若木民喜「神のみぞ知るセカイ」FLAG189「初めて恋をした記憶」感想
#kaminomi #神のみ 。FLAG189「初めて恋をした記憶」。週間少年サンデー26号掲載分。今回のタイトルは、アニメFLAG7.0の劇中歌、そして、ちひろたちのバンド2B PENCILSが舞校祭で歌う「初めて恋をした記憶」。ヴォーカルは小阪ちひろ(声、阿澄佳奈)。
2012-06-06 21:14:24#kaminomi 前回の「It's All Right」に続いて、ちひろの歌。この女神編のなか、物語の中心にいる桂馬を除けば、一番厳しく事態に翻弄されたのはちひろじゃなかろうか?
2012-06-06 21:14:58#kaminomi (かのんちゃんはフィオーレに殺されかけたから、「大変な目にあった」というだけなら、かのんちゃんだろうけど。あと、ひでー尋問されたハクア、とか。)
2012-06-06 21:15:10#kaminomi 女神編ラスト2話において、ちひろがらみの歌からタイトルがとられ、ちひろの行動に、心情にスポットが当たり、物語のトリを務めることになったのは、しごくしっくりしたもののように思う。
2012-06-06 21:15:26#kaminomi 細かいところにもいろいろ感想はあるのだけど、自分的にでっかい2点である、ステージ上のちひろと、桂馬の告悔にしぼる。
2012-06-06 21:15:45#kaminomi 女神たちがちひろの歌を聴いている。自分たちが窮地をしのいだ。その一助となったろう少女とともに歌う(かのん。ともに演奏するバンドメンバーの歩美と結も、ここに入れておく)。その歌を聴く(月夜、栞、天理)。それはきっと感謝のかたち、なのだろう。
2012-06-06 21:16:51#kaminomi ただ、とうの少女ちひろにとってみれば、自分が初めて好きになった男の子が求めた「何か」を持った別の少女たちの姿を見ることでもある。
2012-06-06 21:17:10#kaminomi 自分が持ち得なかったものを持っている。そして自分が決別しなければならない想い(桂馬への恋)を胸に抱いて、照明を受け輝く翼とともに、その気持ちをきらめかせている。彼女たちの姿を見る、ちひろの表情は泣きだしそうだ。
2012-06-06 21:18:45#kaminomi けれども、その姿を見てもくさることなく、哀しみもなにもかもをぶつけて力の限り歌う。最初に、桂馬が駆け魂からちひろを救ったときに、その強さは彼女のなかに芽吹いたんだろう(だから心の隙間が埋まって駆け魂が出て行った)。
2012-06-06 21:19:34#kaminomi 「いつでも僕が助けてやる」。かつての言葉を履行できず、それどころか、ちひろを痛めつけ哀しませている桂馬だけれども、ちひろが今ここで自身を救う力を得るきっかけを与えたのも桂馬なわけだ。いろいろ悲しくねじれているね。
2012-06-06 21:20:16#kaminomi 歌い終わって、涙をこぼすちひろの姿には、ああ、きれいだな、と、そして、すぐには無理かもしれないけど、この子は前を向いて歩いていけるんだろうな、と思った。
2012-06-06 21:21:21#kaminomi 転じて、桂馬。桂馬は女神をすべて見つけ出し、当面の危機を乗り越えたことで、目的のために不要と切り捨てたものと向かい合う。
2012-06-06 21:21:38#kaminomi 自分の振る舞いを顧みて、初めて後悔の涙をながす(これまでも涙ぐんだりしたことはあったかも知れないが、読者に見えるかたちで泣いたのは今回が初めてだろう)。
2012-06-06 21:21:48#kaminomi 駆け魂が宿っている女性は、精神的に弱くなっているから、恋や何かにすがりやすい状態になるようだ(五位堂結編で駆け魂が宿主に及ぼす影響を知った桂馬の言より類推)。
2012-06-06 21:22:04#kaminomi 一時、ちひろも駆け魂に捕らわれていた。でも、今度のちひろの想いは駆け魂とは関係なかった。素のままで自分に恋した少女。その記憶のなかに、自分が発したひどい言葉が忘れられることなく、ずっと在る。
2012-06-06 21:22:26#kaminomi ちひろは、さまざまなできごとから、桂馬の言葉にも事情があったのではないか?と、いくらかは察しているかもしれないけど、拒絶の言葉を浴びせられたときは、何も知らなかった。どれだけの傷を負ったろう?
2012-06-06 21:22:37#kaminomi それに、あのひどい言葉が、桂馬の心情そのままじゃなかったとしても、桂馬はちひろを求めてはいない。その事実は変わらない。
2012-06-06 21:22:45#kaminomi 桂馬は、これ以上、事情を告げることはできない。女神もそろい、かつての駆け魂持ちの女性たちが狙われることもなくなった(たぶん)。そこに、わざわざ自分たちの事情に引きずり込むようなことは言えない。だから、本人に直接謝ることすらできない。
2012-06-06 21:23:00#kaminomi ちひろに想いを打ち明けられたとき、自分の想定外のできごとにうろたえとまどっていたけれども、素直に想いをぶつけられたことそのものは、桂馬にとっても嫌なことではなかったろう。
2012-06-06 21:23:08#kaminomi たとえ、ちひろちゃんの想いに応えられず断るにしても、平時であれば、ちゃかしたりバカにしたりせず、きちんと断っていたろう(物語序盤の桂馬ならともかく、今の桂馬なら。いや、平時なら、むやみに気を持たせるようなことをしないか)。
2012-06-06 21:23:18#kaminomi それを目的のために不要と断じ、ひどい言葉を言い放って、切り捨てた。なんの咎もない相手に傷を負わせ、そのままにしておかなければいけない。謝罪し、断罪されて、罪の重荷を軽くすることは、桂馬には許されない。これが彼への罰なんだろうね。きっと。
2012-06-06 21:23:44#kaminomi 茨の道を歩かないといけない主人公だよな……と思うが、桂馬はこれでいいと思う。彼は罪の重みを背負って歩いてゆくだろう。ゆけるだろう。
2012-06-06 21:23:57#kaminomi それだけのことに耐えられる、まっとうに少年マンガの主人公たる資格をもった少年だと思うよ。それでも、誰にも見られないところで、己の非道な振る舞いで傷つけた人へ、直接いうことのかなわない謝罪の言葉を口にして、泣くぐらいのことは許されるだろう。
2012-06-06 21:24:17#kaminomi ちなみに、ここ、歌の途中で抜け出して、ベンチのところに来ているように見えるわけだ。桂馬が居る場所が、ステージからどれぐらいの距離があるかわからないけど、あるていど、きちんと歌を聞いてから、ここにくるのはむずかしいのじゃなかろうか?
2012-06-06 21:24:40