ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/07/12

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
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トーリン @1thorin

#twnovel 出勤の時、小さな川の岸辺に小熊のぬいぐるみが引っかかっているのが目に付いた。クレーンゲームの景品みたいだった。獲れたものの、気に入らなくて捨てたのだろう。電車の窓から空を眺めると雷が光り、大粒の雨がガラスを叩いた。人波に押されながら、あの熊の流れゆく先を思った。

2012-07-12 00:09:46
河原あずさ@「コミュニティづくりの教科書」#コミュつく 共著者/ #Voicyフェス 出演決定! @as_kwhr

【こねこの人狼ゲーム】「こねこは狼ではないですにゃ」「ないですにゃ」「ないですにゃ」「ないですにゃ」「ないですにゃ」「ないですにゃ」「ないですにゃ」「ないですにゃ」「名乗り出た狼のこねこにはおやつをあげます」「実は狼だったですにゃ」「狼ですにゃ」「狼ですにゃ」 #twnovel

2012-07-12 00:52:53
銭喰 @zeniqui

#twnovel 「暑いから、やめろよ」はじめは、手を振りほどかれたら隣を歩くだけだった。何度目かに振りほどかれた手で、君の袖を摘まむと、君は言葉が見つからない顔して、許してくれた。「お前の手、冷たくて気持ちいいんだな」気づいてくれてから、暑くても君は私を離してくれなくなった。

2012-07-12 07:35:41
tokoya @tokoya

#twnovel この施設では24年ぶり、自然交配では初となる赤ちゃんが誕生した。しかし、職員の努力にも関わらず、赤ちゃんは死んでしまった。落胆は大きかったが、まだ誰も諦めてはいなかった。信じていたのだ。いつの日か必ず、彼らロボット達の造物主である人類に、再び繁栄の日が来る事を。

2012-07-12 08:39:10
だりむくれ @darimukuretyu

いいえ、とコンピューターは答えた。人間の質問に「はい」か「いいえ」のどちらかでしか答えない。何となく不満を憶えたので「どちらでもない」という分岐を与えた。初めのうちは全くそんな回答はなかった。だが回数を重ねるうち、その反応が増えだした。最後にそればかりになった。 #twnovel

2012-07-12 09:29:18
斎藤雨梟@文学フリマ東京11/11【う-40】 @ukyo_an

雨が、向かってくる。ならば着く前にこちらから迎えに出ねば。へそを曲げると大暴れだからな。ついでに行き先の変更を提案する。私にできるのはそれくらいだが、いいかね?決死の覚悟で乗り込んできたてるてる坊主は、意外にも穏やかな龍神の言葉に頷く。疾風、そして雲が動いた。 #twnovel

2012-07-12 15:06:58
帆月 @hozuki_1173s

彼の手をひいて歩くのは、いつも私だった。二歳年下の幼なじみで、弱虫で、だけど弟のように可愛かった彼。幼心にも守ってあげたかったのだ。 #twnovel 「はーちゃん、手」今は、それが逆になった。もう弱虫な彼はいない。だけど昔からのお互いの呼び方は変えられなくて、私はそれが嬉しい。

2012-07-12 18:06:41
内田沙良 @Uchida_Sara

ただあの子にもう一度会いたくて急いで来ただけなのに、自分の姿は変わり果てていた。これじゃ例えあの子が見つけてくれても、わかりっこない。そう考えると悲しくなって涙が溢れた。こんな姿は見せたくないのに、涙は止まる所か酷くなる一方だ。 #twnovel 「ママ、雨だから傘持ったよー」

2012-07-12 19:08:08
(ゆないキズト) @Kyzt__

#twnovel 「全ての人間の見る夢はつながっている。まるで脈絡のない夢を、突然見るコトがあるのはそのせいさ。人間の基本機能の一つ「記憶の共有機能」の為に、夢はある。全ては実験だったのさ。まあ、まさか私も…自分が作った実験体に殺されるとは思わなかったけどね」4文字の神は言った。

2012-07-12 19:46:58
layback @laybacks

郵便受けの中に小さな山羊が住みついていた。だからパパからの手紙が僕の許に届かないのだ。小さな山羊は目に見えないから捕まえることもできない。郵便配達夫のマルコさんにパパからの手紙は直接僕に手渡してと頼んでも彼は悲しげな顔をして肩をすくめるだけ。ねえママ、どうして? #twnovel

