2010年7月20日

デザイン思考と創造性

@NaohitoOkude氏のツイートから 奥出 直人(Naohito Okude) 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 http://www.ok.kmd.keio.ac.jp/
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Naohito Okude @NaohitoOkude

デザイン思考と創造性:今晩はNewsweek July19号を参考に創造性について考えてみたい。KMDで教えていることは創造性につきるのだが、モダンアート好みやオシャレ好きが創造性だと思っているところが非常に困る。エンジニアやビジネスをする人とアートっぽい人がいる、のではない。

2010-07-19 22:59:16
Naohito Okude @NaohitoOkude

少し前に教育産業の人と仕事をしたが、まいったのは、創造性とは美術教育とか音楽教育であるという思いこみが変わらない。また実際そこにつけ込んでビジネスをしている人も多いので面倒だ。情操教育とか、金持ちの息子とか娘がヨーロッパの美大にいってるとか、そんなレベルの話にされる。

2010-07-19 23:05:41
Naohito Okude @NaohitoOkude

創造性はそうしたつかみ所のないものではなくて、もっと明確に定義できる。50年以上前だがアメリカのPaul Torranceという研究者がそう考えて、400人の生徒に実験をした。おもちゃの消防自動車を渡して、どうしたらもっと良くなるか、楽しくなるか考えてごらん、とたずねた。

2010-07-19 23:09:36
Naohito Okude @NaohitoOkude

この問題に正しい答えはない。だがこの実験では創造性とは何か独自でかつ役に立つモノを創り出す力と定義されていた。それを生み出す思考のメカニズムは二つしかない。多くのアイデアを生み出すdivergent thinkingと アイデアをまとめるconvergent thinkingだ。

2010-07-19 23:12:04
Naohito Okude @NaohitoOkude

その後50年にわたって同じテストが繰り返された。子供のときにこの方法で創造性が高いと評価された子供達は起業家や発明家や研究者、医師などになっていった。知能指数が高いと評価された子供達よりも創造性が高いと評価された子供の方が専門的な仕事について活躍していたのである。

2010-07-19 23:19:10
Naohito Okude @NaohitoOkude

Torranceの方法で30万人以上の子供の創造性が計測されて、その後50年の人生との相関が統計的に検証された。また世界が直面している難問、wicked problemを解くためにも創造性が必要であると言われ始めた。その矢先にアメリカの創造性指標が下がり始めたと記事は述べる。

2010-07-19 23:22:04
Naohito Okude @NaohitoOkude

まあ、それは別として、創造性がないと難しい問題は解けない。世界中で指導的な立場にある人はこのことを理解し始めているのだ。2008年にイギリスがカリキュラムを変えて創造性に舵をきった。EUは2009年に創造性とイノベーションを推進する会議を行った。

2010-07-19 23:25:42
Naohito Okude @NaohitoOkude

実世界の問題をどのように解決するかをカリキュラムに取り入れ始めているのだ。手前味噌だが、KMDのリアルプロジェクトと同じである。この方法を導入することで、知識を伝達して正しく理解しているかどうかというthe drill-and-skill教育法を全廃していった。

2010-07-19 23:27:25
Naohito Okude @NaohitoOkude

アメリカの教育はいまは信じられないほど知識詰め込みの方法である。アイビーリーグを始めとする名門大学を突破するためにSATの点を上げる。そのために高校時代が使われ、かつてのゆとりある教育が消えようとしている。創造性教育はまさにここがポイントなのだが。アメリカは逆行している。

2010-07-19 23:29:13
Naohito Okude @NaohitoOkude

さらに創造性教育でわかってきたことは美術大学で教える「芸術」教育は創造性とは関係ないことだ。創造性試験をしてみるとエンジニアも美大の学生も変わらない。また創造性を教えることが出来ないというのも神話だという。脳科学の進歩が創造性が学習可能であることを教えてくれているという。

2010-07-19 23:35:31
Naohito Okude @NaohitoOkude

ブレストが創造性と関係ない、という議論はブレストが苦手な人の心に響くようだが、創造性のトレーニングの実戦経験がある者であれば、ブレストばかりしていると何も作れないことはよく知っているはずだ。アイデアを拡散させたあとはそれを統合しなくてはならない。拡散させて統合させる。

2010-07-19 23:43:18
Naohito Okude @NaohitoOkude

そのための方法をDonald Treffingerは次のようにまとめている。Fact-findingをする。つぎにProblem-findingだ。それが終わってから、idea-finding、つまりアイデアを沢山作る。ブレストなどをおこなうところだ。

2010-07-19 23:49:52
Naohito Okude @NaohitoOkude

その次にSolution findingが続く。ここがまさにデザインで、どのような素材を使ってどのようなメカニズムをつかって実現するか、それは美的に納得のいくものだろうか、安全性はどうか、経済的に実現可能なのか、といった事を検討して実際に作る。そしてこの方法を小集団で行う。

2010-07-19 23:59:08
Naohito Okude @NaohitoOkude

こうしてみるとKMDで教えているデザイン思考は創造性教育のど真ん中だな。諸君は自信を持って良い。唯一違うのは、Treffingerの方法は幼稚園から小学校5年生くらいまでが対象だという点だけど。創造的に問題を解決させるという方法が子供の創造性の教育には圧倒的な効果があるという。

2010-07-20 00:03:24
Naohito Okude @NaohitoOkude

アイデアを拡散させて、つまりは右脳をつかって、それを一つにまとめ上がる。これは左脳を使う。この両方を同時に活性化させていく。これが創造性といわれる活動だ。人間はこの能力をだれでも生得的に持っているらしい。Rex Jungという神経科学者の説だ。

2010-07-20 00:08:17
Naohito Okude @NaohitoOkude

音楽家が演奏しながら譜面を見ている状態、あるいはジャズミュージシャンが即興演奏をしている状態をfMRIで測定すると、両方の脳が活性化しているのが分かるという。これはDaniel ANsari とAaron Berkowitzが2010年1月に発表した論文の成果だ。

2010-07-20 00:10:23
Naohito Okude @NaohitoOkude

デザイン思考では何度も拡散と収束をくりかえしながら、事実をみつめて問題を発見する作業をおこない、アイデアを無数に生みだし、それを形に収束させる活動、つまりはデザインを行う。この作業を通して、諸君の右脳と左脳が同時に活性化する。創造性が発揮されイノベーションが生まれる瞬間だ。(完)

2010-07-20 00:15:28

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