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【ゾンサバで】 3日目 【リレーSS】

<1~2日目 http://togetter.com/li/328619 4日目> http://togetter.com/li/328650 【元ネタ】 ゾンビサバイバル! あなたは何日生き残れるか!? 続きを読む
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【結果】

吾妻巧 @ESTakumi

今日の吾妻巧:【戦闘】不気味な地響きが近付いてくる・・・信じられないほど巨大なゾンビがビルの間から顔を出した! 12のダメージ! 食糧:-1 http://t.co/noLUWnfV 「何だよこれ、冗談だろ……」タクミは呆然と立ち尽くすしかできなかった。【HP78】【食料93】

2012-06-27 00:29:31
犬居 のすけ @inui_nosuke

今日のinui_nosuke:【探索】まだ動かせる車(【戦闘】で受ける最終的なダメージが半分になる。端数切り上げ。何か【アクシデント】が出ると燃料切れでこのアイテムは失われる)を発見! 食糧:-2 http://t.co/7CVELqBa

2012-06-27 00:36:55

【本文】

犬居 のすけ @inui_nosuke

「あの…ごめんなさいでした」目を覚ましたセラの気持ちは複雑だった。どうしても、全て夢だという希望が捨てられなかった。一方で、目を覚ました傍に昨日出会った少年がいてくれた事に震えそうなほどの安堵を感じる。先に目を覚ましていた少年は、セラが起きた事に気づくとにこり、と微笑んでくれた。

2012-06-27 01:15:01
犬居 のすけ @inui_nosuke

名前と、一昨日、父母と買い物にきて迷ってしまった事、鞄には父親の携帯電話の番号をメモした紙がある事を告げた。助けてくれて嬉しかった事、手を繋いでくれて心強かった事は上手く伝える事ができなかったように思う。ありがとうございました、と伝えた時の彼が、何故かひどく面映そうにしたからだ。

2012-06-27 01:15:09
犬居 のすけ @inui_nosuke

少年の自己紹介も聞き、話す事がなくなると静けさが落ちる。(タクミ…お兄さんは、今日どうするんだろう? わたしも連れてってくれるかな…)置いていかれたらどうしようと思う。けれど、初めて会った人にわがままを言ってはいけないとも思う。(それに、こんなに年上の人と話した事、ない)

2012-06-27 01:15:19
吾妻巧 @ESTakumi

結局夜通し少女の手握り続けていた。それは、少女の温もりを手放したくなかった――だけではない。(震えてる……。やっぱり、怖いよな)握りしめた少女の手は小さく、震えている。当たり前だ。こんな状況に、小さな子が一人で取り残されていたのだから。 #ゾンビサバイバル

2012-06-27 09:37:54
吾妻巧 @ESTakumi

そう考えた途端、タクミを恐怖が襲った。怖い、とてつもなく怖い。自分を守ることすら難しいこの状況で、誰かを守ろうとするなんて。選択の重さがタクミに押しかかる。それはタクミがこうなってしまって初めて覚えた、どんなものよりも強い、本当の恐怖だった。 #ゾンビサバイバル

2012-06-27 09:38:35
吾妻巧 @ESTakumi

少女が口を開いたのはそんな時だった。「あの……ごめんなさいでした」少女が何に謝っているのか、タクミはよく分からなかった。少女に悪い部分なんて何もない。おかしいのはこの状況なのだから。(でも……そんなこと言ってもどうにもならない)だからタクミは笑って答えた。 #ゾンビサバイバル

2012-06-27 09:38:59
吾妻巧 @ESTakumi

それから少女はぽつりぽつりと話しだした。どうしてあんな場所にいたのか。両親はどうしているのか。そして「あ、あの。ありがとうございました」(……)違う、とは言えなかった。それでも心の中には渦巻いている。(違うよ。助けられたのは僕の方だ……) #ゾンビサバイバル

2012-06-27 09:39:12
吾妻巧 @ESTakumi

(きっと、この子と会わなければ……)タクミは考える。会っていなければ、きっと流れに呑まれていた。何もすることも出来ず、狂った町に呑まれていただろう。少女の感謝、そして自分の気持ちを噛み締めると、タクミは口を開いた。「……僕は、タクミ。きみの名前は?」 #ゾンビサバイバル

2012-06-27 09:39:20
吾妻巧 @ESTakumi

自己紹介を交わす。その一連の流れで、タクミは決心がついていた。(……これで、もう、知らないふりは出来ない)些細なことである。それでも、その些細なことが心の大事な部分へかちりと埋まる。場には沈黙。だから、タクミは言った。「お父さんと、お母さんを探しに行こう」 #ゾンビサバイバル

2012-06-27 09:39:24
吾妻巧 @ESTakumi

人のいない道路の真ん中を歩くのは新鮮だった。二人が目指したのは市街地。セラが持っていた携帯の番号に連絡を取ろうと思ったからだ。(携帯持ってくれば良かった……でも正直、こんな状況だし……)そう思い、アーケードへと続く見慣れた曲がり角を曲がったところで、絶句した。 #ゾンビサバイバル

