クローズアップ現代「なぜ真実がわからない~大津・生徒自殺 問われる調査~」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
- 5577
- 0
- 0
- 2
冒頭のVTR
<ナレーション> 学校に警察の捜査が入る事態となった、大津市の中学生自殺問題。警察は近く生徒300人あまりから任意で事情を聞くことにしています。強制捜査にまで至った背景には、学校が行う調査の限界がありました。
2012-07-24 20:07:48<ナレーション> 子供たちから寄せられたのは、「自殺の練習をさせる」「口にガムテープを貼る」など200件を超える情報。しかし学校や教育委員会は情報を生かすことができず、遺族の苦しみを深めています。
2012-07-24 20:10:33<ナレーション> 自殺の原因を知る新たな手法として注目されているのが、第三者による調査委員会。全国で少なくとも3か所で行われていますが、調査の進め方に納得のできない遺族もいます。真実を知りたい遺族の思いになぜ応えられないのか。調査はどうあるべきか、考えます。
2012-07-24 20:14:31ここからスタジオです
国谷:こんばんは、クローズアップ現代です。去年10月大津市で中学二年生が自殺した問題をきっかけに、学校や教育委員会が子供のいじめや自殺の実態を十分に把握できていないという批判が高まっています。
2012-07-24 20:18:22国谷:そしてなぜわが子は自ら命を絶ったのか、真相を知りたいという遺族の気持ちに寄り添った事実の解明が行われず、遺族が置き去りになっている実態も浮き彫りになりました。小学校から高校までの子供の自殺は、平成22年度警察庁のまとめで287人。
2012-07-24 20:21:41国谷:文部科学省のまとめでは156人と大きな開きがあり、自殺した生徒の人数の把握すらも曖昧です。こうした中、子供を自殺で失った遺族は学校に調査を求めても、調査が行われない。調査が行われたとしても、親にその中身を教えてくれない。
2012-07-24 20:23:47国谷:遺族は長年苦しみ、司法の場でしか事実が明らかにならないとして、裁判に訴える例が後を絶ちません。「原因を究明することで再発防止につながる。悲しい自殺を繰り返さないためにも調査が必要だ」という遺族の働きかけにより、去年6月文部科学省はこの一通の通知を出しました。
2012-07-24 20:27:07国谷:これにより学校や教育委員会は児童や生徒の自殺があった場合、必ずその背景を探る調査を主体的に行うことが求められるようになったのです。調査にあたり遺族の要望を聞き、説明を行うことも記されています。遺族にとって客観性に納得のいく調査になるのか。
2012-07-24 20:30:41国谷:学校にとっても一人の子供の死から、できる限りの教訓を得られるものになるのか問われています。通知にもとずいた調査の主体は学校と教育委員会です。しかし今回この通知に沿って大津市で行われた調査から見えてきたのは、学校が主体となるが故の限界だったのです。
2012-07-24 20:33:38VTRが流れます
<ナレーション> 自殺した男子生徒の父親が書いた手記です。「初めて会った人でも年齢に関係なくすぐに友達になる」「ジョークで家族を笑わせてくれる本当に心のやさしい子でした」「息子の自殺の原因が何であったのか真相が知りたい」
2012-07-24 20:38:19校長の会見(当日):これやという原因は見当たらないんですわ。引き続き学校内でできる範囲のことにつきましては、今後も調査を続けていきたいなと思っております。
2012-07-24 20:42:19<ナレーション> 学校は国の通知に沿って調査を開始。全校生徒にアンケートをしたところ、いじめや暴力などの情報が200件以上も寄せられました。なかでも多かったのが、自殺する2週間前に開かれた体育大会での出来事です。
2012-07-24 20:45:12<ナレーション> 「はちまきで縛られていた」「死んだハチを食べさせられた」他にも「自殺の練習をさせられていた」という記述もありました。
2012-07-24 20:47:11<ナレーション> しかし学校はいじめがあったことは認めたものの、自殺の原因を解明するには至りませんでした。当時、生徒の間には動揺が広がっていました。学校は心理的な負担をかけたくないとして、踏み込んだ聞きとりはできなかったといいます。
2012-07-24 20:52:14<ナレーション> 例えば「自殺の練習をさせられていた」という情報、16人が書きましたが、記名で回答したのは3人だけでした。この3人に聞きとったところ、伝聞だったとわかりました。学校は本当に自殺の練習をさせられていたのか、徹底した確認はしませんでした。
2012-07-24 20:55:37<ナレーション> 一方、いじめたとされる同級生への聞き取りも進みませんでした。本人が学校に来なくなったり、保護者から断られるようになったからだといいます。同級生は「男子生徒をいじめたのではなく、遊びのうちだった」と主張。
2012-07-24 21:00:18大津市教育委員会・松田教育部長:子供たちの動揺があったり現場の混乱の状況の中で、いかに(情報を)きちっと聞きとって分析していくか。事象の確認というのは本当に難しいことだなと。
2012-07-24 21:04:01<ナレーション> 学校は男子生徒の父親に「いじめと自殺の関係はわからない」と報告しました。父親はもっと調査を尽くしてほしいと、当時の保護者会で不満を訴えました。
2012-07-24 21:07:00父親(保護者会で):アンケートの中身は読んでいても、吐き気すらするような内容だったのですが…子供さんが一生懸命書いていただいたと思うんです、勇気を出して。だけどその内容は使われない。活用されない。問われることはない。いいのかな、それで。
2012-07-24 21:10:36