中所 宜夫‏@show3418さんの北上能楽らいぶのまとめ

6月3日の北上能楽らいぶのまとめです。今年は和合亮一さんがゲスト。
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中所 宜夫 @show3418

北上能楽らいぶのまとめ。毎年6月の第1日曜に行っている慶昌寺の花まつり能楽らいぶですが、今年は和合亮一さんをゲストにお招きしました。昨年はその状況にも関わらず、ご住職のたっての希望で『光の素足』をしましたが、その流れを受けての今年の企画となりました。(続)

2012-06-04 09:23:40
中所 宜夫 @show3418

(続)和合さんは以前からお付き合いがあり、震災後のツイッターでの投稿もいち早く見届け、無事を喜びました。震災後の状況の中で、能にしか出来ない事を自分なりに探って行く中、『詩の礫』を能に作る事は当然考えられる選択肢の一つです。

2012-06-04 09:37:40
中所 宜夫 @show3418

(続)しかし多くの音楽関係の方がアプローチしてゆく中、私はなかなかそれを満足出来る形で作品化する事が出来ませんでした。今回はらいぶという場を得る事が出来ましたので、取り敢えずそれをコラボという形で実現しようと思いました。

2012-06-04 09:49:44
中所 宜夫 @show3418

(続)コラボと言っても、お互いが筋書きに合わせて交互に演じるようなものではなく、謡いと朗読が即興的に同時進行してゆくものです。和合さんも最初はこのやり方に戸惑われたようですし、言葉の意味を捉えようとした多くのお客様も同様の困惑があったようです。

2012-06-04 09:55:26
中所 宜夫 @show3418

(続)しかし能は音節に依らずもっと直接に意味を届けようとする部分があり、その波動なり気の流れなりを、和合さんの朗読と交歓することで、他の方法では不可能な何かを表現出来るのではないかと思いました。

2012-06-04 10:25:50
中所 宜夫 @show3418

(続)前半は『詩の礫』の中でも最も危機感に富む最初の5日間からの言葉を中心に私が再構成した謡いに、同時期のツイートからランダムに選んだ断片を、和合さんが朗読。

2012-06-04 10:48:09
中所 宜夫 @show3418

(続)後半は前日の2日の朝にフェイスブックに投稿された詩と、安冨歩さんの『生きるための論語』から「怒りを遷さず」の部分のモチーフとを、組合せて曲にしたものに、和合さんが同じように朗読を重ねました。最初に泣かされました、というお客様も多く、概ね意図したことは実現したと思います。

2012-06-04 10:55:43
中所 宜夫 @show3418

(続)和合さんとのコラボのもう一つの狙いは、和合さんに能の感覚を体感してもらいたかったことです。狙いと言うと傲慢に聞こえますが、終わった後のトークの中でお話しされているのを聞いていて、ああ自分はこういうことを知って欲しかったのだ、と後から分かった感じです。

2012-06-04 11:27:49
中所 宜夫 @show3418

(続)和合さんのコラボの次は、古典の作品から『殺生石』を短くして演じました。かねてからこの曲に出てくる玉藻の前が、放射性物質の比喩のように感じていたのですが、萩尾望都さんの『なのはな』に納められたプルート夫人などを見ると益々その感を強くしました。

2012-06-04 11:35:14
中所 宜夫 @show3418

(続)『殺生石』の玉藻の前は、インド・中国から日本に渡り、鳥羽院の御代に玉藻の前として朝廷に災いを齎しました。朝廷から追い払われた悪魂は、那須野の石となって近づく生き物を害していました。これを玄翁道人が供養して鎮める、というのが能のお話です。鳥羽院から玄翁まで二百年位です。

2012-06-04 11:46:53
中所 宜夫 @show3418

(続)以前は、二百年なんてなるほど昔話ならでは、と思っていましたが、今となってはそんな簡単に鎮められるわけはないなあ、と思ってしまいます。

2012-06-04 11:54:28
中所 宜夫 @show3418

(続)らいぶの最後は、ツイッターで河津聖恵さんが紹介してくれた石牟礼道子さんの『花を奉る』を能仕立てにした『花奉』でした。これは原詩をほぼそのまま節付けしたものですが、まるで夢幻能の後場のような仕上がりになりました。

2012-06-04 11:59:13
中所 宜夫 @show3418

(続)『花奉』は、「今」とにかく「花」を捧げて祈るという行為の中に、生きる希望を見出そうとする作品で、これをもとに一曲の能が創作出来るのではないかと、模索中の作品です。お客様からも高く評価されて、是非これを能にして下さい、との言葉を頂きました。

2012-06-04 12:03:43
中所 宜夫 @show3418

(続)曲舞『雨ニモ負ケズ』を発表した時にも同様の言葉を頂き、後の能『光の素足』に繋がりました。この先どの位の月日がかかるか分かりませんが、『花奉』もいつか能にしたいと思っていましたが、その確かな手ごたえを得る事が出来ました。以上、昨日のらいぶのまとめを終わります。

2012-06-04 12:09:31