- takara_1000
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たぎりましたがとにかく。静馬君のあのシーンにおける珠世と結婚は、相続の条件でしかありません。そして佐清の地位というのも、相続の条件です。彼の目的は犬神家を手に入れること。その一点です。
2012-05-08 13:38:45ここで面白いのが、静馬君が佐清をかたった時点では佐兵衛は生きていたということ。さらにその前まで、静馬君は相続の条件である珠世ちゃんに言い寄っていないということ。わかるかね、ワトソン君。
2012-05-08 13:40:04この前提条件はむしろ、問い詰められておろおろした静馬君にこそ通じます。性格の方向性が一致しているのです。なのにその方向は、殺人を目撃した直後に一変します。いきなり冷徹な復讐者です。ここ重要。
2012-05-08 13:42:04それに対し佐清の性格は、使用前と使用後に大した差がありません。つまり興味深いことに、松子による佐武殺害は、佐清よりも静馬君に、より強い影響を与えているのです。
2012-05-08 13:44:58けれど当然、佐武や松子との佐清、静馬君の距離を考えると、よりショックを受けたのは佐清のはずです。しかし実際には、静馬君の方が性格が変わるほどのショックを受けています。しかもその後の描写は、まるでハイのようです。
2012-05-08 13:46:40その後の佐清への脅し、入れ替わりの提案、佐清が顔を隠していたことへの喜びよう、首を落とし人形と入れ替えるという発想と行動。これらはどれも、他のシーンに見られる静馬君の性格に、どうもうまく符合しません。
2012-05-08 13:48:42佐智は琴糸で縛り付けただけのあたりも、死体への扱いにあまりに差があります。さらに珠世ちゃんを襲ったとされているシーンも、帰ってきてしまった珠世ちゃんから逃げただけと見ると、やはり暴力性が符合しません。どうもしっくりこない。
2012-05-08 13:50:33この時の異様な様子が全編通しているなら、それも性格と納得できます。でもここだけなんです。ここだけ、どうも他から読み取れる人物像と合致しない。それはこの時静馬君が、ハイだからではないでしょうか?
2012-05-08 13:51:59つまり松子による佐武殺害がショック過ぎて、ハイになってしまっているんです。破れかぶれに近いハイです。それにしては冷静に保身をしていると見えるかもしれませんが、それは違います。犯罪に対する保身は、自身の倫理への踏み付けです。
2012-05-08 13:54:21静馬君にまっとうな倫理感のあったことは、姪と結婚できなかったことによくよく表れています。倫理感というのはその人が指針にしているものであり、それに反した行動を取ることは大きなストレスです。精神を蝕む負担です。
2012-05-08 13:56:45よって通常の倫理感を持っていた静馬君にとって、死体の首を落とすという犯罪を行うこと、佐清が生きていると知りながら佐清の地位を奪うことは、実際は自分の心を蝕む行為なのです。つまり、精神的自棄行為です。
2012-05-08 13:58:57あのシーンにおいて静馬君は、ぼろぼろの精神にさらに強いショックを受けたため、自暴自棄になって破れかぶれに、坂を転がり落ちる石のように、自分を蝕む犯罪行為へと走っていっているのです。
2012-05-08 14:00:29