茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第690回「人間力の成り立ちは、奥深いものである。」

脳科学者・茂木健一郎さんお8月19日の連続ツイート。 本日は、昨日ふと考えていたこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ、ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-08-19 07:33:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第690回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日ふと考えていたこと。

2012-08-19 08:49:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

じお(1)昨日、NHKの『BS歴史館』に呼んでいただいて、収録があった(谷口雅一さん、お世話になりました!)。テーマは、徳川家康。「関ヶ原の合戦」に焦点をあてて、家康の人間力、決断力を、渡辺真理さん、加来耕三さん、笠谷和比古さんと探った(放送は9月13日(木)20:00~)

2012-08-19 08:52:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

じお(2)私が小学生の頃、徳川家康は人気がなかった。一番人気は織田信長で、次が豊臣秀吉。徳川家康は、「たぬきおやじ」のようなイメージで、人望がなく、たまに「家康が好き」というやつがいると、お前しぶいなとか、よ、課長! みたいに言われて、変わり者扱いだった。

2012-08-19 08:54:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

じお(3)私が家康を好きになったきっかけは、一枚の絵。「しかみの家康像」。http://t.co/6QGrlAC8。三方ヶ原での武田信玄との合戦に敗れ、いのちからがら逃げ出した時の自分のみっともない姿を描かせ、一生身近において戒めにした。この時、家康は恐怖のあまり脱糞したという。

2012-08-19 08:57:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

じお(4)「しかみの家康像」の家康を見て、私は、ああ、この人のことがわかったと思った。それで好きになった。昨日のスタジオでも、そのことが話題になった。家康は、合戦でも、勝つことばかり考えずに、負けたことのことを考える人だったという。「今よりも悪くはならない」ことを最優先した。

2012-08-19 08:58:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

じお(5)信長が、戦国の世の「ナチュラル」だったとすれば、家康は戦国の世の「被害者」であった。幼い頃から人質として生活し、「敵」の情けにすがらなければ生きていけない。そんな中で、他人の気配を探り、その心理を読み取り、自分自身が生き延びることを図る、そんな能力を身につけた。

2012-08-19 09:00:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

じお(6)笠谷先生や、加来先生によると、当時の武将たちが「次に誰が天下を取るか」という話をした時に、家康という下馬評は低かったのだという。「あんなケチが天下をとるはずがない」。その武将が、結果として家康につくことを決めた時、「今よりは悪くならない」と日記に書いたと聞いた。

2012-08-19 09:01:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

じお(7)応仁の乱から始まる戦国時代は、いわば、武将たちの「人間力」のコンテストだった。天才型の信長、上昇志向の秀吉、そして、「人生は重き荷を背負いて行く」家康。一番「地味」な家康が、最後には勝利し、その後の日本の礎を築いたことは興味深い。今日、日本にはたくさんの「家康」がいる。

2012-08-19 09:04:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

じお(8)ところで、家康には意外な一面もあった。関ヶ原の戦いにおいても、それは発揮されたいた。慎重なのだが、いよいよ追い詰められたとなると、大胆な行動に出る。「そこが、戦国武将としての家康の魅力だったと思います」と笠谷先生、加来先生。詳細は、「BS歴史館」でごらんください。

2012-08-19 09:06:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

じお(9)つまり、忍耐強い「古狸」という家康のイメージは、その戦国武将としての「人間力」の一端しかとらえていない。合戦において見せる家康の「いよいよの瞬発力」。人間力とは、これほどに複雑で奥深い。ジョブズの人間力もそうだった。だからこそ、人格の陶冶が人生の目標となり得る。

2012-08-19 09:07:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第690回「人間力の成り立ちは、奥深いものである。」でした。BS歴史館「シリーズ 戦国武将・決断のとき 関ヶ原の合戦」は、9月13日(木)20:00〜20:59に放送予定です。

2012-08-19 09:09:38