茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第679回「直接性の時代において、中間に立つ者は何をすべきか」

脳科学者・茂木健一郎さんの8月8日の連続ツイート。 本日は、今朝のツイッターのTLのあるトピックについて。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-08-08 06:51:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第679回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝のツイッターのTLで目にしたあるトピックについて。

2012-08-08 08:30:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちち(1)朝起きるとツイッターを見るのが習慣になっている。トレンドワードで最新のニュースがわかる。そして、今朝は、佐々木俊尚さん(@sasakitoshinao)がつぶやかれていた内容が、とても興味深かった。佐々木さんが契約している電子書籍出版サービスの「仲介料」についてである。

2012-08-08 08:33:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちち(2)佐々木俊尚さんによれば、今まで手数料が30%だったのを、60%に上げることを要求してきたのだという。佐々木さんはこれを「ガラパゴス中間搾取」だと批判し、「日本の書き手は中間搾取業者に騙されすぎ!」とつぶやいた。それで、考えたこと、思い出したことを今日は書こうと思う。

2012-08-08 08:36:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちち(3)現代は、「直接性」の時代である。個人が、自分でコミュニケーションし、学び、表現できる時代になっている。そのような時代に、「中間」に立つものの存在意義、そしてその役割は何かが問い直されている。佐々木さんのつぶやきは、一つの問題提起であるように思う。

2012-08-08 08:37:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちち(4)問われるべきは、中間に立つ者が、実質的にやっている仕事、提供しているサービスは何かということであろう。例えば出版社は、従来、著者やテーマの選択、本の内容の吟味、編集作業、制作、宣伝、告知などのさまざまなサービスを提供してきた。印税率10%は、その結果である。

2012-08-08 08:42:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちち(5)電子出版の時代になっても、従来出版社が提供してきたのに相当するサービスの必要性が消えるわけではない。むしろ、実質が問われ、筋肉質になることが問われる。参入障壁は減ずるから(日販、東販の口座が不要になる)、競争は増大し、実質的なサービスの内容が問われる。

2012-08-08 08:41:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちち(6)出版だけでなく、例えば大学も、今後はその存在意義が問われる。明治期に、欧米の文化を輸入し日本に行き渡らせる「文明の配電盤」として成立した日本の大学。ネット経由で、論文にしろ講義、授業にせよ世界の情報が直接来る時代になったとき、大学の存在意義はどこにあるか?

2012-08-08 08:44:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちち(7)従来文系がともすればそうだった学術情報の輸入、翻訳ではなく、対面の議論を通したコミュニケーションの現場や、学習の方向のガイダンス、仲間との出会い、結びつきの場など、「大学」という場でなければ提供できない効用を設計しなおすことが、「直接性の時代」には求められている。

2012-08-08 08:46:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちち(8)近代的な出版業が立ち上がった時には、何を仕事として著者との間でどのように利益配分をするのか実質的に模索したのだろう。時代が流れて、考えずに慣習に従うようになった。大学も同じこと。明治期の清新さと緊張がいつか惰性と弛緩に移り、下手をすればもったいぶるのが仕事になっている。

2012-08-08 08:48:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちち(9)ネットが直接性の原理をもたらした今、すでに確立したに見える慣行の起源を問い、実質を見極めることが求められる。改革とは、すなわち、再設計である。インターネットという新しいメディアの登場によって、再設計の機会がカンブリア爆発した。慣性の法則にただ従う者は、淘汰されるだろう。

2012-08-08 08:49:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第679回「直接性の時代において、中間に立つ者は何をすべきか」でした。

2012-08-08 08:50:10