モーリー・ロバートソンさん @gjmorley 大麻とラスタファリズムと脱原発

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モーリー・ロバートソン @gjmorley

なぜ1980年頃の英国でブリティッシュ・レゲエが爆発したかというと、若くして移民したジャマイカ人が多くいたこと、サッチャー政権の財政で黒人のコミュニティーに大量の失業者が出たこと、デモに対してロンドン市警などが強圧的に出たこと、極右の人種差別組織による暴力などなどの背景が。

2012-07-02 00:50:59
モーリー・ロバートソン @gjmorley

さらに、移民したジャマイカの若者の間では、ジャマイカでリリースされたドーナツ盤が間伐をおかず流通し、ジャマイカと同等のサウンド・システムが黒人街のディスコでよりどころとなっていたことも英国のレゲエを活性化しました。この息吹はティーネージャーのパンクスにも感染していったようです。

2012-07-02 00:52:36
國森由美子☆ヨーロッパ文芸フェスティバル2023、5日目の11月25日(土)の午後、登壇します。 @YumikoKunimori

@TEN1977FX @gjmorley 本当に重要なことだと思います。そしてですね、大麻なんて、地元青少年はまあ、数回試しにやってみて、こんなものかと思えば、別に大して興味も持たなくなっちゃうのが普通のようですよ。

2012-07-02 00:53:44
モーリー・ロバートソン @gjmorley

レゲエはそもそもレゲエ・スカのような形で第1世代と呼べるものがあった。当初はアメリカ合衆国からスピルオーバーしてくるAMラジオのカントリー・サウンドをテンプレートに、ジャマイカ人が裏打ちを組み合わせた「二次創作」の要素があったと聞いたことがあります。この頃は政治性が特になかった。

2012-07-02 00:54:11
モーリー・ロバートソン @gjmorley

ところが第2世代と呼べるボブ・マーリーやピーター・トッシュのアーチストが登場すると、1970年代のジャマイカ社会の混乱を反映するかのように強烈なメッセージ性が込められるようになります。ピーター・トッシュは「大麻の解放」を叫び、ボブ・マーリーはラスタの精神性による解放を唱えた。

2012-07-02 00:55:30
モーリー・ロバートソン @gjmorley

すっごく端折って、聞きかじりを語っています。ラスタとは何か?ラスタファリアニズムについて検索されることをおすすめしますが、黒人解放を謳うジャマイカ・ローカルの思想です。聖書が大きな役割を占めますが、独特の解釈がいくつもあり、際だっているのは大麻(ガンジャ)の神聖視です。

2012-07-02 00:57:11
モーリー・ロバートソン @gjmorley

ラスタ発祥の地、ジャマイカでは現在ほとんどの人がラスタファリアンではなく、キリスト教のさまざまな宗派を信仰しています。アメリカから伝道師が入った結果、福音伝道派もかなり強いそうです。ラスタ達は「隠遁者」のイメージがあり、宗教的な戒律を守った厳格な生き方をします。

2012-07-02 00:59:29
モーリー・ロバートソン @gjmorley

ドレッド・ヘアーと呼ばれる独特の髪型も、宗教上の理由で伸ばしています。 http://t.co/wD3hX9j8 この他、同性愛の忌避など、タブーもいろいろとあります。宗教的なコミューンを営むイメージです。その中に聖なる「大麻」が位置づけられています。

2012-07-02 01:01:39
モーリー・ロバートソン @gjmorley

こういう奥の深いラスタファリアニズムが、レゲエの国際的なヒットと共に、欧米のファッションにライフスタイルやサブ・カルチャーとして取り込まれたのが1980年代以降。日本にはちょっと遅れてやってきた感がありました。

2012-07-02 01:05:28
モーリー・ロバートソン @gjmorley

日本国内にラスタ・カルチャーがどう定着したかについては、教えていただきたいところです。これまでの(非常に)簡単な聞き取りを総じた印象では、1960年代から続くヒッピーの流れとラスタが自然に結合していったようです。山のフェスに行くと、ヒッピー風の人とラスタ風の人が混合状態。

2012-07-02 01:06:33
モーリー・ロバートソン @gjmorley

それで、ラスタの主要なメッセージのひとつが「バビロンと戦え」です。このバビロンは聖書の引用を現代に投影したものなので、何をしてバビロンというのかは個々人の解釈で差があるように思います。資本主義全体がバビロンという人もいれば、アメリカが悪いという人も。あるいは大麻禁止を指す場合も。

2012-07-02 01:07:54
モーリー・ロバートソン @gjmorley

欧米のアーチストや文化人たちに取り込まれた「ラスタ」は、白人の支配に反発する黒人というもともとの「小骨」がきれいにとげ抜きされた形で、「普遍的な人間愛にもとづいた精神的な解放を目指す者」といったぐらいに薄まっています。ジョン・レノンの「イマジン」にも近いかな?

