根暗番長で花主

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名倉 @ykyrypy

自分を価値のある人間だと思ったことなんてない。昔からそうだ、自分では精一杯頑張っているつもりなのに、かあさんはいつも言う。「ほんと使えない子」「はやく死ね」「なんで生まれてきたの?」俺は頑張ってます死にたくないです生んだのは貴方です、なんて口にする勇気があるはずなかった。

2012-08-29 02:19:46
名倉 @ykyrypy

気付けば頭上に翳される腕に首を竦め身を硬くした。何度も殴られれば誰だってそうなる。その事であの人は何かを学んだらしいけど、あまり変化は感じられなかった。子ども心に、子どもっぽい人だと思った。そんな人の言いなりになったままの自分はいつになっても嫌いだった。

2012-08-29 02:20:55
名倉 @ykyrypy

逃げ出したかった。逃げ出せなかった。俺は泣き虫で弱虫で、一人だった。友達なんていなくて、何がズレてるのか、話の合う友達はいなかった。けれど大人の会話に混ざるにはまだまだ子どもで、一人浮いている事を自覚しながら読書だけをして日々を過ごした。紙面上の文字は俺を救ってくれた。

2012-08-29 02:21:53
名倉 @ykyrypy

何よりも惹かれたのはファンタジーだった。現実には存在しないもの、肉眼では確認できないもの。嘘か真か証明する術を持たないようなものが好きだった。現実なんて見たくなかった。逃げ出す勇気のない俺にとって、本は救いだった。この中には世界がある。ここにいきたい、何度も願った。

2012-08-29 02:23:24
名倉 @ykyrypy

俺の苦しみなんて毛ほども知らない俺と同じくらいの年の少年少女らが武器を手に俺よりもずっと大変なことで悩んでる。自分を考えずにいられる時間が嬉しかった。本が手元にないときは頭の中に世界を作った。どれも楽しくて嬉しくて、余計一人でいる時間が増えた。辛くはなかった。

2012-08-29 02:24:41
名倉 @ykyrypy

今思うといじめられていた時期もあったと思う。その当時の俺からすると日々は地獄で、自分以外の人間皆死ねばいいと本気で思っていた。用量がよかったのか、小学校に上がる頃には教師に褒められることが多かった。その頃にはあの人の暴力も随分と大人しくなっていたと思う。

2012-08-29 02:26:34
名倉 @ykyrypy

昔のことはもうあまり覚えてはいないけど、掴まれた髪の痛みと吹き込まれた囁きだけは覚えている。器の狭い人間だとも自覚している。けれど俺は本当に自分以外の全てが嫌いで、本や漫画やアニメの、現実には存在しない物事が大好きだった。それは今も変わらない。

2012-08-29 02:27:58
名倉 @ykyrypy

ただ、内心でそう繰り返しながらも現実では苦味を飲み込んで相手を許容したフリをして、あの人の面白くもない冗談に付き合って押し付けられるもの全部甘受したフリをしてる自分を殺したくてたまらなかった。人が死んだニュースを見るたび俺と代わってくれないかと願った。我ながら卑屈で根暗だった。

2012-08-29 02:29:19
名倉 @ykyrypy

繰り返される転校も安定しない友人の顔も面倒で、引っ越す先が田舎だろうが一年だろうがどうでもよかった。ただ波風立てずに過ごせればいいと思ってた。そう、正直言って俺にとっては殺人事件もペルソナも、どうでもよかった。

2012-08-29 02:30:54
名倉 @ykyrypy

薄暗い出だしから徐々に花主へ・・・

2012-08-29 02:31:08