- mikemaneki
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――そして、戦艦タナガーは出港した。隠れ家のように偽装がなされた第五埠頭から離れ、燃料弾薬、共に満載の状態で。唯一、乗組員は定数に満たなかったが、艦の士気は過去最高に間違いなかった。
2012-07-14 00:28:42「ISAF陸軍、接近の報あり! 戦車を先頭に進軍中!」 来たか、と艦長は艦橋で顔を上げる。時刻はすでに夕方近いが、快晴だ。航空機からの爆撃は熾烈を極めるに違いない。ただでさえ、敵には"リボン付き"がいるというのに。
2012-07-14 00:31:02「舵そのまま、最大戦速」 「舵そのまま、最大戦速、ヨーソロー」 艦長の命に従い、タナガーは白波を立てて洋上を突進するように進む。乗り上げるのは、橋の近辺がよいだろうと思われた。敵の進軍を阻止するには一番都合がよい。
2012-07-14 00:33:44艦底が、間もなく海底に辿り着く。すでに各主砲は全門を敵軍に向けていた。いよいよだな、と艦長はマイクを握り、全乗組員に達する。「タナガー全乗組員、艦長から達する」
2012-07-14 00:36:00「本艦は間もなく浅瀬に乗り上げる。不沈艦タナガーは、正真正銘の不沈艦となるのだ。遠慮はいらん、撃って撃って撃ちまくれ。敵は我が海軍を全滅させた気だろうが、それは誤りだと言うことを教えてやろう」
2012-07-14 00:37:46「諸君、今日までありがとう。諸君らは最高の海軍軍人だ。どうかあと少し、力を貸してもらいたい。エルジアの未来のために。若者たちが、一人でも多く生きて、再び栄光のエルジア海軍を創るその時のために。以上だ」
2012-07-14 00:39:59「敵軍、射程内に入りました!」 「空軍からの情報です! 敵機接近、"リボン付き"の存在を認む!」 来たな。艦長は空を見上げる。ジェットの轟音が響き始める空、あの"リボン付き"もいる。
2012-07-14 00:42:38見てろよ、"リボン付き"――上唇をぺろりと舐める。最後の戦艦の艦長は、しかしその眼に闘志を宿していた。艦長だけではない。タナガーの全乗組員がそうだった。
2012-07-14 00:44:45来い。エルジア海軍の、無敵エイギル艦隊の最後の栄光を見せてやる。 「主砲、撃ち方始め! テェーッ!!」 何門もの巨砲が、一斉に火を吹く。老兵の、戦艦タナガー最後の戦いが始まった。
2012-07-14 00:46:36はい、以上です。突然失礼しました。元ネタはエースコンバット04、「ファーバンティ攻略戦」に登場する座礁して沈まない戦艦です。この戦艦がタナガーであるかは不明ですが、そこはまぁ妄想による補完というやつで。
2012-07-14 00:48:55