茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第713回「サングラスは、なぜ恥ずかしいのか」

脳科学者・茂木健一郎さんの9月12日の連続ツイート。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-09-12 05:56:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第713回をお送りします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、先日ベネツィアビエンナーレに行ったときの、あるできごとを思い出しながら。

2012-09-12 06:20:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

さな(1)大英博物館は、イギリスにいる間に何度も訪れた。さまざまな展示物がある中で、私のお気に入りは、エジプトのnaqada文明の女性像。何も言わないで「これ、どう?」と見せると、大抵の人が、現代のものだと思う。実際には紀元前3600年! http://t.co/4IC7FKsh

2012-09-12 06:23:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

さな(2)Naqada文明のこの女性像が印象的なのは、目のあたり。現代で言えば、あたかもサングラスをかけているかのように処理されている。エジプトは太陽がまぶしいが、サングラスが当時あったとは思えない。現代のイケテル人物の必須アイテム、サングラス。今朝はサングラスに注目。

2012-09-12 06:24:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

さな(3)ある時、ある女性がこんなことを言っていた。サングラスをかけている男はずるい! それだけで、クールに見えると。確かに、サングラスをかけていると、何故かかっこよさがアップする。明確な意志を持ち、颯爽と動いている人のような、そんな錯覚を与えてくれるのだ。

2012-09-12 06:26:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

さな(4)逆に言えば、サングラスを外す瞬間にリスクがあることになる。シークレットブーツを脱ぐ時のように。かっこいいと思っていたら、ぷっ、なに、あの緩い目の表情、みたいな。吉本新喜劇における「出オチ」ならぬ、サングラスの「外しオチ」。上げ底のかっこよさは、いつかはばれる。

2012-09-12 06:27:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

さな(5)なぜ、サングラスはかっこよく見えるのか。最も重要なのは、視線検出の問題である。人間は白眼と黒眼のコントラストがはっきりしているため、どこを見ているかわかってしまう。注視点がわかると、内面もばれる。ところが、サングラスをすると、内面を読み取れない金剛人間へと変貌する。

2012-09-12 06:29:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

さな(6)例えば、真夏の海辺。サングラスをかけないできょろきょろしていると、あっ、あいつ、あそこを見ている、あの女の子が気になっている、とばれてしまう。サングラスをかければ、くるりんぱっ。内面を悟られないで、自由に注視点移動ができる。そのことによるパワーポリティックス優位。

2012-09-12 06:30:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

さな(7)職業上、サングラスをかけると有利になる人たちもいる。先日のベネツィア・ビエンナーレ。金獅子賞発表の会場に潜り込もうという不届き者を、サングラスをかけた警備のおじさんが追い払っていた。どこを見ているかわからないということが重要。わかると、その隙を突こうという輩が出て来る。

2012-09-12 06:32:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

さな(8)警備のおじさんは最後までサングラスをとらなかった。外したら、やさしい目をしていたのだろう。視線の先を悟られず、確固たる意志を持つ人間に見せかけるためには、サングラスは最強のアイテム。だからこそ、注意して使わなければならない。外した時に「ぷっ」と笑われるかもしれぬ。

2012-09-12 06:34:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

さな(9)以上のようなことを感じるため、私はサングラスを滅多にしない。日差しが強すぎて、本当にまぶしい時だけおずおずとする。サングラスを多用する人は、自分がどう見えているかのメタ認知がないか、自己プレゼンテーションが振り切れているかのどちらかであろう。後者なら、一度なってみたい。

2012-09-12 06:36:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第713回「サングラスは、なぜ恥ずかしいのか」でした。

2012-09-12 06:36:52