男が結婚に至るまで

壱子 @borboros

6月3日今日この日、いったい何年目になるんだろう。最初にネットでプロポーズの日と知った時は興奮で眠れなかった。次の日には夜景が絶景の高級フレンチを予約して、虎徹さんが似合いそうなシンプルな指輪を注文して、スーツを新調した。

壱子 @borboros

当日まで虎徹さんに内緒にするのが大変なくらい顔が緩みっぱなし。当日には真っ赤なバラの花束を買った。花言葉は真実の愛、貴方への気持ちにぴったりだ。完璧なプロポーズのはずだった…はずだったのに…貴方の返事はまさかのNO。「悪い、バニーちゃんと結婚する気今はないから…」

壱子 @borboros

あれから"今はない"が"今はある"にならないか期待して6月3日懲りずにプロポーズをして数年。「でも…今日は流石に出来ないかもな…」白いネクタイを締めて、ため息。

壱子 @borboros

楓ちゃんの結婚式にこんな憂鬱な気持ちになってはいけない。今日チャンスが無くてもまた来年があるじゃないか。「バニー、準備出来たか？行くぞ」「はい、虎徹さん。今行きます」

壱子 @borboros

今日はプロポーズの日なんだと。バニーが何年か前ネットで調べて教えてくれた。いや、6月3日それを実行してくれた。こんなおじさんに、一流モデル顔負けのハンサムがバラの花束抱えて、シンプルだけども高そうな指輪用意してプロポーズ。

壱子 @borboros

女なら泣いて喜ぶシチュエーションだよなって思ったら何だか申し訳なくなった。俺には楓がいるけど、この先こいつには血の繋がった子供抱かせてやれねぇんだな、こんなおじさんと結婚しちまったらさ。

壱子 @borboros

そう思うとYESなんて言えるはずがなかった。きっとそのうち、こんなおじさんに何で恋してたんだろうって思う日が来る。でも俺はずるい男なんだ。そう思っててもバニーをどこかで手放したくないとも思ってる。

壱子 @borboros

俺の幸せには楓は勿論だけども、そこにバニーもいる。だから"今はない"なんて曖昧な言葉を使った。それから6月3日はバニーが俺にプロポーズする日になった。

壱子 @borboros

6月3日とうとう楓の結婚式になってしまった。断固反対するつもりだったのに、「お父さんに似てるでしょ」なんて幸せそうに笑われたら反対なんて出来なかった。

壱子 @borboros

楓のウェディングドレスを遠目に涙を滲ませていると、隣から真っ白なハンカチが差し出された。「虎徹さん、これで涙拭いて下さい」あぁこいつと今日で何日隣にいるのかな。俺の幸せにはこいつしか居なくなってしまった。楓は俺の幸せから新しい幸せに旅立ったのだから。

壱子 @borboros

あぁ神様、懺悔します。俺、もうこいつを手放す気にはなれません。その代わりこいつを幸せにします。こいつを下さい。「バニーちゃん…あの言葉言ってくれねぇの？」「何をですか？」「6月3日恒例の…」「………それって…」「今ならYESかも…よ？」

壱子 @borboros

私ね炎牛はセックスレスなのがいいの。で、気持ち的には炎→牛→虎！炎「ほんと、バカな男が好きなんだから…」牛「お互い様だろ？」

壱子 @borboros

でさ炎牛の話の続きなんだけどさ。牛からの愛の言葉なんてないけど、炎は一緒にいてくれるだけで幸せでさ。ほんと何でこんな男好きなんだか…って思ってさ。でも好きなのさ。

壱子 @borboros

でさ兎虎がすったもんだあってとうとう結婚って事になってさ、勿論炎牛は呼ばれるよね。その結婚式でさ炎は牛がめっちゃ落ち込んでるだろうと思って優しくするんだ。

壱子 @borboros

炎「あーあ、とうとう行っちゃったわね、あの二人。……ねぇ…泣いてるの？」牛「泣いてねぇよ」炎「泣いていいのよ。私の胸で」牛「固てぇだろ」炎「ほんと可愛くない男」牛「…………なぁ」炎「何？」牛「一回しか言わねぇぞ」炎「だから何？」牛「…俺はな…ちゃんとお前の事愛してるぞ」

壱子 @borboros

炎「………。………お前の事"も"愛してるじゃない事に褒めてあげるわ」牛「泣くなよ、モゥ…」炎「泣いてないわよ！」炎号泣！こんな感じなのがいいの炎牛

壱子 @borboros

牛さんは学生時代に虎さんと出会って、惚れて、恋して、悪い虫つかないように大切にしてきたのに、ぱっと出てきた友恵さんに捕られて(虎徹さんは友恵に一目惚れだといい)、でもまぁあいつが選んだ奴だからって身を引いたのに、友恵さん亡くなって、心配だから虎さんに付きっきりで、

壱子 @borboros

もう恋なんてしないなんて言うこいつを次こそは俺が幸せにしようって決心したとこに兎さん出てきて、嫌な予感してるうちに兎さんに捕られて、あれよあれよしてるうちに「アントニオ…俺再婚するな。バニーと////」って言われちゃって、でも懲りずに好きなんですよね！

壱子 @borboros

炎の恋はね…最初はほんとこの男むさ苦しい。とか牛の事思ってたのだけどね。何かいつも静かで暗いし、でもお姉さん気質の炎はぼっちの牛が気になって観察してたらね、虎ばっか見てる牛に気づいてね「あ、こいつタイガーの事好きなのね」ふふんって無口な男の秘密知ったみたいで嬉しくなって

壱子 @borboros

ちょいちょいちょっかいかけるのね。「あんたタイガーの事好きなんでしょ？」って。そのうち恋の相談とかされちゃって、虎の事真剣に考えて愛してる姿にいつしか男らしさっつーの感じちゃって、段々牛に惹かれていくの。思い立ったら吉日「私、あんたに惚れたわ」ってはっきり告るね！牛きょととん。