【メモ】凡才高尾の小話【緑間と高尾】
高校3年とかで進路とか周りが考えだしてくる頃。未だWCが終わっていないからこの先2人が同じコートに立つことはないんだって意識を頭のどこかに追いやっていて。大学進学?真ちゃんが?でも勉強いっぱいしてるよね?本当のところが聞けないっていう高尾。
2012-09-27 11:54:42キセキの世代なんて10年に一人の逸材って天才が集まってるんでしょ、実業団からのスカウトが無いわけがない。多分5人全員違うチームからのお誘いが来るんだ。
2012-09-27 11:55:34話してるのを見たことが有る。今のあのチームのコーチだよね?って言葉を飲み込んで、帰ろっかって声をかけたインターハイの後。どれだけ望んだってこの天才と凡庸な自分との間は埋まらないんだってまざまざと思い知らされて叩きのめされる高尾。
2012-09-27 11:56:58真ちゃんはなにも言わないけれど、俺のパスを信じて待っていてくれるけど。そんなの俺じゃなくたって良いんだよ本当はって。心のどこかで思ってる高尾。
2012-09-27 11:57:35実業団入ったらさ、周りはみーんな10年に一人の天才とかそんなもんよ。全国から人集めてさ、学年なんて関係ないからいろんな人とプレー出来るよ。よかったじゃん、自分の力を活かせる人事を尽くすことが出来る。今までより。何時より。
2012-09-27 11:58:58胸に言葉が浮かんで溢れて、でもそれを声に出すことは出来ないんだ。だって言おうとしたらいっぺんに出てくるものだから、胸のあたりにつかえて代わりに出したくもない涙があふれてきて鼻がツンてしちゃうから。そんなこと考えながら残り僅かな時間を無駄にするのなんて嫌だって、知らなかった事にする
2012-09-27 12:00:41冬が終わって入試も終わって。真ちゃんやっぱり実業団受けたんだ。俺もその方がいいと思うって。やっと言える。終わってしまえば諦めがつく。卒業式だったら泣いててもおかしくないだろ?ってしゃっくり上げながらでもおめでとうって言える。ずっとバスケができるんだって。おめでとうって。
2012-09-27 12:02:26大学に入って新しい友達が出来て、バスケサークルの奴らとお遊びバスケで盛り上がって。そんな中テレビの中には真ちゃんが映っていて。遠くに行っちゃったな、えらく。って気持ちも離れて行っちゃったみたいに。いや、離れたのは自分の方なんだけどって。
2012-09-27 12:04:09突然電話が来る。真ちゃんから。今からあそこのジムに来てくれないか、て。シューティングに付き合えって。なんとなく真ちゃんが言いたいことが分かる。やりたいことが分かる。でも絆されちゃう。だって心底惚れ込んだ男だもんね。断れるわけがないもの。
2012-09-27 12:06:00何度かパス出しして調整に付き合う高尾。ディフェンス想定してちょっと際どい所に出すパスとか、タイミングずらしたパスとか。いろいろ。いろんな所からいろんな形で。
2012-09-27 12:07:28何回かシュートを打つうちに奥歯を噛みしめて険しい表情になる真ちゃん。どったのそんな怖い顔して?とはいうものの分かるんだ、理由なんて。今のチームの奴らなんて俺なんかよりずっと精度のいいパスを出すんだろ?何せずっと強いチームとやり合ってきた歴戦の猛者どもだ。バスケを生業にしている連中
2012-09-27 12:10:383年間ずっと信じてくれたことは素直にうれしい。天才に認められたって自惚れて舞いあがりもした。俺が居なけりゃ真ちゃんを活かすことが出来ないんだって自負もあった。でもそれって高校生だからだろ。って。
2012-09-27 12:11:59な―真ちゃんもうやめようぜ、俺じゃお前の隣に居れない。このパスだってきっともう通用しない。お前の求めているものは俺なんかじゃない、どこでもシュートモーションに入れるパスなんだ。気付けよ馬鹿。ってね。
2012-09-27 12:14:08事実高尾のパスは言うとおりなんだろうな。高尾が緑間に心酔していたから出せたパス。黒子だって赤司だって、黄瀬だってきっと出せた。出さなかっただけだ。出すことは可能だった。現に今のチームでは3年間の信頼なんて無視して受けられるんだ。それが気にくわない緑間。
2012-09-27 12:15:51何でそこで諦めるんだ。理由は明白なのに悔しくて仕方がない。高尾が緑間を手放したんじゃない。突き放したんじゃない。自分が高尾を捕まえて居られなかった、そう思っちゃう真ちゃん。
2012-09-27 12:16:31だから俺はもうバスケできねーよ、本気のバスケ。涙は見せずに困った風に笑う高尾。じゃーね真ちゃん、次の試合応援しに行くからって振り返りもせず体育館を去る。呼びとめられない自分が悔しくて誰も居ないコートでボールを投げつける緑間。クソって普段は張らない声で。
2012-09-27 12:18:12テツヤもきっと同じような苦い思いをする。火神についても、青峰についても。あーあ、どうして俺は天才じゃなかったんだろう。努力で捻じ曲げられるレールなんて、それこそ制限時間付きなんだって拳を握りしめながら。サークルの新歓で酒に溺れる高尾。バスケサーも幽霊
2012-09-27 12:21:25一年くらい疎遠になった真ちゃんが真冬の校門にに突っ立って待ってるんだ。バスケサーの奴らが見ろよって言うから目線あげたらよく知った顔で逃げだそうと振り返る。高尾!って叫ぶように呼ばれて持ってた鞄も置き去りに走り出す。でもそんなのお構いなしに手を捕まえられるんだ。
2012-09-27 12:25:14さすがに現役ですねぇだなんて軽口。当然なのだよっていつも通りに返される。一年のブランクなんてこの程度なのかって程いつも通りだ。緑間は。何しに来たの、俺宛てに来る用事なんてそうそうないでしょ?って。お前を迎えに来た。が、その必要は無くなったかも知れないな。逃亡のスタートを見て言う
2012-09-27 12:27:06赤司が新しくチームを作る。人を集めているんだ。今。俺はお前が欲しい。それがチームに対して人事を尽くすということだと思ったからな。ただ、今のお前は正直連れていくに足るか迷った。お前の事だから、どこでだってやっているものだと思っていたのだよ。バスケを。
2012-09-27 12:28:41言ったじゃん…もうできないって、本気のバスケ。って言葉は緑間の耳には届かない程度に掠れていて。また迎えに来る。その時はきっと俺の知っている高尾が居ると信じているのだよ、といって去っていく緑間。しばらく離れてから名前を呼ばれ、振り返ると何か投げて渡される。
2012-10-25 18:08:51今日のさそり座のラッキーアイテムだ、って。一年間封印してきた涙が滝のように溢れてきて泣きながらごめんなさいとありがとうを繰り返す高尾。
2012-09-27 12:30:52