月火水木金土日――”萌曜日”

とおる6th @windcreator

火曜日「年が明けて、年度が変わって、半年もとうに過ぎて、8月。そしてもう10日。ねぇ、わかる？ 時間は誰のためにも立ち止まらないのよ。とっくに立秋も過ぎて、気づかないうちに風が冷えていく。だから、今日を後悔してる暇は無いの。べ、べつにあんたのことを心配なんてしてないんだからね？」

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水曜日「そうね、私は言葉に対して敬意を持ってる。その言葉が綴られるために費やされた時間に、その人がその言葉を紡ぐまでに積み上げた人生と経験に。だから、誰かから学んだ言葉ならその名を添えたい。誰の言葉かわからないならばその旨を示す。それは私なりの敬意であって私の誇りを守ることなの」

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木曜日「ランナーズハイって言葉知っとる？ そうそう、なんでもかんでもハイハイって答え……ってちゃうわー！ 走ることに夢中になって“今なら誰もうちの走りを止められへんで”っちゅう気分のことやん。土砂降りでも笑いながら走れる、あれや。そんな時でも“頑張れ”って声は、うちまで届くんよ」

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金曜日「13日なんて、かんけーなーい！ 仏滅なんてもーまーんたーい！ 私たちはお酒を飲むことで、今日の楽しさを無限大に出来るのさ！ ほらほら、飲んで飲んで！ 夏はビールに限るんだょ！ 私は日本酒だけどネ♪ ほらほら明日もお祭りだからさ、ノリと勢いで突っ走ろうょ！ ノンストップ！」

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土曜日「まぁ、もう昨日なのですけれど。日曜日さんもまだ爆睡してますから、ね。それにしても、お祭りの前後というのは独特の空気がありますわよね。時間の感覚が麻痺して、睡眠を忘れやすく、食事もその場のノリになるような、そういった形の無い空気が。呼吸せずにはいられない不思議な空気ですの」

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火曜日「暑くても、だるくても、よく食べてよく飲んでよく休みなさい。日曜日の元気娘は、遊びすぎて典型的な熱中症だったんだから。木曜日には以前言ったけど、水だけでなくスポドリと梅干で塩分とらないとダメよ？ べ、別に心配なわけじゃなくて、倒れた世話をするのが嫌だから！　勘違いしないで」

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水曜日「たとえば、しおりを挟むと物語の時間はそこで止まるわよね？ もしそのまま永久に開くことがなければ、物語は死んでしまうわ。だから私は、しおりは三本しか持たないって決めたの。読み終えるか、途中で読み止めるか。どちらにしろ私は、三本のしおりを頼りに本を読むの。それが私の読書なの」

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木曜日「うちもな、ファッションとか興味あるんよ。ただな、頭ん中に『ヒール高いと走れへんなぁ』とか『この服買うお金あったら、トレーニング用の靴を買えるなぁ』とか思ってまうんよ。そんで結局、それを選ばずにはいられへん。だって試合でうちより速くゴールする人がおったら、絶対思い出すやん」

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金曜日「私はね、金曜日には策士でいるべきだと思うの。つまりね、金曜日の行動で土日の自分が決まってしまうと、そう思うんだょー。だって、お父さんが山に連れて行ってくれるときは、いつも金曜日は準備で出発の日だったからねぇー。でもね、計画を立てるのは簡単だけど、その通りに動くは難しいの」

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たとえば僕が今から細々と曜日擬人化ツイートシリーズ”萌曜日”のお嬢口調である『土曜日』を投稿したとして、「夏休み特有の曜日感覚が狂う演出である」と言ったら何人が信じてくれるだろうか。――もちろん、後付けである。

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土曜日「実際のところ、今日は月曜日ですのね。えぇ、本当に。わたくしとしては、きちんと土曜日に土曜日として土曜日らしくありたいと、そう願っておりますの。春夏秋冬つつがなく。常に揺るがぬ己でありたいと、そう思い行動し続けることこそが、わたくしがわたくしである意味であり、理由ですので」

とおる6th @windcreator

「最近、萌曜日とか言っておいてチョー狂いまくってませんか？」「今朝方だもんね、水木金投稿したの」「そういう中途半端なのはどうなんでしょうか」「え、だめ？」「だめとかいいとかじゃなくて！」「ノー？」「日本語とか英語の違いじゃなくて！」「要領を得ないなぁ」「私の台詞です！」