主人公の九音の能力は仕草や会話から人間の感情を推察する訳だが、4巻では人間が他者に対してどの程度の距離で接するかによって、その人間に対する信頼や交友関係が分かる、というのがテーマで素晴らしいのが要所要所で登場人物同士の距離や位置関係を、その関係に応じてきちんと距離を設定して描く。
2012-07-20 22:47:09という訳で4巻の見どころは「登場人物の空間距離が人間関係を表している」なので、一度読んでからもう一度コマごとの人物同士の距離を見直して読むと倍面白い。そしてここからが本題。今回空間距離を把握しつつ読み直して改めてこのマンガの本当の凄さが分かったことについて。
2012-07-20 22:51:23九音は行動心理士であるので本編の要所要所で、「こういった行動はこういう意味である」と人の動きに対して、解説していきます。例えば「相手に対してつま先がL字型になっているのは会話を打ち切って足の向いている方へ立ち去りたい心理」という具合です。
2012-07-20 22:55:37こういう描写が積み重なるとどういう事が起きるかと言いますと、「人物の絵を描いた時にその仕草が過去に書いた行動心理に当てはまっていないと整合性が取れなくなる」要するに人物の絵と過去の説明が常に一致していないといけない。
2012-07-20 22:59:44さっき上げた例を出すと「二人の人物が会話している時に一方のつま先がL字型になっていたら、必ずその人物は「立ち去りたい」と思っていなければいけない」そうでないとこのマンガが崩壊します。そしてマンガというのは常に登場している人物は絵にして描いていないといけない、ということです。
2012-07-20 23:02:51例えば小説ならば人物が登場していても、いることをのみを書いて、その人物の仕草などは描かずに省略すれば済みますが、マンガは違います。人物が登場すれば、それを絵にしなければなりません。しかも、その絵は過去に説明した行動心理と常に一致していなくてはなりません。
2012-07-20 23:06:52しかも、その行動心理は話が進めば進むほど増えていきます。その事に四巻で登場人物の距離感を読み直してようやく「このマンガは凄い制約の元に描かれている」という事に気付いた訳です。これもっと早く気付くべきだった…、こんなに凄い作品だと正直思っていなかった。
2012-07-20 23:10:24これ以降話が進めば進むほど制約は増えて大変になるだろうけど、こういった作品を造っていき、成功していることは真摯に褒めて、今後の展開に期待していきたい。
2012-07-20 23:11:55