北丸雄二（@quitamarco）さんのツイートまとめ　「『ノーマル・ハート』を訳しながら私が考えていたこと」

北丸雄二💙💛 @quitamarco

今日は欧米を中心に各国の大都市でLGBTのプライド・イベントが行われる日です。６月の最終日曜日、もちろんこれは1969年のストーンウォールの暴動を記念してのものです。そして昨日６月23日は、アラン・チューリングの生誕100年の日でもあります。ラリー・クレイマーの代表作に（続く）

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エイズを扱った芝居「ノーマル・ハート」というのがあります。プライドの本日、その芝居から主人公ネッド・ウィークスの台詞を紹介します。これは昨年ブロードウェイでリバイバル上演されトニー賞を獲得、いま映画の撮影も進んでいる作品です。http://t.co/oPQpLhmh （続く）

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この劇の最後に近く、ネッドはこう訴えます。「オレが生きているこのオレたちの文化には、プルーストもいた、ヘンリー・ジェイムズもチャイコフスキーもコール・ポーターもいた。プラトンもソクラテスもアリストテレスもアレキサンダー大王も。ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、（続く）

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クリストファー・マーロウ、ウォルト・ホイットマン、ハーマン・メルヴィル、テネシー・ウィリアムズ、バイロン、Ｅ・Ｍ・フォスター、ロルカにオーデンにフランシス・ベイコン、ジェイムズ・ボールドウィン、ハリー・スタック・サリヴァン、ジョン・メイナード・ケインズにダグ・ハマーショルドも……

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……彼らは透明人間じゃなかったんだよ。かわいそうなブルース、怯えてばかりのブルース。昔々、きみは兵士になりたいと思っていた。知ってるかい？　第二次世界大戦で、アメリカの勝利に最も貢献した男の１人はオープンリー・ゲイの英国人だった。彼の名前はアラン・チューリング。（続く）

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彼はドイツの暗号を解読して、彼のおかげで連合国はナチスがどう動くのか前もって知ることができた──そうして戦争が終わり、彼は自殺した。自分がゲイであることに悩んだ果てに。どうしてこういうことを学校で教えないんだ？　教えてたら彼は自殺しないで済んでたかもしれない。（続く）

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きみだって自分のことでそんなに怯えないで済んでるはずだ。本物のプライドを手にする唯一の方法は、オレたちのこの文化がセックスだけじゃないと世間に認めさせることなんだ。すべてがここにある──歴史のすべてにわたってオレたちは存在した。でもそれを言わなきゃダメなんだ。（続く）

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誰がそこにいたか言わなきゃ、誰も知らないままなんだ。オレたちが何を考え、何を感じ、この世界にどんな創造的な貢献をしてきたかをはっきりぜんぶ言葉にしなきゃすべて存在しなかったことになってしまうんだ。そしてそうしない限り、オレたちがこの街でこの市でこの州で一つにまとまって（続く）

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透明人間じゃない目に見えるコミュニティを作って反撃しない限り、オレたちは終わってるんだ。オレはそういう人間になりたい。充分に戦った男の１人として生きたい。オレたちの象徴はチンポだと思ってる限り、それはオレたちを文字どおり殺し続ける。（続く）

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オレたちみんな、自分たちの殺人犯に成り果てたいってのか？　どうしておまえもオレも、ブルース・ナイルズもネッド・ウィークスも、ゲイはそうじゃない、おまえらの思ってるゲイはオレたちのことじゃないって、新しいゲイの姿を示せなかったんだろう？……（後略）」

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この「ノーマル・ハート」を訳しながら私が考えていたのは、いまの日本の政府のことでした。何もしない政治、それに対する怒り、怒りを共有できない社会、仲間を見殺しにするコミュニティ。芝居はエイズがテーマでしたが、１つのことを突き詰めればそれは普遍的なテーゼに通じると教えられました。