メイさんの執事
- fujimiyanatsuki
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#メイさんの執事 黒髪にメガネ。優しい笑顔。あたしを「めっ!」と叱る声。穏やかな物腰。......すべてが完璧だった。
2012-06-18 20:34:25#メイさんの執事 だけど、それはきっと無理だ。あたしはたくさんいるお客さんのひとりでしかない。それに彼が優しくしてくれるのは、それが仕事だからだ。
2012-06-18 20:36:13#メイさんの執事 わかってはいても、彼が他の女の子としゃべっていると、心がもやもやした。やめて、あたし以外の女の子としゃべらないで......笑顔を見せないで......。
2012-06-18 20:37:02#メイさんの執事 次の日、少し迷って、あたしはまたこのお店に来た。迎えてくれたのは昨日の彼だった。しかも、あたしのことを覚えていてくれた!
2012-06-18 20:38:55#メイさんの執事 嬉しくて、涙をこらえながら、アフタヌーンティーセットを注文。そうだ。ここへ来れば、彼に会える。ここにいるかぎり、彼はあたしの執事。
2012-06-18 20:39:51#メイさんの執事 次の日も、また次の日も。あたしは執事喫茶へ行った。そして毎日同じケーキと、イチゴの紅茶を頂きながら、あたしは彼とたくさんおしゃべりをした。
2012-06-18 20:41:44#メイさんの執事 そしてあたしは、彼が27歳であること、甘いものが好きなこと、猫派なこと、左利きだということ、彼女はいないということ。様々なことを知った。
2012-06-18 20:42:49#メイさんの執事 ある日、彼はあたしにこっそり言った。常連の客のみ注文できる、執事とのデートコースがあると言うことを。
2012-06-18 20:43:44#メイさんの執事 あたしは思い切って、そのデートコースを頼むことにした。彼はどこからか、特別なメニューを持ってきた。
2012-06-18 20:55:14#メイさんの執事 デートコース、チャージは¥4000。カラオケは二時間で+¥3000(執事のカラオケ費用は別) プリクラは一枚+¥2000 カフェは二時間で+¥2500(執事のお茶代は別) といったことが書かれていた。
2012-06-18 20:57:01#メイさんの執事 お金は貯金をくずせばいいし、それでも足りなかったら、小野Dや小野Dや小野DのCDを売ろう。執事とずっといられるなら、小野DのCDが何枚消えようと構わない。
2012-06-18 20:59:24#メイさんの執事 デートコースは要予約らしい。今週末の土曜日に、あたしはカラオケとプリクラの予約をいれた。そして残りのストロベリーティーを飲んだ。彼はいつもよりも優しかった。
2012-06-18 21:01:37#メイさんの執事 ついに待ちに待った土曜日。あたしは小野Dのイベントで着ようと思っていたワンピースとカーディガンを着た。そして知り合いのコスプレイヤーに化粧をしてもらった。髪も綺麗にブローして、巻いてもらった。
2012-06-18 21:03:30#メイさんの執事 そりゃあいつもの燕尾服じゃ目立ちすぎる。でも、思った以上にラフな格好の彼を見て、あたしはどうしたらいいのかわからなくなった。
2012-06-18 21:12:17#メイさんの執事 立ちすくむあたしに気づき、彼は近寄ってくる。ワンピースを褒めてくれた。嬉しくて、泣きそうになった。
2012-06-18 21:12:56#メイさんの執事 それからカラオケへ向かった。「D、A、I、S、U、K、I、大好きっ♪」あたしが歌ってると、彼はお上手ですね、と微笑んだ。この人の曲好きなんです。そういうと、彼の笑顔が一瞬曇った。
2012-06-18 21:14:32