米普妄想

米普妄想めも
0
@m__mb

【米普①】「へぇ?そんで、俺様になにか意見でもあるのか坊ちゃん」雨の日だった。雨の日でも構わず行われる訓練に、体中どろどろだったのを覚えている。流れる汗と土と雨の混ざった水がただただ不快で。「だから、雨の日の訓練をもう少し減らしてほしいんだぞ、兵士たちの体調と士気が下が・・・」

2012-09-22 23:29:00
@m__mb

【米普②】最後までセリフを言う事すら許されず、頬にガツンと衝撃が走った。視界に火花がちったような衝撃だ。訓練に疲れた体は思わずよろめいて、泥と水のなかにグチャリと手をついた。「敬語を使えって、いったよな?」上の方から高圧的に言い放たれた言葉に、思わず眉間にしわが寄る。

2012-09-22 23:32:34
@m__mb

【米普③】アルフレッドは泥水にまみれて唇をかんだ。鋭くなった眼光に、彼の師は「いいツラだな」とゆるく笑う。まったくもってサディストだと思う。こんなサディストに育てられている自分と同じぐらいの国がいるらしいが、そいつの前ではこのサディストも花のように笑うのだという。信じられない。

2012-09-22 23:37:03
@m__mb

【米普④】アルフレッドは地面から師を睨みあげたまま立ち上がった。彼の師は手を貸すことはしなかった。こんなに殺伐とした関係も初めてかもしれない。「・・・・・・お前、本当に甘やかされて育ってんな」アルフレッドと同じように雨にぬれている銀髪の隙間から、異様な色をした緋眼が覗いた。

2012-09-22 23:42:15
@m__mb

【米普⑤】「・・・っ、それよりも、さっきの事は」「却下だ」ばさりと切って言い捨てた一言にアルフレッドはいよいよ拳を握りしめる。「若造が。お前が今から相手をしようとしているお前のお母様はな、欧州の化け狐なんだよ、分かるか?分からね―だろうな、今のお前があいつに勝てると思ってんのか」

2012-09-22 23:49:06
@m__mb

【米普⑥】「お前は甘やかされてぬくぬく育った、身体ばっかりでかいただのガキだ。お前の母親はな、お前なんぞ簡単にひねりつぶせるんだぞ。あいつの食えなさと厄介さは欧州にいたんなら周知の事実だ、それをお前は・・・」倒して独立しようというんだぞ、と。ギルベルトは泥水に汚れた青年に言う。

2012-09-22 23:54:41
@m__mb

【米普⑦】「・・・・しっかりしろ、アルフレッド。分かってんだろ、お前はもう子供じゃない」分かっていた、その道を選んだのは自分だ。そう、だからこうして今さら子供じみた事を言っているのは・・・そう。「・・・・・いい加減シャワー浴びてこい、あついやつだ。そのあとすぐ、俺様の部屋にこい」

2012-09-22 23:59:58
@m__mb

【米普⑧】その言葉にアルフレッドは顔を上げた。部屋に来いなどと初めての事だ。どういう意図なのかをはかりあぐねるアルフレッドを置いて、ギルベルトは既に自室に向かって歩き始めていた――――。

2012-09-23 00:05:30
@m__mb

【米普⑨】――――泥水に汚れた青年の肩は、本来よりもか弱く見えた。確かに体力はぎりぎりの所であるようだったが、訓練の手を緩める余裕などない。相手は英国だ。訓練に関してギルベルトは鬼だった。が、今日の様子には少し引っかかるものがあった。

2012-09-23 00:07:49
@m__mb

【米普⑩】自室で自身もシャワーを浴び、着替え終えた頃に自室のドアがノックされた。「入れ」と一言放ると、ドアは遠慮がちにゆっくり開く。先ほど手厳しく突き放した青年は、案の定まだゆらゆらと揺れているようだった。とても不安定、それが今の青年アルフレッドに対して出した結論だ。

2012-09-23 00:11:07
@m__mb

【米普⑪】「それで・・・・・来ましたけど」うつむきがちに目を合わせないアルフレッドに、ギルベルトは左手を上げた。アルフレッドの身体がビクッと反応する。しかし青年の予想に反して、その左手はアルフレッドの頭をゆったりとかきまわしていた。「構えなくてもいーって、今はプライベートだ」

2012-09-23 00:15:05
@m__mb

【米普⑫】「ほら、座れ。まずいけどコーヒーぐらい入れてやっからよ・・・・・・・しかしろくに頭ふかずに出てきたな?予備のタオルどこだったっけか・・・」あせくせと動き取り出したタオルでアルフレッドの頭をわしゃわしゃと拭く。これは一体何なのだろう。本当にこれはギルベルトなのだろうか?

