茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【長所と短所、国民性の違い】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

滞在中のベネツィアから、連続ツイート第６９９回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日ベネツィアに移動しながら思ったこと。

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ちこ（１）成田から、エールフランスでパリ経由でベネツィアに来た。飛行機の中で、新潮４５の連載「日本八策」第八回の原稿を書いて、@KimuSuhan　に送った。「原子の倫理」(atomic ethics）。相互確証破壊（ＭＡＤ）と原発の問題。パリで乗り換えたあたりから周囲が変わる。

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ちこ（２）イタリア人は、あっちにいったりこっちにいったりする。ベネツィアの空港で、荷物を待っている時に、すでに身体運動が違う。あっちにいったりこっちにいったり。空港で、Water Taxiのチケットを買おうとしたら、窓口のおじさんがやっぱりあっちにいったりこっちにいったり。

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ちこ（３）窓口のおじさん、最後は、「となりのやつから買ってくれ」とどこかに行ってしまった。attention spanが短い。仕事はなんとか進む。ホテルに着いても、チェックインが一苦労。あっちにいったりこっちにいったり。ようやく鍵をもらえたけど、結局何してたのかわからない。

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ちこ（４）常々、脳の短所と長所は表裏一体だと思っている。たとえば、自閉症のサヴァンの人は、不確実性をはらむ対人関係は苦手だけれども、確実なことにのめり込むのが好きで、だからカレンダー計算をしたり、一度聞いた曲を正確にピアノで弾けたりする。偏りが個性なのである。

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ちこ（５）どんな社会にも、個性にはばらつきがあって、だからこそ多様で面白い。これを国民性に置き換えてみると、長所と短所の同居が、もっとマクロに起こることになる。イタリアに来て以来あっちにいったりこっちに行ったり大変だが、だからこそサッカーのファンタジスタのプレーもある。

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ちこ（６）「第二の故郷」イギリスは、人々の動きが落ち着いているけれども、一方で食べ物はまずく、芸術天才も少ない。アメリカ人はフレンドリーで開放的だけれども、ちょっと押しつけがましい。日本人は真面目すぎてくだけるのが苦手だけれども、だからこそコンビニは高機能、新幹線は遅れない。

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ちこ（７）イタリアというと思い出すのはナポリに行った時で、夕暮れの海岸を、何千というバイクが、ヘルメットもつけず、二人乗りで旗を振り回しながら走っていた。ナンダナンダと呆然としていると、地元のサッカーチームが勝ったのだった。法令遵守のイギリスでは考えられぬ。だからこそのイタリア。

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ちこ（８）つまり、欠点と長所は表裏一体だということは、一つの社会での個性のスペクトラムを見ても認識できるが、国民性の違いというよりマクロな傾向を見ると、よりしみじみと感じられるのではないかと、あっちにいったりこっちにいったりのイタリアに滞在しながら、思うものである。

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ちこ（９）ところで、日本は最近韓国や中国といろいろあるが、隣国の国民性も、当然長所と短所が表裏一体となっている。たまにはその短所が鼻について腹が立ったとしても、長所と一体なんだから、と忍耐して大人の対応を続けられるかどうか、そんなことも、イタリアでピザを食べながら思ったのだった。

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以上、連続ツイート第６９９回「長所と短所が表裏一体だということは、国民性の違いを見るとわかる」でした。