「イン・ジ・エンド・オブ・ザ・オーダリー・エイジ」＃１

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（フォロワーの皆さんへ：今からニンジャスレイヤーの二次創作小説を40ツイートほどやります。二次創作なのであれやこれやは公式と無関係だ。あと今日のメンタリストは実際凄まじく、脳がその影響下にあるかも知れないので、特にお気をつけ下さい。）

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NINJASLAYER私家二次創作短篇集「エイト・ミリオン・フラウズ」より:「イン・ジ・エンド・オブ・ザ・オーダリー・エイジ」＃１

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ナラはキョート・リパブリック北部に位置する荒れ果てた盆地である。平安時代には日本ブディズムの中心として栄華を誇り、近現代に至ってはUNIX部品の一大生産地として名を馳せたこの都市群は、今や破壊し尽くされた残骸に過ぎない。1

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UNIX産業の集積地であったナラは、先の電子戦争での重点攻略目標の1つに指定されていた。殲滅戦には、BCは言うに及ばず気象・衛星兵器までもが使用され、都市はそれを囲む生態系ごと完膚なきまでに破壊された。かつての繁栄は土と石に還った。ショッギョ・ムッジョ。2

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破壊された本来の生態系に代わったのは、奇妙で凶暴なバイオ生物群だ。狂った雲は狂った森に際限無く重金属酸性雨を浴びせる。人は？居る。盆地を囲む山中に僅かな数の村落が存在する。それは敬虔なブディストの共同体かもしれないし、ハイテック産業従事者の末裔かもしれない。いずれ、居る。3

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「NA、M、A、MI、DA、B、DZ」シャリーン。「NA、M、A、MI、DA、B、DZ」シャリーン。弔いのネンブツを唱えつつ、泥にぬかるむ旧世紀の街道を歩くボンズあり。対酸性雨笠を目深に被り、その表情は知れない。手には錫杖。何年こうしているのか、オケサ（ボンズ服）はボロボロだ。4

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特徴的なのは髪型…ドレッド・ヘアー。単に伸びた髪が脂で固まったのではないようだ。いかなる宗派の戒律か、無数の三つ編みが頭から垂れて肩から背中にかかっている。「NA、M、A、MI、DA、B、DZ」シャリーン。彼は誰を弔っているのか？そしてそれは、いつ終わるのか？5

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「アイエーッ！アイエーッ！」前方から悲鳴。ドレッドボンズが足を止めた。烟る雨の中、粗末なキモノを纏った少女が駆けてくる。「マテーッ！ウォーッ！」「ガキーッ！マテーッ！」その更に後ろから怒声が２つ。追われているのだ。ボンズを見た少女の顔に僅かな希望が灯る。「タ、タスケテ…」５

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「マテーッ！ファック＆サヨナラしてやるーッ！ゲヒヒーッ！」「マテーッ！…兄ちゃん、俺はサヨナラ＆ファックの方がいいな！ギヘヘーッ！」「エーッ！？死んだらつまんねェじゃん！ゲヒヒーッ！」「エーッ！？生きてたらつまんねェじゃん！ギヘヘーッ！」「エーッ！？ゲヒヒー！」「ギヘヘー！」６

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「じゃあこうしようぜ！ファック＆サヨナラ＆ファック！ゲヒヒーッ！」「兄ちゃんすげえ！テンサイ！ギヘヘーッ！」兄弟と思しき２人の頭はダブルモヒカン、手には金属バット、そしてトゲ付き肩パットを装備！ナムサン、悪漢である！荒廃したナラのケイオスはこのような悪漢を容易に生み出すのだ！7

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「アン？」二人が目にしたのは、錫杖を手にしたボンズとその後ろに隠れる少女。「アーン？ボンズ様ァ、そこをおどき下せェ。ついでに身ぐるみ置いてけェ！ゲヒー！」「兄ちゃん待って、俺ボンズもファックしたい！ギヘー！」「エーッ！？ボンズもかよ！よしやろうぜ！ゲヒヒーッ！」「ギヘヘーッ！」８

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「私はもう手一杯です」ボンズがアルカイックな声を発する。「私如きの功徳では…これ以上の弔いはできません。どうかお引き取り下さい。限界です」「ゲヒ？」「ギヘ？兄ちゃん、こいつ頭おかしいよ！ファックしたい！」「よし！やるぞ！ゲヒヒーッ！」悪漢兄弟が金属バットを振り被り、殴り掛かる！９

