［感想（ネタバレあり）］おおかみこどもの雨と雪

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「おおかみこどもの雨と雪」観てきた。ピントがズレた作品だった。以下感想。（続く）

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そもそも細田作品って前二作で分かるように、物語自体は非常に好き嫌いが分かれる作品。今作も「そんな爽やかな人間関係の田舎があるか」とか「子育ては女の仕事だという無意識の～」とか言おうと思えばいくらでも言える。でもそんなのはいつものこと。（続く）

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それよりも問題なのは「主人公たりえない人物を主人公に据えてる」こと。花（母親）は主人公として明らかに不適格。理由は簡単、ただの”超人”だから。だって初登場で1人だけスポットライト浴びて登場するんだもん。モブは暗く潰されてるのに。（続く）

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花は超人故の無尽蔵の包容力と母性とバイタリティで人生を突き進んでいく。狼男を受け入れちゃうし、自然分娩するし、幼い子供を抱えて独学で田舎に引越しちゃうし、田舎の皆を虜にしちゃうしetc...。おまけに作中で十数年の時間が流れてるのに、年をとった様子もない。不老の超人。（続く）

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そんな超人伝説を客はただただ「すごいですね」と見守るしかない。感情移入のしようが無い。ドラマが無い。（続く）

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最も障害になるであろう経済面も、田舎が「経済基盤を持たない花を助ける互助システム」として描かれ、ふわっと彼女を受け入れちゃう。そんな超人。（続く）

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明らかにこの物語の主人公は雨と雪で、彼らを巡る話にしか物語全開を引っ張るドラマは無い。そしてそのドラマは花を主人公として描くことで薄れている。もっともっと雨と雪のエピソードが観たい！！（続く）

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あの施設の狼と雨との間にはどんなコミュニケーションが？姉弟ケンカ後の二人はどうやって仲直りを？二人と田舎の人々（特に偏屈ジジイ）との間にはどんなことが？雨の登校初日のクラスでの様子は？雨が去った後の雪の反応は？etc...（続く）

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俺はそれが観たい。（続く）

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あと、ラストの雨との別れに関しては、超人設定をもっと利用して「超人のように見えたけど、実は子供に依存していた子離れのできない普通の母親だった」てな感じとかにすれば、もっと味わい深いシーンになっていたと思う。（続く）

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それにしても草平の未来はどうなったのだろうか・・・。まさかホントに家出して挌闘家に？あんなにいい奴なんだからいい未来を描いて欲しかったな～。もやもやする。（続く）

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まぁもちろんいい所も沢山あって、作品全体が細田監督の言うアニメの原初的快楽（？だっけ）に満ちているわけですよ。雨と雪が動き回るだけで楽しいわけですよ。二人がケンカをすれば胸が締め付けられるわけですよ。草平の漢っぷりに、そうじゃなかった自分を晒され、死にたくなるわけですよ。（続く）

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でもそういう原初的な快楽って「けいおん」とかにも溢れているから、細田監督の専売特許ってことでもないわけで。もう少しその快楽＋αを大きくして欲しいな～と無責任な期待をしちゃうわけです。（続く）

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観る価値はある作品です。でもこの作品が気に入れば気に入るほど、この映画の”ズレ”が気になってしまうのではないでしょうか。小説などでの補完が必要かもしれません。

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あぁあと、声優さんに関しては可もなく不可もなく。狼男役の大沢たかおさんは良かった。あの浮いた感じが「人間社会に適応はしているけど同化はしていない」って感じが出てた。宮崎あおいさんは超人感は出てたけど、下手に経験があるせいかこなれた感じ。

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（「おおかみこどもの雨と雪」感想追記）二回目見てきたので追記。

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（「おおかみこどもの雨と雪」感想追記）当然、細田監督は優れた作家なので巷の批判に関しては沢山のエクスキューズが作品内に用意されている。だから、この作品に対する行き過ぎた拒否反応には疑問。

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（「おおかみこどもの雨と雪」感想追記）花は超人として描かれるけど、勿論ダメダメな部分も沢山描かれていて、”完璧超人”としては描かれていない。超人というのは枠外の存在という意味であって、全能者じゃない。

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（「おおかみこどもの雨と雪」感想追記）田舎に関しても、”一応”定年退職後のおっさんを悪者にすることで、花の「共同体加入試験」の合格が描かれていて、何にもないわけじゃない。

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（「おおかみこどもの雨と雪」感想追記）でもやっぱり、そういうエクスキューズが”ただのエクスキューズ”にしかなってない感は強い。

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（「おおかみこどもの雨と雪」感想追記）二回見てもやっぱり花と雨の別れのシーンでは、もっと花の醜い依存心を描いた方がそれ以前の超人描写がフリとして活きると思う。

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（「おおかみこどもの雨と雪」感想追記）雪と草平とのラストの感動のやりとりも、例えば「おおかみの姿になった雪が草平と性的な接触をする（キスなり握手なり）」みたいにすれば、前半のおおかみ男と花の衝撃的なセックス描写と対応する感じになって、雪の思春期問題のラストとしていい感じだと思う。

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（「おおかみこどもの雨と雪」感想追記）そこまでやってくれれば、単なるエクスキューズじゃなく全体の物語ももっと盛り上げるラストになったと思う。現状ではやっぱり片手落ち。こんなものならやっぱり花を物語の中心から外して、雨と雪を主人公にしたほうがいい。

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（「おおかみこどもの雨と雪」感想追記）あと、花の加齢が感じられないことに関しては「いやいや！！老けてるじゃん！！」ってとある人に言われたけど、俺には感じられなかった。というか、加齢を感じさせようとしている演出は感じ取ったけど、単純に「そこは声優でいいんじゃね？」って感じ。