四の舟＆黒羽根Pによるスケッチブックラリー小説　青い鳥～青くん幼児化編～

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE （鳥飼さん、すぐに来て！！）　梶原さんらしからぬ切羽詰まった電話が、私をその非日常へと誘った。いや、今思えばその時点からもう始まっていたのだろう。　これは、とても信じられない、だけど本当に起こった…あのとんでもなく非現実的で、可愛らしい『事件』の話。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP 梶原家にお邪魔すると、玄関先に梶原さんが出てきており、挨拶もそこそこに私の手を引っ張って家の中に連れ込まれた。「どうしたの、梶原さん。そんなにあわてて」（青が……）どうやら青くんになにかあったよう。そして、居間に入って私が見たのは、信じられないものだった。

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 私の目の前に、一人の男の子がすやすやと穏やかな寝息をたてて眠っている。その顔は、私のよく知っている梶原さんの弟と瓜二つだ。しかし問題は顔ではない、その体躯だった。小さいのだ。明らかに青君じゃない、はっきり言って、幼児の体格だ。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP 服はどうやら、青くんのものを着ているようだけれど、明らかにサイズが合っていない。ぶかぶかだ。「……梶原さん、赤ちゃん産んだの？」思わずそう聞いてしまった。（ちがうの。朝起きたら、青がこんなに小さくなっていたの）　　　　　　　　　「はい？」

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 私は梶原さんが嘘を言ったりするような人じゃないと知っている。だからこそ、余計混乱してしまう。今私の目の前で起きていることも、梶原さんの話にも、嘘は一片たりとも存在していない。つまり――これは、私が現実を受け入れられていないだけの話なのだ。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP 私と梶原さんが騒いでしまっていたためか、ソファで眠っていた青くん（幼児化バージョン）が目を覚まして置きあがる。「あれぇ、おねーたん、だーれ？」青くん言葉は完全に幼稚園児の話し方そのものだった。（お友達の鳥飼さんだよ。何回も会っているでしょ？）

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「ああ、そっか～、おねーたんこんにちは～。」「こ、こんにちは…青君、だっけ？」「うん、青だよ～。」そう言うと青君（幼児）は屈託のない笑顔を私に向けた。　　　　　　　　どうしよう、可愛い。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP よたよたとソファを立ちあがって、青くんは私の元へと駆け寄って来る。が、すぐによろけてこけてしまった。（あお、大丈夫？）梶原さんが青くんに駆け寄って、青くんを抱き起こす。（青、大丈夫かな？）「ぐすっ、おねーたん……」（ほら、男の子なんだから泣いちゃ、め）

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE なんだかんだいって、梶原さんは適応力が高いのだろうか。それとも姉としての経験がものを言っているのだろうか。青君（幼児）に対する対応が非常にスムーズだ。　　　　それにしても、青君が可愛すぎてどうしたらいいのかが分からない。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

「あーおくん」「なーに、おねーたん」「あの、青くんは、何歳なのかな？」「ぼく？」　青くんは指を折って数を数えた。「んっとねー、四歳～」にへら、と笑った青くんの顔は犯罪的にかわいかった。「あ、青くん、ちょっと……」「んっ？」私は思いっきり抱きしめた。「も～青くんかわいすぎだよ～」

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE （えっと……鳥飼さん？）「あっ！あ、ああ、ごめんなさい！その……」　梶原さんの言葉で我にかえり、現状に慌ててしまう。だがあんなに可愛い事をされてしまったのでは、どうしようもないというものだ、仕方ない。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP 「青くんごめん。急に抱きしめちゃって……」「ううん～あおも、抱っこされるの大好きだから～」……おっと、危ない危ない。これでは話が先に進まない。「梶原さん、どうしよっか」（うん……その前に）「？」（あお～だっこしてあげるよ～）梶原さんも感ずるものは同じようだ。

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE とりあえず梶原さんと二人で青君（幼児）を堪能した後で、どうしてこうなったのかを考えることにした。梶原さん曰く、ここ最近を思い出しても特に変わったことはなかったと言う。朝目を覚ましたらこうなっていたのだそうだ。わけがわからない。だけど、可愛い。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP 「……別に、困ったことがないなら、青くんがこのままでもいいんじゃないかな？」（……ごはんが食べられない）「それは大問題ね」（それどころかこの家が回らないの）梶原家の青くんへの家事依存度は一体どれほどのものなのだろうか。「でも、打開策もないからね～」

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE （それにしても……）ちら、と梶原さんの視線が向こう側に移る。その方を見てみると、青君（幼児）が一人で怪獣の人形で遊んでいた。（今こうして見ると、青ってあんなに可愛かったんだなあ…）「…うん、そうね……」　　　　…って、これじゃ堂々巡りだ。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP 「……今日は様子を見るってことでどう？　夏休みで暇だから、私も泊まって青くんの世話を手伝うから。もし青くんが戻らないようなら、病院へ連れていくってことでどうかな？」（……ありがたい）「じゃあ、そうしよ」（……あおと一緒にいたいだけだったりして）「……えへっ」

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE そんなわけで、私は梶原家に一泊することになった。それにしても幼児と化した青君の可愛らしさはなんだろうか、根岸先輩の飼っている犬男とも通じるが、それ以上の何かを感じる。抱き締めずにはいられないような、母性本能を根本からくすぐられるような、そんな何かが。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP 掃除に洗濯。お昼ごはんに青くんの遊びに付き合ったりしている内にあっという間に日が暮れて、三人で夕御飯を食べた後、問題が起こった。「……青くんのお風呂、どうしよっか」

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE （…えーっと……）「え？おふろ？ぼくおねーたんたちといっしょにはいりたいー！！」「えっ！？」　正直、この展開は想定外だった…もとい、全ての事が想定の範囲外だったのだが。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP 「青くん、お体洗ったりできないかな？」「……いっしょにはいってくれないの？」青くんの泣きそうな目に、思わずうっとなる。梶原さんと目が合う。（……まあ、子供だから大丈夫じゃないかな？）「そ、そうだよね、十三歳ならともかく、四歳で一人でお風呂に入らせるのは……」

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE （だけど、うちお風呂そんなに広くない。）「えっ…じゃあ、梶原さんが一緒に入ればいいんじゃない？ほら、姉弟なんだし」「ぼくおねーたんといっしょにはいりたい…」（…だって）「…えーっと……」

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP 「……はーい、青くん、おめめつぶって～」「んーっ」数分後。何の因果か、私は青くんとお風呂に入っていた。まずは青くんの髪を洗い、そして体を洗う。さすがに青くんの下半身にはタオルを巻き付けておいたので、見ないでおけばなんとかなるし、すぐ済むだろう。

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE それにしても、小さい子の肌というのはどうしてこうも柔らかいのだろう。どうしてこうもすべすべつやつやなのだろう。癒されると同時に、ほんの少しだけ嫉妬にも似た何かを覚えてしまう。

四の舟（よつのふね） @YOTSUnoFUNE

@KurobaneP 「はづきおねーたん、おはだすべすべしてるね～」体を流した青くんと湯船に浸かっていると、青くんがそんなことを言った。「そんなことないよ。青くんのお肌もきれいだもん」「そんなことないよ～」「そうかな？」「うん、それに、はづきおねーたん、やさしくて大好き～」

焼き鳥Ｐ @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE なんだろう、顔がポッと熱くなるのを感じた。「あれ？おねーたんどうしたの？おかおがあかいよ？」「え、ええ…ちょ、ちょっとのぼせちゃったかな？」