チーズバーガー2つとハンバーガー1つ。あと水

某県ベッドタウンの青春風景
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decostatw @decostatw

JSAIで知り合った先生が、マクドナルドでヤンキーがチーズバーガーを放り投げている場面に巻き込まれ、迷惑を被ったというお話をされていた。このお話を聞き、僕の中に、ある種のリアリティが立ち上がってきたことに気が付いた。

2012-06-15 13:24:07
decostatw @decostatw

以前にも書いたが、僕は一度だけ女性から告白された事があったのだ。それは僕が中学生の頃の話で、相手の女性は陸上部の後輩だった。彼女は一卵性双生児で、その姉妹は揃って僕と同じ陸上部に所属していた。そして、その場にも二人揃ってやってきたため、未だにどちらから告白されたのか定かでない。

2012-06-15 13:28:30
decostatw @decostatw

何かの競技大会が終わり、僕達は帰り支度を済ませ、バスに向かって歩き出した。彼女達は僕をその列から引っ張り出し、人通りの少ない木陰で僕と相対した。彼女は、私と付き合えと指図しながら、僕にマクドナルドのチーズバーガーを一つ差し出した。そして僕は、そのチーズバーガーを受け取らなかった。

2012-06-15 13:33:24
decostatw @decostatw

ヤンキーによるチーズバーガー投擲大会の話を聞きながら、僕はこのエピソードを思い出していたのだ。僕が育った郊外のベットタウンにマクドナルドが出来たのは、確か僕が小学校高学年の頃だったと思う。そして中学生になった僕達にとって、そのマクドナルドはスターバックスみたいに素敵な場所だった。

2012-06-15 13:37:02
decostatw @decostatw

僕はまだ中学生だったし、沢山のお小遣いを貰っているわけではなかったから、僕が注文するのは、ビックマックやチキンタツタではなくて、決まって「チーズバーガー2つとハンバーガー1つ。あと水」だった。金持ちの息子達を除けば、他の奴らも大抵似たようなものを注文していたように思う。

2012-06-15 13:40:10
decostatw @decostatw

いつもお腹を空かしていた僕達のメインディッシュは、ハンバーガーではないのだ。あの頃の僕達は、それを余りにも安っぽい物だと感じていた。1つだけ注文するハンバーガーは、ラーメン屋でついつい注文してしまうチャーシュー丼のようなものであって、それは専ら満腹になるためのものだった。

2012-06-15 13:45:09
decostatw @decostatw

(ちなみに、80円65円時代以前のエピソードです)

2012-06-15 13:46:40
decostatw @decostatw

僕はハンバーガーという食べ物が大好きだ。一時期は、迂闊にも、全ハンバーガーの中で1番美味いのはビックマックだと、心からそう信じていたこともあった。でもそれは、僕が20代の半ばに差し掛かった頃の話であって、中学時代の記憶に、ビックマックを食べたエピソードなんて一つも残っていない。

2012-06-15 13:49:34
decostatw @decostatw

僕達は、あの退屈なベッドタウンで、いつでも少しずつ背伸びをしながら大きくなった。少しだけ背伸びをした視線の高さから、僕達は郊外の人生を見下し、それを嫌悪した。

2012-06-15 13:54:02
decostatw @decostatw

そして、その視線の高さには、原付でパトカーを煽る暴走族とか、喧嘩のために集まったのに、結局長縄跳びをしてしまうヤンキー集団とか、アメ村に行って服を買えずに帰ってくる京阪電車とか、そんなアレコレと共に、「チーズバーガー2つとハンバーガー1つ。あと水」があったのだ。

2012-06-15 13:56:09
decostatw @decostatw

チーズバーガー投擲大会の話を聞き、郊外のベッドタウンで生きた僕達にとってのチーズバーガーについて思った。それは、岡山の高校生カップルが、少し頑張ったデートでジョリーパスタに行くような、大人になった僕達から見れば取るに足らない、しかし、確かなリアリティを持ったものだったのだ。(了)

2012-06-15 14:03:15
decostatw @decostatw

ダブルチーズバーガー、夢の食べ物。

2012-06-15 14:04:18