【6/6】テーマ:無【#同題ssTB】
- yoruhatemisumi
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あなたの隣でこうして笑えている自分がいる。この瞬間の幸福を思えば、ああ、僕の人生に無駄なことなど何一つ無かったのだ。〈無〉#同題ssTB
2012-06-06 08:09:01例えば俺から楓を、能力を、ヒーローという肩書きを取ったら俺は何者になるのだろうと能力が消えつつある時にバニーに問うた事がある。だが相棒はあっさりと答えた。「僕は貴方が貴方であるということを忘れられるほどバカじゃないつもりですよ」それが、本当に嬉しかったのに。【無】#同題ssTB
2012-06-06 08:17:00気が付かなかった。と言えば嘘になるかもしれない。本当はずっと前から知っていた。貴方の中にはいつも会ったとこも、見たこともない女性がいた。どうして外したんです?その一言は今日も今日とて零れる事はなかった。何故?気まぐれなんてあり得ないでしょう、なら、どうして、/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:17:02ベテランとしての経験はポーズとかにも現れるってもんだ。俺も若い頃は友恵とヒーローらしいポーズを研究した。だからバニーが撮影の時に取るあのちょっと変わったポーズも練習したんだろうなぁ、笑える、とか思ってたんだけどなー。さっき、そんなわけないでしょうって怒られた。/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:19:36「無理」始めはそう思った。こんな考え方の全然違うおじさんと。だけど――「こら、集中しろ」熱をはらんだ吐息と共に諌められ、逞しい首に両腕を絡める。訪れる、快感を伴う侵入を目を閉じて待った。今はもう、こんなに受け容れてしまっている。心も、そして躯も。/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:21:06無我夢中でキャッチをする「これで何度目になりますかね?」平静を装う僕に「うっせ、わざわざ受け止められなくても自分で何とかするわ!」そういいながらも何処かほっとした声を出す僕のバディはそそくさとお姫様抱っこから抜け出した、まったくもって目が離せない。 「無」 #同題ssTB
2012-06-06 08:22:04ゴム無しなんて絶対ダメ絶対無理って言ってたのに、ほら、ね…っ、今までで一番かわいい顔してる、あっ、あっ…ん、はあっ…あ、かわいい、おじさんのくせに、あ、あ…!/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:24:44だっ、無ぇ!お前いい加減俺のプリン勝手に食うのやめろ! 自分の物だというなら名前を書いておけと言ったでしょう、オジサン。 てめっ…手ェ出せ! は? こ・て・つ~っと。 なに書いてんですか!油性だし! なにって名前。 信じられ無い!/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:25:29「具合はどうだ?」静かに寝ていたいのに、見舞いと言われたらそう無碍にも出来ない。「ほら、これでも食って早く元気になれよ」差しだされたのはプリン。僕の前髪をかきあげて、額に額を押し付ける。「まだ熱あるみたいだから、無理すんなよ」誰のせいだと思ってるんですか。/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:29:51【空虎空】無理しなくていいよ、ってお前は笑うけど。その馬鹿みたいに無限の体力はどこから来るんだ?鍛えてるからね!って爽やかな笑顔したって無駄だぞ!最初はお前も余裕なんて無いくせに!あー、くそ!っていう悪態すらいつも布団の中で唇に吸い込まれてナシだなんて。<無>#同題ssTB
2012-06-06 08:34:38彼の指先が軟膏を取り傷口へ。丁寧に塗り込められていく。「その指、よく使いますよね」「癖、かなあ。まあ、薬指っていうくらいだからな」左だから、気になってしまう。「汚れちゃいます」不必要に付け根まで。わざとならひどい人だ。「バニーならいい」それは、どういう意味で?<無>#同題ssTB
