塚本晋也「KOTOKO」について

塚本晋也tsukamoto_shinya @tsukamoto_shiny

確かに、見るのが怖いという方がいらっしゃるようなんですね。見ていただいても、どかんと立ち直れないと言う方もいらっしゃいます。でも、３日後、また見たい、とおっしゃいます。不安や恐怖には一回浸かって共振していただいた方が、のちの新しい蘇生への底力と爆発力が持てるんじゃないでしょうか。

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１。琴子は、自分の子供を守るのに必死です。お母さんはみんなそうです。子供を守るためには普通でも過剰反応します。が、琴子はさらに暴力が怖いのです。ひとつだけヒントを言いますと、琴子は過去に暴力を受けています。

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２。それ以来いい人を見てももう一人悪い人が同時に見え、悪い人が襲いかかってきて琴子をいっきに一番恐ろしい過去に引き戻します。この暴力から自分を守らねばなりませんし、子供がいたらさらに神経過敏になるのはなおさらです。この暴力のイメージは、戦争のイメージまで拡大します。

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３。この映画では暴力描写は手加減しません。皆さんが絶望するのは、この戦争を体験するからです。戦争状態になったら、折り合いのつくハッピーエンドはあり得ません。その絶望を描いています。それでははなぜ皆さんがこの映画を宝物に思っていただけるか。

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４。それは、子供の世代が育っていく望み、希望を描いているからです。安心できる希望ではありません。深い絶望に中にあるかすかな、でも確かな光です。その光をつぶさないように、考えて行かねばなりません。