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zero0andone1
@zero0andone1
こんな肌も髪も黒く、「夜叉の眼」と言われた私にも、彼女を始めとした家臣たちはこうして、慕ってくれている。 喜ばしい事だ。彼らには感謝するとともに、こうして倒れないようにしなくてはならない。
2012-08-09 21:34:14
zero0andone1
@zero0andone1
「…いいや、すまない。今、行こう。」 伸びをして立ち上がる。父が倒れてからというもの、自分の引き受ける仕事が多くなった。そのため、あまり睡眠をとっていない。 「新しい長も倒れてしまっては、元も子もございません。どうか、休憩位はおとりになって下さいまし。」
2012-08-09 21:32:49
zero0andone1
@zero0andone1
「・・・?長?」 女中の声で目が覚める。どうやら書斎の机で考え事をしているうちに眠ってしまっていたようだ。外はもうすでに暗い。 「時間になっても夕食にいらっしゃらないモノでしたから、お呼びに来たのですが。どうやらお疲れだったのですね。」
2012-08-09 21:30:51
zero0andone1
@zero0andone1
私には母と過ごした記憶が全くない。 ただ、父は契りを交わしたことを、後悔するくらいに嫌っていた。 母と会話がしたかった。よく言う、「愛情を注ぐ母」が、欲しかった。
2012-08-09 21:27:53
zero0andone1
@zero0andone1
私が父の顔をのぞくと、父は視線を向けてきた。しかしそれは、今までになく、冷ややかなモノだったと、記憶している。 いつもは温厚な父。一族を取りまとめ、何事にも屈しようとはしなかった父。だが、母には極めて、冷たかった。
2012-08-09 21:26:16
zero0andone1
@zero0andone1
もっとも幼いころの記憶。それは、葬式の列が重い足取りで歩く様子だった。 大人はみな、うつむくか、ハンカチを目元で抑えている。父に握られたこの右手は、少し冷えていたと思う。 父はただ立っていた。無表情に、ただ墓石の前に立っていた。誰の葬式か。そう、彼の妻である母の葬式だったはずだ。
2012-08-09 21:24:28