黒丸さんの不思議な夢

黒丸 @kuro_malu

おじいちゃんは上着のポケットからボロボロになった古い写真を取り出した。「そこにこの子はいたかい？」

黒丸 @kuro_malu

写真には5歳くらいの小さな男の子が映っていて、すぐに、その子が森で声をかけてくれたお兄さんだと分かった

黒丸 @kuro_malu

「いたよ！声かけてくれたの。30歳くらいかなぁ、大人のお兄さんだったけど、笑顔が優しくて、順番を待ってるって言ってた」　おじいちゃんは写真を握り締めて泣き出した

黒丸 @kuro_malu

おじいちゃんの子どもは病気で、小さい頃に植物人間になって、成長が止まって骨と皮になった今もたくさんの管に繋がれて、病院で眠り続けてるんだって。震える声で教えてくれた

黒丸 @kuro_malu

「そうか・・・あの子は笑って・・・立派な大人になって・・・・」　顔をくしゃくしゃにして泣きながら、おじいちゃんは何度もありがとう、ありがとうと繰り返した

黒丸 @kuro_malu

「もうすぐ会える・・・ありがとう・・・教えに来てくれてありがとう・・・」　おじいちゃんの掠れた声を聞きながら、そこで意識が途切れた

黒丸 @kuro_malu

見慣れた天井が見える。少しずつ手に感触が戻る。おじいちゃんと一緒に流した涙で、枕がびしょびしょになってた

黒丸 @kuro_malu

話を聞いてくれる時のお兄さんの優しい笑顔が、おじいちゃんとそっくりだったのを思い出して、涙が止まらなくなった

黒丸 @kuro_malu

夢だけど、あの優しい森で二人が会えるように願ってる。夢だけど、あの木に座って、二人で一緒に思い出話ができるように祈ってる