#僕の廃墟体験記　３（ゾンビサバイバル、体験記風まとめ。）

@n_kano_mywords

【七日目】【休息】無人のマンションの一室で宿をとる。しかも運良く、未開封の缶詰をいくつか発見した。翌朝、窓をひっかく音で目覚め、急ぎその場を後にした。ＨＰ：＋３　食糧：＋３ http://t.co/3KNpFNeE　#ゾンビサバイバル 　

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【７日目】僕はとある無人のコンパートメントの前にきた。中に入ってみると、廊下にいくつかの扉が面した作りで、収容所のようであった。僕は以前見た映画を思い出して身震いした。ホラー好き・アングラ好きの友人に誘われて無理やり見させられたあれは、大変望ましかった。　#僕の廃墟体験記

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そう、僕もホラー好きの某友人みたいだったら、このゾンビのあふれる街でさぞかし楽しめていただろうと少し友人の性癖をうらやましく思いながら、けれど、それは僕には無理なんだいなことであった。前からいうように、僕は極度のチキンである。『震え・ど・チキン野郎』である。　#僕の廃墟体験記

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なに使えるものがないかと一部屋に入る。僕はそこで……あっさりと、食料を見つけた。缶詰だ。　#僕の廃墟体験記

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以前の僕であれば、それを盗む――いや、拝借――するのに、一抹のためらいは見せたことだろう、が、しかし、今の僕にはそのような余裕はなかった。…余裕？否、そのような「罪悪感」など感じる隙も無かった。―――僕は生きなければならない。他人の『何か』を奪っても。　#僕の廃墟体験記

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僕はふと滑稽に思うのだ。先ほど見てきたコンパートメントの各空間、均質に扉と扉の間が空いて、無機質で殺風景なあの空間、あそこに、かつて人々――大勢の家族や若者、老人たちがめいめいそれぞれに『幸福』を追い求めて身をよせて暮らしていた、そういう事実を。　#僕の廃墟体験記

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彼らはきっと、人生において目的を持って何かを「築き上げてきた」と自負しているに違いなく、しかし、かれらが消費したその財産は、物質的に言えば、今やただのコンパートメントの中のつもった塵なのだ。　#僕の廃墟体験記

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精神的に言えば…なんなんだろう。　思いを巡らせかけて、きっとこういう類の問いはどうどうめぐりになるんだろうなと、ふと気付いたので、僕はその部屋で横になった。無防備に。　鍵は部屋の中にあってかけといたし、大丈夫だろう、と。　#僕の廃墟体験記

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朝が来た。空がまぶしい。朝の空は、世界がこんなになってもすがすがしいのか、と、妙な部分に感心しながら、僕は出立の支度を整える。よろよろと。そしてゆるゆると。そのとき、外から、壁をひっかく音がした。僕は慌ててバックバックに品々を詰め込んで、部屋の外へでる。　#僕の廃墟体験記

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まだ廊下には、なにもいなかった、人もゾンビもなにも。僕だけしかいない、というその事実に妙な安堵感を覚え、ふうとため息をつき、外へ出た。人がいないことで「安心」するなんて、僕は変わってしまったなあ。　　『六日目終了　HP90 食糧94　アイテム：治療薬、お守り』　#僕の廃墟体験記

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今日のn_kano：【探索】わしの食糧は誰にも渡さんぞ！　とわめきちらす元金持ちらしき中年男を発見。もし襲って奪うことにするなら、３のダメージを受け、食糧９を得る。いずれにせよ食糧：－３ http://t.co/3KNpFNeE　#ゾンビサバイバル

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【８日目】【探索】昼下がり、街道を歩いていたら、元、オープンテラスカフェのようなところで、『わしの食糧は誰にも渡さんぞ！』とわめきちらす中年男をみつけた。どうやら、その店の従業員といがみあっているようだった。おそらく、店の貯蔵物を盗んでみつかったのだろう。 #僕の廃墟体験記

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身なり自体はよく…いや、服はよれていてところどころかすってはいるが、デザインといい、生地といい、高級品のそれだったので、ああ、この人は、元金持ちで、生活レベルを落とすことが誰よりも苦しく感じたんだろうな…と想像した。あくまでも想像だ。　#僕の廃墟体験記

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かといって人のものを（目の前で）堂々と盗んで良いかと言ったらよいわけではない。…いや、この荒廃した世界では、善い悪いの価値判断自体が無意味だ。無益だ。だから、確かに彼の行為はとがめられるほどでもないとも言えるが…現行犯で捕まっている以上勝ち目はまずないだろう。 #僕の廃墟体験記

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今僕は（目の前で）と書いた。それは…僕自身にもそれが…あるからである。ハザードマップといい、昨日の缶詰といい。外の街に居た頃は、僕は困難ではなかった。堂々と悪を糾弾でき、私利私欲におぼれる人間を哀れみ、かつ毅然とした態度を取ることができた。しかし今はどうだろう。#僕の廃墟体験記

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はあ、と僕は道の隅で、自戒の為のため息をつき、そしていがみ合っている現場の脇を何事も無いように通り過ぎた。彼らは僕には気づかないし。僕も彼らに興味はない。それでいい。そういえば…と僕は思った。「いじめでは無視するやつも加担者だ」という主張もよくきくが、　#僕の廃墟体験記

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今までは、それは「あてつけだ」と思っていたのだが、案外そうでないのかもしれないな。もう、はるか背後のテラスの中からはまだ、中年男性と若い店員の声が聞こえる。　ああ…「食糧は渡さん！」…その食に対する執着はすごいと思った。少し尊敬の念さえ浮かばれる。…妙な価値観だ。#僕の廃墟体験記

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そしてがちゃんと大きな音がした。中年男性の声が聞こえなくなった。　死んだのか口をふさがれただけなのか、麻酔薬をかがされたのか…ずっと遠くの僕にはもう、なにが起こったのかは知る余地がない。　僕はそんな事には興味はなかった。前へ進むのみ、で。　…少し、哀れみは感じた。#僕の廃墟体験記

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「食べ物…ね」僕は手にしていたチョコレートバーを、とびきり硬い奴を、片手で握りつぶして捨てた。　…まあ、その日に起こった事件で僕にもたらされた変化は、それだけだ。何の事もない。　【八日目終了　HP90 食糧91　アイテム：治療薬、お守り】　#僕の廃墟体験記　#ゾンビサバイバル