QuickTimeについて

磐樹炙弦 Bangi V. Abdul @bangi23

映画の線時間は、写真の時点の連続や拡張では「ない」。時点に内包されている非時間、永遠を線時間は消去する。静止したアイコンにはそこに込められた情報を展開するために必要な一定の時間、あるいは閉じた円環の時間が内蔵されいている。

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ミニマル音楽やリフレインを基盤としたポップ音楽は、写真的な時点を聴覚体験にコンバートしたもの。素材が一点の瞬間に凝固しているからこそ、DJという演奏形態が有効となる。

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認識論的タイムマシンを考察中。むしろ初期の映画技師、映画作家たちは映画の時間制御機能に意識的だった。アップル社の動画技術QuickTimeのネーミングもその視点の継承を表明するもの。

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Quicksand=流砂 Quicksilver=水銀 Quicktime=流時 浮遊するTime Particleの流れStream

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しかし現在、都市生活者の想像力から「時間の制御」は追放され「時間の享受」「時間の消費」の牢獄に押し込まれている。この牢獄はハリウッドとテレビの市場的基盤である。それはタイムマシンは不可能である、というメッセージをタイムマシンによって浸透させる独占市場戦略だ

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Youtubeやニコニコ動画など動画投稿サイトはQuickTimeの思想とツールを再び解放するものかもしれない。民主的なブレインタイムマシン。劇場の2時間45分の線時間はラップトップの10分間、もっと短い「時点」を目指して自身を圧縮、寸断していく。

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メディア技術は、交響楽から3分間のポップ魔法へ、ミニマルトランスビートへ、ハリウッドからラップトップへ、線時間から時点へ、物語から「いま」へとリアリティを収縮させていく。

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この一点は、ユダヤ神秘思想においては「無限の円周を持つ円環の不在の中心」ケテルであり、イスラム神秘主義的瞑想技法が目指す「消滅・静止」ファナーである。Web状の拡張神経系が要請するリアリティOSではノードという概念が対応する。

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時間は神話や歴史といった物語の諸形式によって専制管理されてきた。映画やテレビなど単線時間産業が特に国策的規模にまで膨張するのは、それが権力の根源に触れるものだからだ。Apple社はこの時間の専制体制にQuickTime=浮遊する時間という手榴弾を投げ込んだ。

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現在ネット上のQuickTime的ファイルは動画、Movieと呼ばれているが、これは映画産業時代の幻影に影響された虚偽のメタファーである。それらは単に秒30コマの画像の集積である以上に、分与された時間であり、脳の時間感覚を操作する時間子情報、ウィルス状のタイムマシンなのだ。

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動画投稿サイトの必然的な進化形態は、あらゆるあり得た時間、あり得る時間を接続・共有する、一種の時間公共交通網としてイメージされる。これは広帯域化・高解像度化の技術革新と、拡張神経系の新たな知覚様式の相互フィードバックによって創発する。

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キマッタ…