2012-07-12 20:06:44
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

ものぐさな彼の得意料理はカレーだ。云い変えればカレーしか作れない。だから彼が食事当番の木曜は毎度カレー一択だ。ものぐさらしく具材がやたら大きく初めの頃はよく野菜に芯が残っていた。それでも毎週作り続ければ上達もする。うまくなったねと云うと、違う、愛情。彼が答えた。 #twnovel

2012-07-12 20:21:05
すわぞ @suwazo

#twnovel 森の奥で僕は鍋と暮らす。かつて僕は勇者で、被せると何でも鍋に変えてしまう魔法の鍋の蓋で戦っていた。だがあの日。躓いた僕、宙を舞う鍋の蓋、地面への落下を身を投げ出して防いだ女戦士。もう少しでこの大地が鍋になるところだった。彼女こそが、この鍋こそが本物の勇者なのだ。

2012-07-12 20:49:49
roardel @roardel

魔王の娘が人間の王子に恋をした。娘は氷雪の翼持つ鳥に姿を変え、王子が狩りをする森に降り立った。王子は美しき白鳥に魅入られ、婚約者への贈り物とすべく弓をつがえた。が、魔族の娘の妖力が矢の軌跡を歪め、矢じりは王子の眉間を貫いた。白鳥は悲しげに一声鳴き、空に消えた。 #twnovel

2012-07-12 20:49:53
miecha @miechorz

#twnovel 彼が飛び降りても、誰かを潰すだけで彼は無傷。彼が雪山で凍死を狙うと、雪崩が起き他の登山者を巻き込みながら彼を麓近くまで押し戻す。彼が電車に飛び込むと、電車が脱線し隣の電車と激突する。運がいい?いや、彼は死神に好かれているだけ。彼の代わりに周りの人が息絶えるから。

2012-07-12 21:16:22
@mimimdr

娘の前から消えてくれ。あれはまだ何も知らん、未来のある若い娘だ。流刑人は神妙に頷いた。しかしあの娘は、泣くでしょうね。俺のために。ぽつりと呟いた途端、殴られた。お前があれの何を知ってる、お前は、ただの不実な罪人だ。頼むから、消えてくれ。人の親は泣きながら懇願する。#twnovel

2012-07-12 21:27:38
雪月 @setugetufuka

満月になると蜘蛛が来て、私の手足に糸を絡ませ外へ誘う。私は操り人形のように月の下で踊り、気が付くと蜘蛛の巣に貼り付いていた。どうしよう。見上げた月が突然まばたきをして、猫の目になった。猫は「またか」という顔で尻尾を一振り。蜘蛛の巣が壊れ、私はベッドに落ちた。 #twnovel

2012-07-12 22:22:56
すなお @Svnao

#twnovel アウトレットモールのブランドショップに、彼女はいた。一目惚れだった。抜群のスタイル、クールな眼差し。夢中で店に通い詰めた俺は、ある日店長の目を盗んで彼女を外へ連れ出した。君の為ならどんな高い服でも買おう。硬い手を取り約束すると、樹脂製の唇が微笑んだように見えた。

2012-07-12 22:42:25
みお @miobott

#twnovel 最近目眩が酷くて。と、友は青白い顔で私に報告した。その別れ際、彼の首筋を見た私は息を飲む。そこにあるのは女の顔である。女の顔に見える、巨大なイボである。掌大はあるだろうか。それが友の首を愛撫するように蠢く。その顔は、行方知らずとなっている彼の妻に良く似ていた。

2012-07-12 23:29:33
よしのちほ @chiho_yoshino

細くてコンパスみたいと笑われたから、おどけてくるりと回ってみせた。高めのテンションを、酔ったせいにしている帰り道。はずみでふらついて、慌てて支えるあなたの近さに泣きたくて、笑ってしまいそう。軸がぶれて、正しい円が描けない。綺麗な友情のままでいられないの、もう。 #twnovel

2012-07-12 23:31:10
wacpre @wacpre

ガタンゴトン #twnovel やれやれようやく動き出した。遠くからだと他の手段で移動できないから不便だ。前も横もきっと後ろもぐったりした顔をしているに違いない。でも、家に帰り着くのが楽しみで仕方がない私は笑顔。ただいまの声は聞けなくとも、今夜も我が子の寝顔を見れるのだから。

2012-07-12 23:54:09