世界樹妄想日記まとめ

練習兼ねて作ってみた。
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第二の谷冒険開始。ミスティックの見た目とスペックに惚れた
(無印世界樹の時には毒アルケミを偏重していた)
ため、ちょっとテンション上がってました。

里村邦彦 @SaTMRa

皇帝の月31日、キヨミ記。イル・ミリオネは第二の谷に到達した。これ自体はもはや驚くべきことではない。赤熊王討伐は幸運の問題であり、誰かが成し遂げただろうことだ。今や第二の谷にも多数の冒険者が入り込んでいる。ただ、我々は気球艇を飛躍的に強化する新素材をも発見した。これは#人畜世界樹

2012-07-17 23:32:31
里村邦彦 @SaTMRa

「?」「ああ、サチ。日記ですよぅ」「閻魔帳の間違いじゃねェのか」「もっとたちが悪い気もするけど…何なの?」「姫様は凄いて書いてましたねぇ」「太祖の血の賜物です。恵みは民へ返さねば」眼鏡の下でキヨミは薄く笑った。「ええ、凄い。…そろそろ、記録専念も悪くないですかねぇ?」#人畜世界樹

2012-07-17 23:36:30
里村邦彦 @SaTMRa

「かれらは、この迷宮にいるのでしょうか」「…緊張するわね」「騎士道馬鹿がよく言うなァ」「うるさい!」ウロビト。瘴気の森で出会った人ではない人の姿。「第二の谷はほとんどくまなく調べましたしねぇ。いるとしたらここじゃないですかぁ」サチは舳でくるくると踊っている。#人畜世界樹

2012-07-21 23:25:48
里村邦彦 @SaTMRa

「あれ、本物の姫様なんじゃねェのか」「…そうかもね」ウロビトに守られていた少女。人ならぬ人に崇められていた。「どうみてもロイヤルブラッドですよねぇ」「…うちの姫様は?」「宿の女部屋でやる気になってる。衣装とか顔立ちから故郷の匂いを感じたってさ」「…サチもそっちか」#人畜世界樹

2012-07-22 15:33:00
里村邦彦 @SaTMRa

空虚な影が、流れるように距離を離す。アラタの双剣が空を切る。「クソ、刃が届かん!」射手は真実を見抜くものだ。ツキミは弓を起こす。調息。「アラタ、退きなさい!」放たれた矢は過たず影の怪物を射抜く。狙うは足。動きが止まる。立て続けに撃ちこまれたサチの弓が影を吹き散らした。#人畜世界樹

2012-07-22 15:37:09
里村邦彦 @SaTMRa

「悪魔でもいるのかしらね」「…とうとう本気で狂ったか、手前ェも?」「違う!…あの影のことよ」「ホロウだっけかな」ぱちぱちと火が燃えている。「何なの。あれ。ウロビトさんたちのことも驚いたけど…」「…元々、この谷は狂ってやがんだよ」「……」「…大方、昔の誰かのツケだろ」 #人畜世界樹

2012-07-22 15:40:38
里村邦彦 @SaTMRa

焚き火に背を向けてごろりと横になる。夜番のマリカには悪いが休まねば身体が持たぬ。ホロウ。影の怪物。アラタには学がない。しかしウロビトの伝承がきな臭いことは知れた。どうせ、あちらで寝ている狂人眼鏡のような馬鹿が、大昔に何かをやらかしたに決まっているのだ。「冗談じゃねェ」#人畜世界樹

2012-07-22 15:42:06
里村邦彦 @SaTMRa

幽谷を行く。深い霧の中、変異した獣、と言える魔物たちにまぎれ、人影のような怪物たちが行き来する。「…奴らは、喋らないようだ」ウーファンが呟いた。ウロビトの術師。攫われた巫女を探し、共同戦線中。「知恵のある魔物かい。ぞっとせんなァ」「…戦さですね」「目が怖ェよ姫様よ…」#人畜世界樹

2012-07-22 19:21:39
里村邦彦 @SaTMRa

蔦の壁に埋まった奇妙な扉。一枚挟んで、凶悪な威圧感が漏れ出している。ホロウの首魁が、この先にいる。巫女もまた。マリカは息を詰め、吐く。ここを切り抜ければ。数百年断絶された国二ツ(のようなもの)が通じる。自分たちは、あるいは本物の英雄に。「おい、行くぞ」「わかってる!」#人畜世界樹

2012-07-22 19:26:38
里村邦彦 @SaTMRa

虚の女王が咆哮する。揮う腕は虚空ごと在る事を抉り取り、吐き出す声は大気を凍てつかせる。近衛のように控える虚どもを排しても、女王だけが十二分の脅威だ。ウーファンの結ぶ陣図。実体なき虚を世に括りつける。双弓が撃ち抜き、双剣が切り刻み、なお倒れない。「怯むな!構えなさい!」#人畜世界樹

2012-07-22 19:31:02
里村邦彦 @SaTMRa

「わかってる、って、なァ!」秘伝の絶技、流派の奥義。尽くしてもまるで応えぬ。双剣を振り切って生まれた隙、必殺の抉り取りが迫る。慌てない。知っている。騎士気取りが盾を構えて飛び込んでくる。狂人眼鏡が治癒術を起動する。あとどれほど持つ?知ったことか。終わるまでやるだけだ。#人畜世界樹

2012-07-22 19:34:33
里村邦彦 @SaTMRa

「…本気か?」「ああ。巫女の許しが出た」ウロビトの術師は妙にさっぱりした顔をしている。「それに、きさまらの…巫女の見た希望が、見てみたい」「…言っとくが」囁く。「うちの姫様は、そっちの巫女さんの数倍タチが悪ィ」「何です?」「いえ、何でも」サチはくるくると踊っている。#人畜世界樹

