あるレジ打ちの女性
- pugnus_0918
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そうしていろいろなお客さんを見ているうちに、今度はお客さんの行動パターンやクセに気づいていくのです。「この人は安売りのものを中心に買う」とか「この人はいつも店が閉まる間際に来る」とか「この人は高いものしか買わない」とかがわかるのです。
2012-07-05 21:30:58そんなある日、いつも期限切れ間近の安い物ばかり買うおばあちゃんが、5000円もするお頭付きの立派なタイをカゴに入れてレジへ持ってきたのです。彼女はビックリして、思わずおばあちゃんに話しかけました。「今日は何かいいことがあったんですか?」
2012-07-05 21:31:27おばあちゃんは彼女ににっこりと顔を向けて言いました。「孫がね、水泳の賞を取ったんだよ。今日はそのお祝いなんだよ。いいだろう、このタイ」と話すのです。「いいですね。おめでとうございます」嬉しくなった彼女の口から、自然に祝福の言葉が飛び出しました。
2012-07-05 21:32:25お客さんとコミュニケーションをとることが楽しくなったのは、これがきっかけでした。いつしか彼女はレジに来るお客さんの顔をすっかり覚えてしまい、名前まで一致するようになりました。
2012-07-05 21:33:42「○○さん、今日はこのチョコレートですか。でも今日はあちらにもっと安いチョコレートが出てますよ」「今日はマグロよりカツオのほうがいいわよ」などと言ってあげるようになったのです。レジに並んでいたお客さんも応えます。
2012-07-05 21:34:39「いいこと言ってくれたわ。今から換えてくるわ」そう言ってコミュニケーションをとり始めたのです。彼女は、だんだんこの仕事が楽しくなってきました。
2012-07-05 21:35:09そんなある日のことでした
そんなある日のことでした。「今日はすごく忙しい」と思いながら、彼女はいつものようにお客さんとの会話を楽しみつつレジを打っていました。すると、店内放送が響きました。「本日は大変混み合いまして大変申し訳ございません。どうぞ空いているレジにお回りください」
2012-07-05 21:36:34ところが、わずかな間をおいて、また放送が入ります。「本日は混み合いまして大変申し訳ありません。重ねて申し上げますが、どうぞ空いているレジのほうへお回りください」
2012-07-05 21:37:02そして3回目。同じ放送が聞こえてきた時に、初めて彼女はおかしいと気づき。周りを見渡して驚きました。どうしたことか5つのレジが全部空いているのに、お客さんは自分のレジにしか並んでいなかったのです。
2012-07-05 21:37:16店長があわてて駆け寄ってきます。そしてお客さんに「どうぞ空いているあちらのレジへお回りください」と言った、その時です。お客さんは店長に言いました。「放っておいてちょうだい。私はここへ買い物に来てるんじゃない。あの人としゃべりに来てるんだ。だからこのレジじゃないとイヤなんだ」
2012-07-05 21:37:51その瞬間、レジ打ちの女性はワッと泣き崩れました。お客さんが店長に言いました。「そうそう。私たちはこの人と話をするのが楽しみで来てるんだ。今日の特売はほかのスーパーでもやってるよ。だけど私は、このおねえさんと話をするためにここへ来ているんだ。だからこのレジに並ばせておくれよ」
2012-07-05 21:38:18彼女はポロポロと泣き崩れたまま、レジを打つことができませんでした仕事というのはこれほど素晴らしいものなのだと初めて気づきました。すでに彼女は昔の自分ではなくなっていたのです。
2012-07-05 21:38:45それから、彼女はレジの主任になって、新人教育に携わりました。彼女から教えられたスタッフは、仕事の素晴らしさを感じながら、お客さんと楽しく会話していることでしょう。 木下晴弘著 涙の数だけ大きくなれる! フォレスト出版より
2012-07-05 21:39:03【仲間みんなでつくりました】http://t.co/uTvEVNWs最後までお付き合いいただき、ありがとうございましたm(__)m
2012-07-05 21:40:26自分の好き嫌いで仕事してもうまくいかない。相手の想いを汲み取り、そこに応えることで、仕事が楽しくなる。そのために、まずは相手を見ること。その中で相手の期待を掴み応えることで、相手から反応を得られて、仕事が楽しくなるのだ。
2012-07-05 21:47:21