歌舞伎の音:附け打ち・山崎徹さんの講演内容まとめ

2012/7/26に六本木ミッドタウン スルガ銀行d-laboさんで行われた、歌舞伎の附け打ち・山崎徹さんの講演内容をまとめました。ふだん知ることのできない様々な工夫や役者さんのエピソードなど、非常に興味深い内容です。
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@wy70

ツケ木は白樫。拍子木と同じ素材。 拍子木は面が丸くなってるのでチョンと高い音が出るが、ツケ木は平面。ツケ打が自分で発注して作る、自前のもの。ツケ板は欅の芯材一枚板。三尺くらいの木から取るのでとても高価。なので他人には叩かせたくない(笑) #附け打徹さん講演会

2012-07-27 00:05:14
@wy70

ツケの起源はどうやら村芝居など荒神が出る時の効果音。今とは違って超人的なものが出る時限定だったらしい。なので、むかしは荒事の登場などにつける音がメインだった様だ。今はひとにもつくし、女形さんでも打つことが増えている。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 00:07:43
@wy70

ツケ木はお尻が丸くなっている。そのお尻から打ち下ろして、そこから円を描くように打つ。いきなり面で打つと平坦でキレのない音になる(見た感じ、とても手首の負荷が高そう)。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 00:11:04
@wy70

補足)打ち込み方を図解するとこんな感じです。附け木は後ろか丸いのですが、それはこの動きのため。すごい手首の負担が想像出来ますねぇ。 #附け打徹さん講演会 http://t.co/IwTXCrd6

2012-07-27 13:18:23
@wy70

三ヶ月くらい練習するとちゃんと丸く打てる様になり、音が出るようになる。練習は目の前に立ち鏡を置いて姿勢を確認しながら。その次は右と左が同じ音を出せるように。さらにリズムを取って規則的に打てる段階へ。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 00:12:42
@wy70

ツケ木は深く握りこまない。木と手の隙間を持たせて、落とした瞬間にグッとチカラを入れる。薬指と小指は添える程度。そうすることで音に響きが生まれる。リズムは難しい。 練習はやり過ぎてもだめ。力が抜けないといい音にならない。チカラが抜けて響く音になっていく。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 00:14:11
@wy70

補足)附け木の握り方は図解するとこんな感じです。あくまで打ち込むまでは柔らかく、手のひらと附け木の間に空間を持たせる。 #附け打徹さん講演会 http://t.co/TpCoHWUK

2012-07-27 13:16:42
@wy70

劇場の寸法を身体に入れるため、役者さんが花道を出て上手に入る動きを何度もシミュレートして練習し、舞台の寸法を叩き込む。金丸座なら金丸座の寸法(間合い、音量)があるので、それを入れる必要がある。ただし、、劇場が違っても芝居の種類で守るべき間合いはある。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 00:16:27
@wy70

徹さんのこだわり →大時代では 右で打つ方を強くメリハリを。→世話 左を強く打ちアクセントの位置を変えて行くことで雰囲気が変わる。左右を同じままだとベタついて、例えば立ち回りなど、盛り上がらなくなる。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 04:44:35
@wy70

ツケは江戸は大道具が担当していたので江戸歌舞伎は音に荒っぽさがある。関西では狂言方。なのでキ(iPhone漢字が出ない)も打つ。ツケを打って、サッと持ち替えてチョンの早業。むかしはさらに片手でキを二つ持って刻みながら幕も閉めたこともあったらしい(笑) #附け打徹さん講演会

2012-07-27 04:44:35
@wy70

役者の世話をするひとが自分の旦那が出る時だけ打ってた時もあった。昔は座付きから、役者に気に入られて専属になるケースも昭和20-30年くらいまではあったらしい。30年代後半くらいから座付き大道具になっていった。平成になった頃から座付きでは間に合わなくなった #附け打徹さん講演会

2012-07-27 06:40:02
@wy70

いまはつけうち専門職としてやっている→平成7年から会社組織としてスタートして今年で20年目。サラリーでやってはいるが、サラリーマン的になりたくないので、あくまで役者さんや劇場さんに請われる人は仕事が多いという体制にしてる。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 06:41:50
@wy70