2012-07-22 21:29:43
里村邦彦 @SaTMRa

「じゃあ、私はお店番ですかねぇ」「…いや、いいのか?」「いいんですよぅ。ウーファンさんが来てくれましたからね。私最近役に立ててませんでしたし」眼鏡の下できゅうと目を細める。「そちらのほうが面白そうです」「…らしくねェ気もするが」「直接見ることは重要じゃないんですよ」#人畜世界樹

2012-07-22 21:31:07
里村邦彦 @SaTMRa

「ところでウーハン…」「…ウーファンだ」「……」「……」「ウーでよくねェか」「よいですね」「貴様」「姫の尻馬だからね…」「早速やってますねぇ」「笑うな! …ん?」サチが笑顔で肩を叩いていた。「おい」笑顔。「……」笑顔。「…わかった。お前もそうだという話だったな、確か」#人畜世界樹

2012-07-22 21:34:39
里村邦彦 @SaTMRa

弓矢が、双剣が、嵐のように降り注ぐ。第二の谷に猛威を振るう巨大鰐の断末魔。「…これであとは、蟷螂だけですね!」額の汗をぬぐう。「人間とは、こうなのか?正直選択を…」「…いや、うちの姫様がキレてるだけだ」「あんたも姫様呼びが板についたわよね」「うるせェよ」「♪」#人畜世界樹

2012-07-22 22:13:39
里村邦彦 @SaTMRa

第三の大地。氷雪の嵐の谷。「世界樹に近づくほど…人を拒むように、変わるのだな」「お前さんらの谷も大概だったからなァ…」サチは着ぶくれして、雪の中で転がりまわっている。「いずれ、進まねば辿りつけません。進むだけです」「姫の言葉は心強いわ」「世辞じゃアなくなってきたな…」#人畜世界樹

2012-07-29 23:50:39
里村邦彦 @SaTMRa

氷と炎が迷宮を象る。「氷と炎、二つの入り口、なァ。誰かが狙って作ったんかね」「気になるのは、これですね」洞窟を彩るタピストリ。「見たことがないですが、ウロビトのものに似ている」「我々のものではないぞ」「…誰かがいるのでしょうか。この谷にも」「二つ目の国へ通じる道…か」#人畜世界樹

2012-07-29 23:53:58
里村邦彦 @SaTMRa

「…動物頭か。結構愛嬌があるんじゃないの?」第三の谷の民。イクサビトの里。「しかし、わーるいんど殿も、謎の多い方です」「巫女を連れ回して…何を企んでいるのだ奴は」「そこまで嫌うかねェ」「いやらしいのだ。顔が」アラタは肩を竦める。「ウー公は好みがうるせェんだ」「何だと」#人畜世界樹

2012-07-29 23:57:33
里村邦彦 @SaTMRa

「ニンポってんだっけなァ」「何の話だ」古びた杖で拍子をとり、ウー。「俺の流派が昔使ったってェ変な技さ。毒と手品だと思ってたんだが」「失われた業、か」「もしかするんじゃねえの?」「伝承はぶれている。確かめようもない」「夢がないねェ」「稽古をつけてやらんぞ」「そりゃ困る」#人畜世界樹

2012-07-30 20:22:35
里村邦彦 @SaTMRa

夜、宿の窓の上から、北を見ていた。ふたつの壁に風穴があいた。はるか北、世界樹へ至る道。夜空に輝く世界樹。お辞儀して、屋根の端でくるりと回る。「何してるんですかぁ」眼鏡顔が覗いた。首をかしげる。「ウーさん心配してますよ」「ウーファンだ!お前まで」「姫の一存ですしねぇ」#人畜世界樹

2012-07-30 20:26:06
里村邦彦 @SaTMRa

「飲み込みいいですねぇ。勤勉さでしょうか?」「貴様、何を考えている?」「何をって何ですかぁ」医術教本片手、眼鏡顔が燃える獣脂の向こうで笑う。「私は先が見てみたいだけ。あなたは違うんですかぁ」「…その言いぐさも好かん」「例の風殿みたいに?」「もしかしたらそれよりも、だ」#人畜世界樹

2012-07-30 20:28:43
里村邦彦 @SaTMRa

世界の記憶を奪ったもの。世界樹の怪物。巨人の心臓。伝説はその正体を語らない。ただ、巫女の示すまま、イクサビトの里を助ける為、イル・ミリオネは最下層に向かう。待ち受けるは炎の大蛇。「…みな。あのオロチを打開します」「御意に、姫」「…こういうときはマトモなんだもんなァ」#人畜世界樹

2012-07-30 22:48:55
里村邦彦 @SaTMRa

「やらせる…かッ!」呪印の浮いた楯が、炎の嵐を受け止めた。「地脈を食うのか…怪物だ」「祟り神ゆえな!」陣図をゆく、獣人の武士。肩を並べて駆ける、人の二刀が突き刺さる。「急所はそこです!」見抜き、突き立つ一の矢。踊るように、立て続けに無数の矢が打ち込まれる。大蛇の咆哮。#人畜世界樹

2012-07-30 23:02:24
里村邦彦 @SaTMRa

冒険者という冒険者たちが、炎の鱗を砕き、逆鱗へ牙を突き立てた。だがその勝利は、ひと時。満身創痍のまま、雪原を渡り、北へと向かう。「…なぜ、私は! 間に合わなかった!」「…間に合わせりゃいいさ。何しろやる気だぜ?」「ええ」ツキミは頷く。「質さねばなりません。追います」 #人畜世界樹

2012-07-30 23:10:26