ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/05/14 (ついのべの日！)

ろばたにスエノ🦀 @robatani

宇宙港の酒場では、旅人達が故郷の空を語る習慣がある。「薄い琥珀を何枚も重ねた夕映え」「紫の夜には若草色の雲が広がるの」「鏡砂に映える火の色で、晴天の日は地も空も燃えるよう」そして彼らはまだ見ぬ異星の空に憧れを抱きながら、皆の故郷に、と乾杯をする。#twnovel #twnvday

(朝斗)外部避難中 @Asatoiro

天使じゃないかってずっと疑ってた。そう告げると君は、何をばかみたいなこと、と笑い返した。そうだよね、誤魔化すように手を取る。そうよ。その間にも爪先が大地を離れて、その背中に白い羽が生える。だから二度と逢えないなんてないの。今にも泣きだしそうな綺麗な微笑みだった。 #twnovel

リオ @urufffayn

手を引かれてタラップを下りる。朝なのに、眠くてたまらない。「あなたは夜の国から来たのね。」目を開けると背の高い女の人。知らない言葉に首をかしげる。彼女はオレンジをくるんと回して、教えてくれた。空がつながっているの。また一機、飛行機が飛び立った。#twnovel #twnvday

五郎 @makimura_goro

#twnovel 木にぶら下がった青年に僕は問う「何故死にたもうた」。青年は僕を凝視して言う「世界と自分に絶望せり」。木々のざわめき。青年の言葉は僕の心が発したのかも知れない。地に落ちた青年の眼球を僕は拾い上げる。僕は巨大な烏となり青年と共に夜に上ろう。月に蒼く照らされながら。

せにょおる☆ @z3senor

#twnovel バンドマン達に業を煮やした政府は節電と言う大義名分で電気楽器禁止法を制定。新風営法の成立に依りライブハウスは営業禁止に。公園やストリートでの演奏ブーム到来もアコ楽器の売買はECO法により禁止。折りしも空前絶後のアカペラブーム到来に東京都は歌声迷惑防止条例を発表。

らし @rashi_catwillow

#twnovel 夜明け前、クジラは前世の事を思い出した。そうだおれはテープレコーダーだった！若い海の男が、港に残した妻に宛てて沢山の歌を吹きこんだ。記憶を辿ってクジラは唄う。魚たちが踊りだす。波間に跳ねる陽気な愛のメロディー。遠く離れた港町では年老いた未亡人が寝息をたてている。

日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber（HUB） @hyuugahikage

#twnovel #twnvday 空にも人がすんでいる。我々と同じように建物があり、社会があり、文明があるのだ。間違ってる？空は青く雲しかない？それは宇宙だ。お前たち空人がなんて呼ぶかは知らないが、我々大地の中に住む人類は地を掘り進め土を掘り尽くした先を空と呼ぶのだ。

すわぞ @suwazo

#twnovel #twnvday 城門の内側は空っぽだった。広場も花壇も空っぽだった。城の中も空っぽだった。客間もホールも空っぽだった。武器庫も食堂も廊下も書棚も額縁も宝石箱も空っぽだった。玉座だけは空っぽではなかった。けれど玉座に座る骸のしゃれこうべはやはり空っぽなのだった。

とおる7th @windcreator

#twnovel 空っぽだ。僕は空っぽだ。将来の夢は無い。やりたいことは無い。趣味は無い。好きな歌は無い。恋人も好きな人もいない。こだわりが無い。流されるままに、求められるがままに、行き当たりばったりに、僕はここにいる。「それじゃあ、目一杯、詰め込んであげる！」 #twnvday

23時の夢物語 @23novel

空から恋石が落ちて来た。 #twnvday パリンと散った欠片を知らんぷりする人ゴミの中、スーツ姿の男性が苦々しい顔でコンビニに入って行き、掃除用具を手に片付けた。可燃か不燃かで悩む背中があまりに可愛かったので、思わず「その欠片、私に下さい」と言ってしまった。 #twnovel

とおる7th @windcreator

#twnovel 空っぽの男を拾った。頭はいいようでいて、ヤル気も根気も意志も無い。私みたいな頭の中が爆発しそうな馬鹿とは正反対のお利口さん。「それじゃあ、目一杯、詰め込んであげる！」新入社員は指導員に逆らえない。空色より気まぐれな私を、空っぽの頭に叩きつける。 #twnvday

