけだが、実は崩す側からするとここのところが一番の狙い目になる。たとえば柔道で言うと(続く)

2012-04-29 20:36:40
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

相手が前に出てこようとして「重心」が変わりかけたときというのは、一番技をかけやすい。逆モーションを突かれた形になるからだ。だが清水がクリアーしたボールをセンターラインの手前(清水の陣営側)で拾ったF東のMFは、前に上がろうとしている清水DFの裏を突こうとするでもなく(続く)

2012-04-29 20:39:23
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

かといって平山に当てようとするわけでもなく、中盤の選手とサイドの選手をパスアンドムーブで連動しながら、丁寧に作っていくということを続けてしまった。つまりその間に清水のDF陣に体勢(姿勢)を立て直す時間を与えてしまった。これも清水を崩せなかった要因だったように思う。(続く)

2012-04-29 20:41:43
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

ただし梶山の起用同様、チームには「型」(約束事)というものがあるし、型というものなくしてチームというものは成り立たない。およそあらゆる練習のセッションはこのような「型」をマスターしていくためのパターン練習が軸になる。それはチームの別を問わない。実際F東が見せたいくつかの(続く)

2012-04-29 20:45:06
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

攻撃のバリエというものは練習の内容をきちんと反映したものだった。その意味でF東の選手は決して間違ったことをやっていたわけでないが、局面が変われば、当然、スイッチを切り替え、戦い方を変えていかなければならない。このあたりは交代カードの切り方だけでなく、指示出しという点で(続く)

2012-04-29 20:52:28
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

ベンチまで含めた対応力が問われることになるが(選手個々の自主的な判断もさりながら)、そのあたりの対応力で勝ったのが清水ということになるのではないかと思う。

2012-04-29 20:54:38
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

最後に高木選手のゴールに関して言うと、大前選手同様、今季の高木選手の充実ぶりは目を見張るし、何度となくチームを救っている。シュートチャンスという点では、事実上のファーストタッチに近かったにもかかわらず、しっかりと決めたのは見事だと思う。また高原選手の存在ももちろん大きい(続く)

2012-04-29 20:56:31
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

高原選手が入った後、明らかにF東の守備陣は以前よりも引き気味にならざるを得なかった。ただ細かなことを言うと、ゴールが決まった場面はキーパーを除いて4対2の局面だった。これは日本の解説本や指導書などではあまりきちんと触れられていない点だが、あの種のシーンでは(続く)

2012-04-29 20:59:58
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

1:まず高原と高木の間のパスコースをしっかり切る(高原に寄せきるか、高木に寄せきる、いずれか、もしくは両方の手段で)2:高木と自陣のゴールをつないだ線(スペース)をきっちり寄せて埋める、ということをF東のDFはしなければならなかった。だが実際には高木の表側でも裏側でも(続く)

2012-04-29 21:06:00
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

中間距離を取って中途半端な位置取りをしてしまった。F東のDF陣は特に前半は攻撃参加ではすばらしいプレーを見せていただけに(特に徳永&森重。太田選手についてはあえて触れませんw)、本来の職場である自陣のゴール前でのミスは悔やまれるところだと思う。

2012-04-29 21:10:21
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

試合後のアフシン(ゴトビ監督)との会話。「今日はいい試合を見せてもらいました」「この勝ちは大きいよ。ここで勝星を拾えるかどうかは運命の分かれ道になる。ジャンプアップするか中位に落ちていくかという点でね」「それにしてもよく勝ちましたね」「タカギは『持ってる』からね。(続く)

2012-04-29 21:28:24
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

試合後のアフシン(ゴトビ監督)との会話(2)「もちろん、この勝利は控えの選手まで含めてチームの選手全員、そしてスタッフ全員で勝ち取ったものだし、新旧のオーナーさんたちにとっても、そしてサポーターのみんなにとっても最高のプレゼントになったと思う」(続く)

2012-04-29 21:31:19
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

試合後のアフシン(ゴトビ監督)との会話(3)「しかしあそこでゴールが決まるとは予想外でした。9人で試合に勝ったんですから、今日の清水は10人でバルサに引き分けたチェルシーよりも、上だったってことじゃないですか?」「(大笑)。正直な話、僕も試合中2・3回心臓が止まりかけたよ」(終)

2012-04-29 21:36:34
田邊雅之 Masa. JP Columnist, Editor, Copywriter, etc. @FootballKingsX

先ほどツィートしたゴトビ監督との会話の中で「新旧のオーナーさんたち」さんとあるのは、正しくは「新旧の会長さんたち」の誤記でした。ゴトビ監督、エスパルス関係者の皆様、またサポーターの皆様に、深くお詫びするとともに、訂正させていただきます。

2012-04-29 21:49:17
えすぷれ/清水エスパルス/ブログ @ta1spulse

@FootballKingsX いつも楽しくツイート拝見させていただいております。清水目線の話になりますが、高原と俊幸の二枚同時投入は、既定通りなのか、それとも10人になったからあえてだったのか。ご存知であれば、教えていただけますでしょうか。

2012-04-29 22:04:30