2012-07-02 01:09:46
モーリー・ロバートソン @gjmorley

もともと大人に隠れて大麻を使用していた欧米の悪ガキたちの間に、レゲエとラスタの「権力と戦え」というメッセージが浸透し、その形で日本にサブ・カルチャーとして「欧米ルート」で入ってきたのではないかと推理しています。ただ欧米では大麻の規制が緩和されていた時期に日本では逆に強化。

2012-07-02 01:11:25
モーリー・ロバートソン @gjmorley

その結果、サブ・カルチャーの「大麻使用」という肝心な儀式的要因が欠落した「カロリーゼロ」の状態で『理念』としてボブ・マーリーのメッセージを受け止める人がいたり、山奥で監視の目を離れてガン決まりにとことん大麻を吸引→大地と合一という2つの流れに分かれたのではないかと思っています。

2012-07-02 01:13:26
モーリー・ロバートソン @gjmorley

1990年代後半からは大麻が日本社会のさまざまなサブカルに出回り始め、クラブ以外の「麻薬の温床」があちこちの友達のネットワークに出現。大麻使用と共に「ファック・バビロン」のアチチュードが広まった流れ。別途、反グローバリズムの思想の潮流にもラスタに傾倒する流れがあり、両面から。

2012-07-02 01:15:10
モーリー・ロバートソン @gjmorley

そんなこんなで、反グローバリズム、反資本主義、エコロジーの運動においてラスタ・ファッションやレゲエがレジスタンス(抵抗)のモチーフとして駆使されるということが、かれこれ20年以上続いています。特にラスタの宗教にコミットしたものではなく、「バビロンと戦う不屈の精神」が引用された形。

2012-07-02 01:16:59
モーリー・ロバートソン @gjmorley

大飯のテント村にPAが持ち込まれ、レゲエが流れているのも、こういう流れではないかと思いました。テント村初期の放送で、自分もDJで回している「Eek-a-Mouse」の曲が流れていることを確認。昨日も未明のIWJで、レゲエ形式の日本語ラップが拡声器から聞こえていました。

2012-07-02 01:18:45
モーリー・ロバートソン @gjmorley

この時点で、ぼく自身は「あー、レゲエをここで持ち出したらデモの負けだな」と思いました。なんでそう思ったかの説明は難しいので、ちょっと省きます。でも、ただでさえ少数派の印象が強いところに、説明抜きで「ファック・バビロン」を持ち込むと、さらに瞬間風速を失うと思いました。

2012-07-02 01:19:58
モーリー・ロバートソン @gjmorley

(打ち直し)IWJ越しにのぞいただけでありデモ参加者ではないので、デモの内容を評論するのは控えます。ただ、ぼくが懸念したのと似たような道筋で、ネット右翼らしき人たちが、レイヴ色やラスタ風味の揚げ足を取って「念仏踊りを繰り広げる狂気の集団」とレッテル貼りを開始したのは事実。

2012-07-02 01:22:42
モーリー・ロバートソン @gjmorley

山本太郎さんのお姉さんが大麻関連で逮捕されたタイミングもあって、「脱原発の連中は、大麻を吸って騒ぎたいだけのバカなお祭り集団」という罵声を浴びせやすくなっている。しかし「大麻を吸った狂気」というものと、非暴力で太鼓を打ち鳴らしながらレイヴ式に踊っているデモ隊を結びつけるのは強引。

2012-07-02 01:25:45
モーリー・ロバートソン @gjmorley

ネット右翼の人たちは、そもそも大麻に関する薬学上の基礎知識も、文化的な背景も、ラスタがレジスタンスの潮流の中でどのような位置づけをもっているかもわからず、何の「暗号解読」もできていない。ネトウヨの方こそ、「ネット上で脱原発を国賊として罵倒すべく空騒ぎ」していて、愚かです。

2012-07-02 01:27:33
モーリー・ロバートソン @gjmorley

今回の大飯では、エコロジーのあやうさ(経済リスクを引き受けるように社会を説得する動きであること)+ヒッピー、レイヴ、ラスタ風味のあやうさ(社会の主流からかけ離れたサブ・カルチャー)+「ファック・バビロン→大麻肯定」のあやうさが交叉した形で噴出した場面があったかと思います。

2012-07-02 01:29:50
モーリー・ロバートソン @gjmorley

以前も論じたように、3.11以降に脱原発を志向した人たちのほとんどはレイヴもラスタもおそらく知りませんし、そういうモチーフがデモに用いられていることすら意識していないでしょう。そもそも現在の脱原発運動に参加している人は多様であり、中央に執行部も代表も存在していないアメーバ状です。

2012-07-02 01:31:10
モーリー・ロバートソン @gjmorley

ですからレイヴ・ラスタはあくまで脱原発の運動にスパイスを提供する、いい意味での「フリンジ=末端」ではあると思います。しかしながら、サウンド・デモやレイヴのフレイバーが非暴力の抵抗と合体すると、部外者の印象に強く訴えかけるのは、濃厚な色彩です。つまりヒッピーとラスタとサブカル。

2012-07-02 01:32:58
モーリー・ロバートソン @gjmorley

それぞれの参加者が思い思いの表現方法で訴えかけている現在のデモは、いわば「非暴力のカオス」が前面に出ていると思います。それが敷居を下げ、参加しやすくしているという強みと、個々の人たちの異様な振る舞いが、ムーヴメント全体を異端視させる、という弱みが同居しているのではないだろうか。

2012-07-02 01:37:40