2012-06-27 20:29:33
吾妻巧 @ESTakumi

人の集まる場所である。だから、ゾンビがいるかもしれないとは、覚悟していた。だが、それはあまりにも想像を絶する光景だった。「な、何だよ、これ。冗談、だろ……」思わず言葉が漏れる。視界の先。アーケードに並ぶビルの屋上。それと並び、巨大な人ならざる者が顔を出していた。#ゾンビサバイバル

2012-06-27 20:29:41
吾妻巧 @ESTakumi

「あ……あぁ……」狂った町は、更に想像を超えて狂っている。その狂気に、正常な思考をどうにか保っていたタクミは付いて行くことはできない。ただ、棒立ち。呆然自失。だが、その一方で巨大なそれは、正面にあったビルの給水タンクをまるでボールを取るかのように引きちぎる。 #ゾンビサバイバル

2012-06-27 20:29:50
吾妻巧 @ESTakumi

一連の光景は目に入っていた。でも理解できなければそれは何の意味もない。巨大なそれは、興味深げに給水タンクを眺め、そして、視界の隅にいた、二人へと放り投げた。「……」あまりのことにタクミの思考は完全に停止している。それを引き戻したのは、傍らの小さな手だった。 #ゾンビサバイバル

2012-06-27 20:29:56
吾妻巧 @ESTakumi

恐怖になのか、無意識になのか、セラの手はタクミの手を引いていた。強い力でもない、小さく、ほんの少しだけすがる様なそれ。それでも、タクミの意識を取り戻させるには、十分だった。(このままだと――っ!)最悪を瞬時に理解する。だから、タクミは咄嗟に横に飛びのいた。 #ゾンビサバイバル

2012-06-27 20:30:05
吾妻巧 @ESTakumi

ざざーっ、と滑る音。続けて、けたたましい落下音。そして、自分の倒れる音。最初のものがセラを突き飛ばした結果だと判断し、タクミは安心する。それが確かなら、あれと接触はしていない。(……怪我、させちゃったかな)そんな思いが浮かぶ。だが、それは激痛にかき消された。 #ゾンビサバイバル

2012-06-27 20:30:14
吾妻巧 @ESTakumi

わき腹から背中にかけて走る痛み。タクミはそれをはっきりと把握している。給水タンクに繋がるパイプが当たったのだ。(――っ、でも、動けないほどじゃない)タンクは転がって道路向かいのコンビニに激突する。見上げれば、巨大なゾンビは次を掴んでいた。(くそっ、キリがない!)#ゾンビサバイバル

2012-06-27 20:30:20
吾妻巧 @ESTakumi

「お、お兄さんっ!」セラのそんな声が聞こえたのはその直後だった。視線を声のする方へ。そこには膝を擦りむいたセラと、ドアの開かれた赤い軽自動車。「これ……お兄さんは運転、できますかっ!?」瞬時に理解する。そして駆け出した。「やったことないけど――やるしかないっ!」#ゾンビサバイバル

2012-06-27 20:30:26
犬居 のすけ @inui_nosuke

頭二つ分も大きい男の人と歩くには、ひたすら足を動かさねばならない。それでもタクミは十分に歩調を落としてくれたし、時折励ましの言葉をくれた。そして、何より──(探しに行こうって、言ってくれた…)あの言葉がなければ、きっと自分はまだ一夜を過ごしたあの部屋で、膝を抱えたままだったろう。

2012-06-28 02:25:46
犬居 のすけ @inui_nosuke

繋いだ手は暖かく、両親とはまるで違うのに同じくらいの安心をくれる。「大通りに出れば、電話も見つかるはずだよ」言われれば全てその通りになるような気がした。未だ十歳にも満たない少女には、タクミが半ば無理やりに自分を奮い立たせている事など気がつきようもなかったのだ。

2012-06-28 02:25:54
犬居 のすけ @inui_nosuke

甘えすぎていた。その事を理解するのにそう時間はかからなかった。手を引かれ足を踏み入れたアーケードでこの都市の絶望と出会った。あれはなんだろう。理解のしようもない存在に細い喉がひく、と痙攣する。完全に空白になった意識が、なぜか繋いだままのタクミの手を、捜すかのように指を動かした。

2012-06-28 02:26:01
犬居 のすけ @inui_nosuke

衝撃。突き飛ばされた瞬間すら、何が起きているのか分からなかった。打ち付けた膝の痛みと耳の痛くなるような音にかろうじて自失を救われる。と、同時に全身が凍りついたようになった。(お兄さんは?!)庇われた。これで二度目だ。タクミは何度も自己を省み見ずセラを助けてくれた。

2012-06-28 02:26:10