エイジ @ei_hito

お料理に洗濯に掃除と、お母さんはいつも頑張っている。いつか私もお母さんのようになれるかな？ 「お母さんはプロの主婦だから」お母さんはそう言った。私は首をひねった。横で聞いていたお父さんは「お父さんはプロのサラリーマンだ」と言った。私はプロの小学生になろうと思った。#twnovel

ゆえ @sakuyue

空から恋石が落ちて来た。 #twnvday 興味ないし恋なんてしたくないから今日は一日家に引きこもってやる、って思ってたのに。窓の外、ダンボールの中で震える子猫と目が合ってしまった。あああもう。子猫を抱き上げた時、男の子と目が合う。この胸の高まりはなんだろう。 #twnovel

秋月蓮華 @akirenge

空から恋石が落ちて来た。これを取れば彼女との片思いが終わり両思いになると彼は手を伸ばす。しかし誰かが掴んだ。「取れたっ、とこれは何？」彼女が言う。彼は戸惑いながら説明する。「両思いになりたい相手が居るんだ。誰？」聞かれた。彼は、大いに困った。 #twnvday #twnovel

min @37a_

#twnovel 花が落としていった種は、小鳥のお節介で高台に運ばれた。種は戸惑いながら、根を伸ばす。空の涙に濡れながら、芽を出して空に近付く。そのうち、花の面影ある蕾がぷっくり顔を出した。それは、空がにっこり笑った日のこと。見届けた種はひっそりと土に還った。 #twnvday

あまたす @amatasu

朝起きてまずするのは、スマホで天気のチェックです。「本日、東京の空模様は小花柄になるでしょう。王道ガーリーが通勤電車内の６０パーセントを占める見込みです」空模様がわからないと、何を着ればいいかわかりませんからね。空模様とさえコーデしてこその女子力だと思ってます。 #twnovel

ゆえ @sakuyue

空から恋石が落ちて来た。 #twnvday 拾ってお守りにすると恋が叶うという。けれど落ちてくる数が少ないので予報アプリは大人気だし、落下予測地点はいつも大賑わい。他人の恋愛さえ商売にしてしまうんだから人間って強いよね。縁結びのキューピッドは溜息混じりにボヤく。 #twnovel

とおる7th @windcreator

空から恋石が落ちて来た。 #twnvday 空っぽだった男が拾い上げる。「夢みたいに綺麗な石ですね」空色の女が答える。「恋石はね、恋する者にだけ見える幻なのさ」「僕が恋だなんて、変です」「もう遅い」女は懐からもう一つの恋石を取り出す。「交換するのが"お約束"さ」 #twnovel

“さ(*´く｀)ら”たん @sacra_d15

#twnovel 空から恋石が落ちてきた。なんの変哲もない形だが、「恋」と下手くそな字が書かれていた。しばし立ち止まり無言で考える。上を見上げると赤い顔してそっぽを向く幼馴染。自分が投げた恋石が好きな人に拾われると恋が実るおまじない。これ、拾っていいのかしら。#twnvday

夢名 七志 @mumei7c

熱っぽい雰囲気はあった。気が付くと何時の間にか目的地にいたり。その間の記憶が無い。最初はそんな感じだったけど、クシャミをすると飛ぶ。今日咳をしたら明日。昨日から明日。どんどん酷くなって、まさか薬があるとはね。でも、効くのか。『時をかける症状』に！ラベンダー風味。 #twnovel

ゆえ @sakuyue

僕は空色の宝石を握りしめて生まれた。母はよく「空の神様からの贈り物」と言っていたけど、僕は話半分に聞いていた。でも、海色の宝石を持った君と出会ってからは信じてもいいかな、と思ったよ。むかしむかし、空の神様は海の女神様に恋をしたらしい。 #twnvday #twnovel

layback @laybacks

空から恋石が落ちてきた。 #twnvday 右翼手の僕はそれを察知してキャッチする。グラブの中の石が冷めないうちにスタンドに投げ込む。試合に夢中の観客は誰も気づかない。石を一つ投げ込めば一つ出会いが生まれ、そして幸せそうな笑顔が二つばかり増える。ただそれだけだ。 #twnovel