トビゲリ・ヴァーサス・アムニジア ＃６
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
ユカノは移動速度を計算していた。ワッチドッグと彼女の速さはほぼ同等。レッドクリーヴァーはやや遅い。一旦階を移動してワッチドッグだけを限界まで引きつけ、一対一のイクサを挑む。二対一では勝ち目無しだが、ワッチドックだけならばやれるかもしれない。……強引だが、もう時間が無いのだ。 21
2012-07-07 21:51:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
長廊下を駆けるユカノ。次第にその速度が落ちる。獲物を捕える好機と見たワッチドッグは、楽しげに歯音を鳴らしながら、ギャロップで一気に距離を詰めてくる。コワイ！だがこれはユカノの策略であった。ワッチドッグが大きく跳躍してパウンスしてきた瞬間、彼女は後ろを振り返りサイを投擲する！ 22
2012-07-07 21:57:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「キエーッ！」「グワーッ！？」ワッチドッグの脇腹にサイが突き刺さる。だが浅い！やはりカラテが足りぬのか。パウンス攻撃の勢いは止まらず、そのままユカノの場所めがけて刃物状の前脚が振り下ろされた！アブナイ！ユカノは咄嗟に横のショウジ戸に飛び込み、緊急回避を試みる！「イヤーッ！」 23
2012-07-07 22:05:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
タタミの匂いがユカノを迎える。幸いにも、そこは無人のトレーニングルーム！壁には様々な武器が掛けられ、使い込まれた木人が何体も並んでいた。ユカノは連続側転を打ち、壁に掛けられたナギナタを握って構える。先程の一撃で左腿に浅い傷を追い、装束を裂かれ、白い腿があらわになっていた。 24
2012-07-07 22:17:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「カチカチカチ……！」ワッチドッグは狩猟の喜びをあらわにしながら、ユカノ目掛けて迫る！「イヤーッ！」ユカノはナギナタで鋭い突きを繰り出す！「イヤーッ！」ワッチドッグは鋭い四角錐の金属製前脚でこれを弾く！「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」一進一退の攻防！ 25
2012-07-07 22:23:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
ユカノは長得物で優位に立ったかと思ったが、それは早計であった。敵の戦闘能力はやはり彼女より遥かに高く、ナギナタ攻撃を軽々といなし、今にも必殺のパウンス攻撃を繰り出そうとしている。サイ投擲のアンブッシュは不発。しかも相手は狂犬めいた自動殺人者……色仕掛けも通用しないだろう。 26
2012-07-07 22:31:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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ワッチドッグがナギナタの刃背に食い付き、得物を奪おうと勢い良く首を捻る。体勢を崩しつつも抵抗するユカノ。続けざま、左後方の天井から不穏な軋み音！直後、天井が破壊されレッドクリーヴァーが上階からショートカット到着！ナムアミダブツ！城内の構造を知り尽くした敵のフーリンカザンだ！ 27
2012-07-07 22:39:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「ウカツ！」後方を振り返った瞬間、手元のカラテがおろそかになり、彼女はナギナタごと引きずり倒された。無防備体勢のまま、ワッチドッグの奇怪な頭部を下から仰ぎ見る。直後、鋭利な四角錐の先端がユカノの両眼の間めがけて容赦なく振り下ろされる！「イヤーッ！」横に転がって紙一重の回避！ 28
2012-07-07 22:44:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「イヤーッ！」ユカノはブレイクダンスめいた動きで隙を消しながら、ナギナタを床すれすれで振り回して敵の接近を拒み、素早く立ち上がった。肩を使ってナギナタを回し、右脇に柄を構えて、左右の敵を交互に睨む。敵はユカノの立ち位置を軸にじりじりと横歩き旋回し、少しずつ距離を詰めてくる！ 29
2012-07-07 22:52:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
モーターチビが不安そうに上を飛び回る。ユカノは重く短い息を吐く。急がねば、全てが水泡に帰する。いや、もう手遅れかもしれないのだ。思考が曇る。ニンジャスレイヤー達は死に、ドラゴンニンジャ・クランは途絶えるのか。「バァーッ！」沈黙を破り、右側面から斬りかかるレッドクリーヴァー！ 30
2012-07-07 23:06:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