同じ演目でも役者さんによって違うこともある。例えば幸四郎さんの勧進帳の幕外。いったん振り返って前を向く時は「あばれ打ち」という派手な打ち方で、初代吉右衛門さんについていた田口さんという方の打ち方らしい。(今度から気をつけて聞いてみたいです) #附け打徹さん講演会

2012-07-27 06:44:39
@wy70

中村屋さんの見得の時は「かすめ打ち」という、やはり中村屋独特の打ち方がある。これは音で言うと「バー・ツ・タリ」となる。ふつうは二つだけ打つ間に小さくもう一つ打つ。勘九郎襲名の御所五郎蔵では海老蔵との場面もかすめを入れる方で統一した。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 06:49:05
@wy70

海老蔵さんは100%全力を求める方。打ち上げの見得など、通常なら連続音でいくところも、せっかく打つなら一音一音をハッキリ力強く打って欲しいと。海老蔵さんは見得が上手なのでツケも合わせやすい。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 06:53:57
@wy70

玉三郎さんはご自分が教わった時代を克明に記憶されていて、当時の音を作るよう指導される。例えば仕丁の出る時、今は弱く細かく打つが、強く大きく大時代な味で。役者の演技に大きくつくのが大切。いまは写実過ぎると。ツケの音は芝居なんだから、見せるように打ちなさい、と #附け打徹さん講演会

2012-07-27 06:58:22
@wy70

アイデアをたくさん出してくるのが勘九郎をはじめとした若い世代。 笹野さんも袖で見得を練習したりされてるが、やはり歌舞伎役者さんほどに間を引っ張りきれないので(それほど難しいみたいです)笹野さんに合わせた打ち方をしている #附け打徹さん講演会

2012-07-27 07:01:15
@wy70

関西では上手、下手の両側で打ったり、三人で180cm程の長い附け板で一緒に打ったこともあるらしい。 大阪法界坊では上手に下手でやろうというアイデアが菊十郎さんから出たいたが、結局やらなかった。いつかやってみたい。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 07:03:26
@wy70

コクーンは附け場がなく、黒御簾音楽の場所もない。初めての時は「附け場を守らねば!」と思ったが、中村屋や橋之助さんからコクーンでは頭を柔らかくと言われ、いろんな場所で打った。 ちなみに囃子方とツケは近すぎるとだめ。空間に広がりが出ない。距離感が大切。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 07:13:17
@wy70

コクーンのパーカッション熊谷さんインタビュー映像→綺麗で鋭いのに耳にいたくない音に驚き、ドキドキ。自分らは一定のリズムを刻むのに命がけ。ツケは芝居の間でいい音をいれてお芝居をプッシしてる。自分たちにはない感覚で驚く。コクーンでは違う世界が融合できた。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 07:16:12
@wy70

音楽監督平田直樹さんのインタビュー→ツケが「聞こえない時」がある。それはまるで役者の身体がなってるように見えるから。筋肉の音、感情の音。それは本当なら聞こえないのに聞こえてる。それがツケのステキな魔法のようなところ。(素晴らしいコメントで感動~) #附け打徹さん講演会

2012-07-27 07:19:06
@wy70

熊谷、関根さんと少し対談→徹さん:ツケは演奏家ではないので、強調という観点でお客さんの気持ちに入っていく。今回コクーン18年の中で音楽とツケが一番ピタリときた気がする。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 07:26:52
@wy70

熊:ドンタッポの意味がわからなかった。皆さん普通使う言葉に戸惑ったw その後三つ太鼓教わって気に入ってきたのに、松本の直前に「新しいことやってみて」とww チーム全体に新しいことやってみて!な空気が満ちていて楽しかった。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 07:28:05
@wy70

後半は菊五郎劇団音楽部の望月太左成さん、役者の中村橋吾さんが加わり、様々な音を演奏。また橋吾さんの実演付きという贅沢な流れ。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 07:40:19
@wy70

橋吾さんによる十種香の白須賀六郎フルサイズ実演。義太夫はこの日のために徹さんが愛太夫さんに中村座で吹き込んで貰ったそうです。目の前で太鼓が、ツケが鳴り、橋吾さんが演じる。その迫力はかつて経験したことがなく、会場の興奮も凄かったです。 #附け打徹さん講演会

2012-07-27 07:46:03