2012-06-06 08:40:55「無理はいけませんよ」初めて会ったとき、厭味たっぷりに言われたその言葉が何故か嬉しかった。初対面で言いたいことを無遠慮に言えるその姿はまるで、遠い日に胸の奥底で眠りについた君によく似ていたから。<無>#同題ssTB
2012-06-06 08:41:08「無理です、そんな入るわけ…あ…おっきぃ…壊れちゃ…」「…っと、ほら入った。大丈夫か、バニー?」「大丈夫みたいです…こんなにいっぱい…。あなた、詰め放題のプロですね」/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:46:13トレーニングルームに戻ると虎徹さんが目を閉じ足を組んで座っていた。確か座禅というらしく、心を無にして精神を鍛えるとか何とか眉唾物の説明をされた事を覚えている。心を無に、ね。悪戯心に任せて身を屈め、首筋に息を吹き掛ける。真っ赤な顔で怒られた。心を無に、ねぇ。<無>#同題ssTB
2012-06-06 08:48:26怖くない怯まない躊躇わない。僕には何も無いから。引き留める程大事な物なんて四歳からこっち持たずに生きて来たから…その筈だったのに、ただ一つの想定外をシーツごと抱きくるめて泣く僕がいた。「起きてよおじさん」じゃなきゃおっかなくてジェイクとすら戦えない気がした。/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:51:10いつ、どこにいってしまったんだろう、どうしてないんだろう、違うきっと見過ごしただけだよ、忘れてきただけなんだ、探しても探しても見つからない、あんなに嫌だった髪飾りが見つからない。「いたいた、これ落としてたぞって…泣くほど大切になったんだな」大切になった僕の、/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:51:22「無茶するなよ」そう声を掛けると、親友はへらりと笑って片手を振った。人はいつしか無に還る。だが奴の妻との別れは早過ぎた。余りにも早過ぎたのだ。「…お前までくたばっちまったらどうするんだよ」有り得ないと自ら否定するように頭を振ると、深い溜息と共にそっと目を閉じた<無>#同題ssTB
2012-06-06 08:55:36NEXTの差別撤廃の為に奔走し、その目的の為に親友夫妻を殺した。そしてその子供と道化達によって暴かれた本性に名は落ち、彼に残ったものは何も無い。彼の手に入れたかったものは、何も、/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:56:35壊して欲しい、そんなふうに懇願された。紙テープで手首を結びベッドに繋ぐ。ハンカチで猿轡を。簡単に破れる拘束だ。ただし、薬はたっぷり。痺れを切らした相棒はぴったりとした下着をびしょ濡れにさせて唸り悶えている。俺は無視してMHをめくり真っ黒なコーヒーを啜っている。/無 #同題ssTB
2012-06-06 08:56:57僕には相棒がいるようだけど、その姿は見えないし声も聞こえない。どんな人だったかも思い出せない。カリーナが「恋人を忘れるなんて薄情者」と声を詰まらせた。恋人? 女性なのか? 霞がかった頭に浮かぶのは無骨な手や硬くて平らな胸ばかり。何だかいたたまれなくなってきた。<無>#同題ssTB
2012-06-06 08:57:13無いものねだりとは言ったものだ。貴方はいつだって、僕の欲しいものはなにもくれない。左手の薬指、その印に誓った愛が欲しい。それを見つめる、琥珀が欲しい。愛おしそうにその名を告げた、優しく暖かい声が欲しい。「 」誕生日には何が欲しい?訊かれた僕の、無言の望み。<無>#同題ssTB
2012-06-06 09:01:09無くしてしまったら何も残らないと思っていた。だからお互いがむしゃらにすがり続けていた。復讐に。正義に。それこそが、それだけが、自分の存在価値なんだと信じて疑わなかった。二人が出会えたことでなにかが変わったか。何も変わらない。ただ、人生の選択肢が少しだけ増えた。/無 #同題ssTB
2012-06-06 09:01:53一枚に穴があいてまた塞がった。もう戻らないものだと思っていたのにプラスとマイナスが同居して掛けるになってまた一枚に纏まる。俺には後はない、後悔もない、期待もなかった。こいつはこっちにないものわんさかもってやがる。手放してやろうか手放せないな。どれも全部俺の -無 #同題ssTB
2012-06-06 09:04:14