スモークド・シルヴァーの茶室。ニーズヘグは既に、他派閥に対して牽制や様子見を行うため、ダークニンジャのもとを去っていた。代わりにダークニンジャと向かい合うのは、シャドウウィーヴ。まったくもって政治慣れしていない彼のチャドー・プロトコルは、完全に未洗練で、歳相応にぎこちない。 32
2012-07-07 23:11:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「では、ドラゴン・ユカノはニンジャスレイヤーの……！」シャドウウィーヴの声に、慙愧の念がにじむ。彼は今日、初めてユカノの素性を告げられたのだ。(((師の仇の仲間に対して気を許していたとは、何というウカツか。ブラックドラゴン師も、アノヨから俺を見下げ果てている事だろう！))) 33
2012-07-07 23:19:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
(((女の狡猾さに誑かされたか！)))想像上のマスターの叱責が、レイジの脳内でエコー再生される。ユカノとニンジャスレイヤーと自分自身に対する怒りで両手が震え、チャワンを取り落としそうになる。「ケジメさせて……ください」「やめておけ、非合理的だ」ダークニンジャが冷たく言う。 34
2012-07-07 23:29:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「しかし」「奴とのイクサに取っておけ。その時は近いぞ。奴はキョート城に必ず殴りこんでくる」ダークニンジャはカタナのような目でシャドウウィーヴを見据えた。「キョート城に正面突破など……正気の沙汰とは」「奴はそういう男、そういう狂人なのだ。そしてその狂気がソウカイヤを滅ぼした」 35
2012-07-07 23:38:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「…解りました」シャドウウィーヴは仇への純粋な憎悪で様々な想いを塗り潰し、深々とドゲザして退室した。(((弱さを捨てろ、シャドウウィーヴ。全ての人間性を捨てろ……！さもなくば、復讐など果たせぬ。真のニンジャとなれ。慈悲無き影の化身となれ……！)))そう脳内で繰り返しながら。 36
2012-07-07 23:44:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
暫くしてから、ダークニンジャはチャを置き、丸いショウジ戸を開けて天頂の月を眺めた。鞘に収めたベッピンが静かに啼く。イクサが近い。だがそれは、フジオ・カタクラにとって通過点に過ぎないのだ。そこで死ぬならそれまで……だが彼の眼は、さらに先を見据えている。遥かにフラットな未来を。 37
2012-07-08 15:10:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
茶室に小さなつむじ風が巻き起こり、シシマイめいた姿のニンジャが姿を現した。マスタークレイン。ベッピンの所持者をカツ･ワンソーの器の運命へと導く、オートマトンの片割れ。「久しぶりだな」ダークニンジャが言った。クレインが返す。「前ほど頻繁には助言を与えられません。というのも…」 38
2012-07-08 15:13:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「マスタートータスが滅びたからだ」とダークニンジャ。「その通りです。彼は未来を見ました……余り遠くまでは見通せませんが。従って、私ひとりでは荷が重いのです」「ロードとパラゴンは何を企んでいる」「未だ見通せません。ヘル･オン･アースはこれほど早く到来する筈ではなかったのです」 39
2012-07-08 15:24:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「儀式で何が起こる」ダークニンジャが問う。「今はまだ答えるべき時ではありません。不確実な事は答えられないのです」再びマスタークレインは恭しくオジギし、身体をつむじ風に包み始めた。パープルタコが廊下から茶室のフスマをノックする頃、マスタークレインの姿は忽然と消えていた。 40
2012-07-08 15:33:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「バアーッ！」レッドクリーヴァーが力任せに大鉈を振り下ろす。「イヤーッ！」ユカノは巧みなナギナタさばきでこれを回避するが、背後から連携を仕掛けてくるワッチドッグによって集中を削がれる。「バァーッ！」重い柄の一撃が彼女の頭部を強打！「ンアーッ！」体勢が崩れる！ナムアミダブツ！ 42
2012-07-08 15:42:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
脳震盪を起こしたユカノ。全ての音が聞こえなくなる。巻き添えを食ったのか、モーターチビがフレームを破壊され足元に転がっている。背後から繰り出されるワッチドッグの攻撃を辛うじて回避するも、足腰に力が入らない。目の前にレッドクリーヴァーの重い回し蹴りが近づき、ユカノを弾き飛ばす！ 43
2012-07-08 15:50:08