2012-09-23 00:19:20
@m__mb

【米普⑬】アルフレッドは混乱していた。鬼教官のギルベルトに頭を拭かれている?アーサーにだって頭を拭かれるなんて事もう何十年も・・・・・。そこまで思いいたって、アルフレッドは何かがぎりぎりの所まで迫るのを感じた。だめだ、考えてはだめだ。アーサーと自分は今はもう敵同士なのだから。

2012-09-23 00:23:11
@m__mb

【米普⑭】わしゃわしゃ、髪の水分を丁寧に拭きとられる。その手を払いのける元気は今のアルフレッドにはなかった。「・・・・お前は選んだんだろう、独立を」唐突にギルベルトが語り始める。「それは辛い道だ。だけど俺様が、お前の独立を後押ししてやる。俺だけでもねぇ、他にもたくさん・・・」

2012-09-23 00:29:29
@m__mb

【米普⑮】「お前が独立出来るように、お前を鍛えてやる。力をやる。お前は何のために独立を選んだ?」相変わらずわしゃわしゃと髪を拭かれながら、アルフレッドは答えた。それは、それは・・・「アーサーと、同じ場所に、立ちたくて」立ちたかったのだ。同じ場所に。「間違ってねぇよ、それ」

2012-09-23 00:33:54
@m__mb

【米普⑯】「間違ってねぇ、そしてお前は独立出来る。あいつと同じ場所にも立てるだろうさ。お前は若い。それで、もう一度あいつと言葉を交わすことだって出来る、対等な言葉をな」「・・・・・・・・・なんでわかるんだい」「おれは兄貴で、あいつもお前の兄貴だからだよ」

2012-09-23 00:37:51
@m__mb

【米普⑰】もうほとんどアルフレッドの髪は乾いていたが、ギルベルトはタオルをどかすことをしなかった。タオルの下からずびずびと音が聞こえる。しばらくして、嗚咽が漏れ始めた。「大丈夫だ。」ぽんぽんと頭を叩くギルベルトに、年若い青年は小さな声で「ありがとうございます」とつぶやいた

2012-09-23 00:42:40
@m__mb

【米普⑱】「ほら、コーヒーな。ゆっくり休め明日もまた訓練だ。手はぬかねぇぞ。倒れるなよ?そんで・・・・・・、訓練終わったらまた俺様の部屋に来い。コーヒーいれてやっから」ずびずびと鼻をすする青年はその時のギルベルトの表情を見ただろうか。彼がその表情を再び見るのは―――。【終われ】

2012-09-23 00:49:38
@m__mb

アルフレッドがギルベルトのマリアスマイルを見るのは付き合い始めてからだと美味しいです先生

2012-09-23 00:50:39
@m__mb

こんな感じでついつい甘やかしてしまうギルベルトとまだまだ甘ったれなアルフレッドの独立時代ください

2012-09-23 00:51:50
@m__mb

アルフレッドがギルベルトの身内ゾーンに組み込まれる瞬間愛しいよ

2012-09-23 00:52:56
@m__mb

訓練時はサディストだという悪態が出るほど私情をはさまず厳しいギルベルトにびくつくアルフレッド。ついついそっちのイメージが先行してしまう。アルフレッドが初めてマリアスマイルを見たらきっとゆであがるよね。

2012-09-23 00:55:04
@m__mb

昔のギルベルトの厳しい訓練に、ついついギルベルトに対してびくついてしまうふしのある現代アルちゃんどこですか・・・・・・びくついてしまうのはアルだけでなくじいちゃんもだったら萌萌だよぉ

2012-09-23 00:58:13
@m__mb

ギルベルトと師弟関係があったことあるやつは、ギルベルトに頭が上がらなかったりするといい。爺ちゃんもアルも、亡国になったギルベルトをどう思うんだろうなぁ・・・・・。よく笑うようになったって、思うんだろうか

2012-09-23 00:59:54
@m__mb

アーサーもギルベルトも険しい時代を生きてきて、築いてきた屍の数も若者とは圧倒的に違う。年長者のたくましさ半端ないね。

2012-09-23 01:02:47