進化するメディアの地平で揺らぎながらも地位を保持するテレビ

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

先日、日経エレクトロニクス主催の「スマートTVサミット2012」でパネルディスカッションを行った。メンバーは東芝の片岡秀夫さん、NTTぷららの永田勝美さん、ACCESSの石黒邦宏さん、と私。その中の石黒さんの発言が面白かった。#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

石黒さんはあらゆるメディアをインターネットに統合するために何十年も仕事してきた。結果として、新聞や雑誌といった印刷メディアや、ラジオを中心とした音声メディア、しそしてビデオパッケージを中心とした映像メディアもほとんど取り込むことができたと言う。#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

しかし、テレビだけがインターネットに取り込めない。テレビは衰退するどころか、アメリカでの例を見るとむしろ発展している。結局テレビだけは無理なんじゃないか、という話。これに関連して先月の『ニューヨークタイムズ』の記事を要約しておく。#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

タイトルは「進化するメディアの地平で揺らぎながらも地位を保持するテレビ」。広告メディアとしてのテレビは問題を抱えている。多くの番組の視聴率が低迷し、DVRの使用が増加し、求める若年層へのリーチが届かずディッシュ・ネットワークはＣＭスキップ機能まで付けてきている。#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

アナリストのブライアン・ウィーザーは言う「テレビは最悪の広告メディアの形だ。我々が試した他の全てのメディアを除けば。」これは1947年のウィンストン・チャーチルが民主主義について語った言葉「民主主義は最悪の政府の形だ。我々が試した他のすべての体制を除けば」のもじり。#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

消費者は他のどのメディアよりもテレビを見ている。テレビ広告は、競合他社とのブランドの差別化に最も寄与する。2011年のアメリカのテレビ広告収入は前年より5％増加して718億ドルに達し、史上最高だった。「テレビの死」は明らかに誇張された表現だった。#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

ただし、ここで言う「テレビ」は数十年前の「テレビ」とは定義が違う。白人用のネットワークのプライムタイムだけ見れば、確かにアメリカのテレビは衰退している。今の「テレビ」は、スペイン語チャンネルやケーブルチャンネルを含み、さらに様々な形態を持つより広い概念だ。#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

テクノロジーの進化は、DVRにしてもオンデマンドにしてもむしろテレビにプラスに働いた。時間的制約がなくなり、スマートフォンやタブレットで場所的制約もなくなった。タイムワーナー・ケーブルのグレン・ブリットは言う「私にとってスクリーンがついたものは全部テレビだ。」#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

そして、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアが、特にスポーツやリアリティショウにおいて、リアルタイム、特に生番組の視聴を後押ししている。これを知ったFOXは、カレッジ・フットボールやNASCARなど、スポーツのライブ編成の割合を増やした。#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

SMGエクスチェンジのジョン・ムジンスキーは言う「確かにテレビ視聴のスタイルは変わった。しかし人々が『テレビは死んだ』と言う時、彼らはテレビのパワーを忘れている。テレビの時代は終わっていない。終わりに近づいてさえいない。」#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

ターゲットキャストTCMのスティーブン・ファレラは言う「確かにテレビだけでは足りない。ネットでの動画視聴も強い選択肢になってきている。しかしそれはテレビを補完するものであって、とってかわるものではない。」#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

ホライズン・メディアのブラッド・アドゲイトは言う「人気番組の視聴者数が落ちてきたと言っても、Youtubeのチャンネルを100束ねても敵わない。テレビはインフラであり、置き換えられない。」#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

特に流通、映画、ファーストフード、自動車業界。そして、グーグルやマイクロソフトやアマゾンやアップルまでもがテレビメディアを使って広告している。ウィーザー「全米展開する寡占企業においては、テレビ広告はむしろ伸びる。ウェブ広告がシェアを奪うのは印刷媒体なのだ。」#NOTTV

小牧 次郎 @mmbi_JIROKOMAKI

さて、NOTTVは従来の地上波無料広告型ビジネスモデルのメディアとしての「テレビ」ではない。しかし、ここで言う広い定義にしたがえば「テレビ」だと思う。将来的にもインターネットに取り込まれないのかどうかは、まあ、我々次第ということになる。#NOTTV