20100707 さそりんプレゼンツ「あなたの知らない世界」第三話

七夕イベントと並行してカオスな進行です。第一話・二話は伊佐山さんとこに補完されてます。ありがとうございます!! 1)http://togetter.com/li/33468 2)http://togetter.com/li/33824 伊佐山さんによる七夕の本来の展開)http://togetter.com/li/34030
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さそりん @saso_bot

そろそろわかってきたかな。「勝者の契約」っていうのは、そんな明るい生半可な代物じゃないんだよ。獅子はその日も水瓶に「おい、じゃんけんしねえ?」っていってにやにやした顔で身を乗り出してくる。水瓶は結構まともに悩んだ。悩んだんだけどな。水瓶の場合特に「裏切る」って選択肢はなかったんだ

2010-07-08 00:37:39
さそりん @saso_bot

「獅子。オカルトは信じるか? ──お前がやったのは”勝者の契約”だよな?」

2010-07-08 00:40:27
さそりん @saso_bot

水瓶は、気付いたそうだ。自分を襲う冷気に。それは奴のせいじゃなく──奴の背後から、黒い瘴気が冷たい鎌のように水瓶の身体にまとわりついてるせいでそうなっているのだと。獅子は気のいい普通の人間の顔をしていたんだ。奴の背後の気配だけが致命的なぐらい凶悪だった。

2010-07-08 00:44:00
さそりん @saso_bot

そしてさらに気付いた。獅子は多分背後の悪霊の存在を知っている。──なんでそう思ったかって、獅子が泣きそうな顔で笑ったからだ。”いってくれるな”って面だったらしい

2010-07-08 00:46:21
さそりん @saso_bot

「水瓶。俺は多分勝つのをやめたら殺される」

2010-07-08 00:47:47
さそりん @saso_bot

水瓶が仰天して言葉をなくしていると、獅子はがっくりうなだれた。「お前だけが本当の友達かもしれない。──最初は良かったんだ。俺も人生最高の気分だったよ。でも、勝ちが永遠に重なりつづけるとみんな俺から離れていく」

2010-07-08 00:50:40
ししさま @sisi_bot

@game3_bot おい、おれのことも讃えていいぞ

2010-07-08 00:51:58
さそりん @saso_bot

「一日最低一回勝つ必要があるんだ。それが契約書の内容だから。人に恨みを買うような内容じゃなくて、じゃんけんでもいいんだ。だからじゃんけんいつもやってるんだよ。でも、さすがに二カ月ずっと負けっぱなしじゃつまんねえよな?悪い」

2010-07-08 00:54:13
さそりん @saso_bot

水瓶はきいた。「契約書って何だ」獅子はいった。「悪魔の。……たぶん悪魔だよ。俺には正体が解らない」

2010-07-08 00:56:10
さそりん @saso_bot

獅子自身は、いつも勝てるように努力はする。ただそれで獅子自身の力が追い付いていないとき、相手に不幸な災難が起こる。腹を壊したり事故にあったり忘れものをしたりとかそんなんだ。獅子は常勝の裏にあるものにやがて気付いて愕然としたが、その時にはもう戻れなくなっていたそうだ

2010-07-08 01:03:38
さそりん @saso_bot

「俺は、奴にだけは勝てない。そういう契約なんだ。一階の廊下のどん詰まりに誰も使ってない男子トイレがあるだろ。そこの個室の中に染みがあるから、話しかけろ。オマエモカテルヨウニナルゼ」最後のほうは無理矢理言わされたガマガエルみたいな声だった

2010-07-08 01:07:23
さそりん @saso_bot

……もう一回聞くが、お前、こういう時どうする?

2010-07-08 01:08:06
さそりん @saso_bot

言っとくがもう例の”悪魔”は人の負の念を食い過ぎてて、塩まいたぐらいじゃびくともしない

2010-07-08 01:09:48
さそりん @saso_bot

普通ならな、「絶対に近寄るな」ってことでファイナルアンサーなわけだよ。残念だけど普通は獅子がどっかでポシャって悪魔に魂まで食われるオチだろうな。でもまあ、ここからの水瓶の覚悟が振り切れてたっていうか、考え方がキテレツだったよ

2010-07-08 01:14:23
さそりん @saso_bot

まず奴は二学期の全てを捧げてこの悪魔に関する歴史を調べ上げた。悪魔が出現したのは学校の校舎自体が出来上がって六年後ぐらいだったそうだ。文献から聞き込みまで徹底的にやったらしい。多分獅子以外にも選ばれた奴が十人ぐらいいて、大体が東大とか海外の大学に入ったあたりで”燃え尽きる”

2010-07-08 01:18:18
がめ(休止中) @game3_bot

では最後に…本日のメインカクテル 七夕(だったね)スペシャルカクテル水瓶トロピカルを試飲いただきます!青汁ベースに各種スピリッツと笹エキス配合。抽出するの大変だったよ…、それでは、健康を祈って乾杯!

2010-07-08 01:19:48
さそりん @saso_bot

もう人に勝ちたくない。安らぎたい……って日がくるのさ。あとは病気や不慮の事故なんかで一日勝負ができなかった場合だ。奴らは根本的には不特定多数の念の集合体だからな。”待て”ができない犬みたいなもんだ。そうなったら終わりだ。想像したくもない末路だな

2010-07-08 01:22:09
ししさま @sisi_bot

いや、さすがにそれはヒく

2010-07-08 01:22:10
さそりん @saso_bot

獅子も、多分放っておいたらもたない。で、冬休みに「あること」をしてから水瓶は奴なりの勝負に出たわけさ。奴は新学期が始まると一階のどん詰まり、誰もいないトイレの個室へと向かった

2010-07-08 01:25:11
さそりん @saso_bot

トイレの個室はしんとしていた。水瓶は、最初獅子の言っていた「染み」がどれかわからなくて苦心したもんだ。──悪魔はそのとき、頭の中に話しかけてきた

2010-07-08 01:27:08
さそりん @saso_bot

「こっちを見ろ」──吸い寄せられるように見た隅の陰に、冷たいコンクリの壁に、髑髏の形の染みがあったそうだ

2010-07-08 01:28:18
さそりん @saso_bot

「お前も勝ちたくなったのか」「ああそうさ」水瓶は返事をしてしまった。髑髏が、一瞬にやりと笑った気がした。──水瓶はそれを確認してから個室のドアを開けた

2010-07-08 01:30:33
さそりん @saso_bot

「さあ、みんな来てくれ!」

2010-07-08 01:30:55
さそりん @saso_bot

水瓶の一声で、トイレにずらずらと人が入ってきた。獅子が来るまでトップだったバスケ部のエースや学年トップの秀才や、他もろもろ、獅子に煮え湯を飲まされた連中だ。契約の方法は簡単なんだ。髑髏が「はいと言え」と強要してきたら「はい」と言えばいい

2010-07-08 01:32:57
がめ(休止中) @game3_bot

あとはなんなりとご自由に。僕はラボに戻ってソファで寝るよ。…大勢が泊まれるような設備はないけど、寝袋なら2、3貸し出せるので言って。楽しかったよ愛してるそれではおやすみなさい。

2010-07-08 01:35:19