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ボンズの両肩に兄弟の金属バットが同時ヒット！しかし手応えがおかしい、骨を砕く感覚が無い。何か衝撃吸収宇宙素材を殴ったような…「ゲヒグワーッ！？」「ギヘグワーッ！？」悪漢兄弟が体をくの字に曲げ吹き飛ぶ！ボンズが錫杖で目にも留まらぬ突きを２発繰り出し、２人のミゾオチを打ったのだ！１０

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このドレッドボンズが何者かは、今は語るまい。だがいずれにせよ彼はニンジャ、ボロゲサの下には想像もつかぬ強靭な肉体が隠れている。突きの反動で笠が落ち、顔面があらわになった。ドクロめいてこけた頬には無精髭。両眼は何も映っていないかのような虚無。ボンズはうずくまる悪漢兄弟に近付く。１１

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このまま放置すれば２人は重金属酸性雨によって苦しんで死ぬ。万一逃げ延びたとしても再び悪行を犯し負のカルマを積むだろう。救わなければ。「NA、M、A、MI、DA、B、DZ」シャリーン！「NA、M、A、MI、DA、B、DZ」シャリーン！錫杖の石突で刺突、悪漢兄弟の頭部を破壊した。１２

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「NAMUAMIDABTZ…」ドレッドボンズは無残な死体に手を合わせると、再びネンブツウォークを始めた。「待って…待って下さい！ボンズ様！」少女が縋り付く。「お助け下さい！私の村を…お救い下さい！」ボンズは歩みを止めない。「私にそのような器はありません。ショッギョ・ムッジョ」１３

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「お願いします！お願いします！お救い下さい…！」少女はオケサの裾を掴み、有害な泥の中にドゲザした。ボンズがさすがに歩みを止める。この少女も苦しんでいる。ならば「救う」か？いや、尚早だ。彼女の先は長く、悪人でもない。苦しみのみが待ち受けているとも限らない。１４

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ショッギョ・ムッジョ。万物は流転する。少女を見る。彼女は先程ボンズが落とした笠を拾い上げ、抱えていた。彼は自問した。この少女の願いを聞くことに何の意味がある？成そうが成すまいが結局は同じこと。ならば、笠を返して貰おう。「お立ち下さい。この雨は毒です。お話は道中伺いましょう」１５

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少女は名をシギと名乗った。歳は１５。ナラ山中の小村、ミノル・ヴィレッジの村民だと言う。ミノル村は電子戦争で失われた有機プロセッサのビニルハウス栽培技術を今に伝えており、その収入によってこの近辺では比較的裕福な共同体であった。が、それが山賊団に狙われる原因となる。１７

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「ブラックヤギ山賊団」…そう名乗ったナラズ者達は自警団を15分で皆殺しにし、村を封鎖。村民を奴隷化して有機プロセッサ栽培に当たらせ、利益を全て吸い上げていると言う。ブラックヤギの襲来から半年、わずかに緩んだ警備の間を縫って、シギは助けを求めるべく必死に逃走した。１８

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その追手があの兄弟だったというわけだ。ミノル村までは徒歩で２日。ドレッド・ボンズとシギは途中途中で有毒酸性雨を乾かしつつ旅路を急ぐ。その間ボンズが自らを語ることは無く、ただネンブツのみがあった。ボンズの笠を借りたシギもまた話すのを止めた。彼は救い手たり得るのか？不安が有った。１９

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ぬかるむ山道を抜けると、バリケード…村民が自らを縛るために作らされた物だ…に囲まれた村落があった。濁った色のビニルハウスが立ち並んでいる。到着だ。ドレッドボンズは隠れるよう少女に言うと、自らはネンブツ・ウォークで正面から接近。「ナンコラー！？」「テメエ、ナンコラー！？」２０

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ナラズ者とは言えど、門番を務める者の武器は金属バットとはいかない。1人は突撃銃、もう一人はショットガンで武装している。だがドレッドボンズはネンブツも歩みも止めない。「オラー！？」銃口を向けられようと止まらない。山賊門番が狼狽している間に、ボンズは彼らの横に立っていた。２１