.@_hito_ さんのScientific Linuxの話を聞こう

通称、SLと呼ばれるRHEL互換のディストリビューションのお話。
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hito @_hito_

Scientific Linuxの話をしよう。普通はFNALとCERNで作っていることになっているRHEL互換ディストリ、ぐらいの認識のはず。

2012-08-12 15:48:20
hito @_hito_

もともとはFNALやCERNみたいな素粒子系の研究所では国際交流がやたらと盛んだったりする。これは素粒子の研究(≒加速器やら古典的にはサイクロトロン)がめったやたらと金を食って、国際共同研究にしないとやってらんない、という事情による。

2012-08-12 15:49:29
hito @_hito_

各国の研究者が交流しながら研究するぜー、ってことで、CERNがHTTPdを作ってたりしたのは昔の話ではあるけども、じゃあその「自分で作ったるわー」系の流れがどこに行っているのか、という話でもある。

2012-08-12 15:50:38
hito @_hito_

素粒子系の研究では、加速器やらモデリングしてのシミュレーションやら、計算機の出番が死ぬほどたくさんある。フルシミュレーションは計算科学分野になっちゃうけどもまあ隣接分野ってことでひとつ。

2012-08-12 15:51:29
hito @_hito_

最近はMacが流行っている部分もあるけど、「計算仕事をさせるマシン」は伝統的にUnix/Linuxが使われまくっている。これは構造的には「ビジネスではWindows」ってのと同じで、超大量のソフトウェア資産による。

2012-08-12 15:53:20
hito @_hito_

物理系では、C/C++/Fortranで書いたコアの上にラッパーをかまして使うのが普通だ。古代ではPerl、最近はPythonが多い。……でだ。PerlもPythonも、ライブラリバージョンの統一がけっこう面倒くさい。

2012-08-12 15:54:40
hito @_hito_

たいていの研究所には、テクニカルスタッフとしてITを専門にした人が詰めている。ここで、AさんはSUSEを使っててBさんはRH使っててCさんはDebian……みたいな光景が広がると、もうITスタッフは大変である。

2012-08-12 15:55:46
hito @_hito_

「だったらもううちらに都合のいいディストリビューション作ったらぁ!」とキレたITスタッフが、古代のRed Hat(5とか6)をベースに、「うちの研究所専用ディストリ」を作り始めた。こうしてできたカスタムディストリが、CERN LinuxとかFermi Linux。

2012-08-12 15:57:09
hito @_hito_

ところがまあ、ディストリを自前でメンテしていくのは相当に面倒くさい。あと研究所間で交流したり共同実験したり、ソフトウェアを共同開発したりすることもあって、それぞれでカスタムディストリが食い違うのは結構ウザい。

2012-08-12 15:58:36
hito @_hito_

そして、Red Hatが「Enterprise Linux作るからそっち使ってね、無料版は終了」と言い始めた。ここでFermi LinuxとCERN Linuxやってた人員が、当時のWBELとか見て「じゃあうちらもコピー版やるか」と合意した。これがSLのはじまり。

2012-08-12 15:59:48
hito @_hito_

とゆーような事情でScientific Linuxが開始されたものの、やっぱりそれぞれで独自カスタムしたい、てな要求が残っている。とくにCERNは独自開発したり独自カスタムしたりしたソフトウェアがたくさんあるので、ブランチの必要が生じた。

2012-08-12 16:01:34
hito @_hito_

で、Scientific Linuxを基盤にカスタムしたのがScientific Linux CERNである。こいつはCERNが改造したXFSとかOpenAFSとかFedoraの最新から持ってきたSSHとか、いろいろオリジナルと違う魔改造版だったりする。

2012-08-12 16:02:46
hito @_hito_

もっとも魔改造は昔の話で、最近はカーネルはオリジナルRHELのままだし、魔改造っぷりはそんなにひどくなくなってきてはいる。でもLCMとかNCMみたいなCERN魔術がいくつか突っ込まれている。

2012-08-12 16:03:48
hito @_hito_

このSL兄弟たちは、ヒッグス探したりいろいろしているLHCのコンピューティングサイドで、超死ぬほど使われている。

2012-08-12 16:04:40
hito @_hito_

ヒッグス見つけるためのCMSもATLASもSLべったり。ソフトウェアを頑張ってDebianにポーティングしてる人たちもいたけど、ほぼ全域はSLもしくはSLC。

2012-08-12 16:05:29
hito @_hito_

結果として、「SLのアップデートが止まる」ことは、「LHCで見つけたものの解析がストップする」こととほぼ同義。なにしろ古典的なシステムなので、グローバルIP前提のシステムだもんで、アップデート止まったまま頑張るのはありえない。

2012-08-12 16:06:38
hito @_hito_

つーことで、各種RHEL互換系にはどれも停止のリスクがあるんだけども、トラックナンバー低めなCentOS、ラリー knowsなOracle Linuxと比べるとSLの方が停止リスクは低そうだよね、というお話。

2012-08-12 16:07:56
hito @_hito_

ちなみにSL本体もFNALで使ういくつかのパッケージが追加されてるんだけど、リポジトリ的に分離されてるので、FNAL独自の部分のリポジトリをオフっておけばRHELフル互換として利用可能です。たまーにビルドミスはあるけど。

2012-08-12 16:08:38
hito @_hito_

もっとも「SLのGPGKeyの一覧を見たらコワくて使う気なくしました」と言われたら何も言えない。Troy DawsonのGPG Keyのsubjectがちょっとおちゃらけ過ぎなので。

2012-08-12 16:11:02
hito @_hito_

ちなみに全ての互換系ディストリには、「メイン人材を全員RHELが引っこ抜く」という罠もありえるのでご注意くださいまし。Troy Dawson(SLの主戦力の一人)がおもむろにRed Hatに転職したときは何かと思った。

2012-08-12 16:12:02
henrich @henrich

@_hito_ は、Steve Langsak とか Matt Zimmerman とか Collin Watson とか浮かんだらダメですか

2012-08-12 16:16:00

おまけ ~ここからお話は始まった~

hito @_hito_

本日の衝撃。「椅子を買うためにいろいろググる→めぼしいものを見つける→ふとgmailを見る→昨日のうちにすでにポチっていたことが発覚する」というコンボをマジでやらかした。記憶力……。

2012-08-12 02:06:05