100万Gの男とおキツネ博士とかの妄想ネタ3

おやすみなさい、よい夢を @szlico

「いいか、こんな別嬪さんでもな、口を開けば悪鬼のようだぞ！ 気をつけろ」

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「チーフ、こういう場所に来たことは？」「あんたはどうなんだい？　クロウ」「質問を質問で返すなよ……」「じゃあ質問を変えよう。あんたとしてはどっちがお望み？」「お望みって……」「しかしたんたも大概イマサラなことを訊いてくるね。場所がどうであろうと本質は変わらないのに」

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「さて、折角のロケーションなんだから」とお誘いチーフと、「寝床にはなるか……」とおねむチーフ。どちらをえらぶのか天秤よ。

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「なあチーフ」「何？」「やっぱり出ないか？」「部屋代が勿体ないって言うと思ったけど」振り向いた先にいたクロウは、なんとも情けない表情を浮かべていた。眉根は寄っていたがそれは怒りではなく戸惑いで、質素な彼の部屋とは対極にある装飾過多なその部屋に、居心地の悪さを覚えているようだった。

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人生の荒波を越えてきたにも関わらずそちらの方面では初心なこの男は、そもそもこのような場所には縁がなかったのだろう。友人の罠に嵌められたのだと嘆いていたのを思い出すが、入り口で引き返すこともできたが、トライアを制止することなくここまで来たのは彼自身の意志でもある。その気はあるのだ。

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しかしその気はあれど……トライアの真意を測りかねて一歩踏み出せないのは、この場所でも、トライアの自室でも、クロウの部屋でも同じことだった。まるで待てが解除されるのを待つ犬かなにか。トライアを見つめるその濡れ羽色の瞳が、困惑をにじませつつも熱を帯びているのに気づかないわけがない。

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ため息一つ、トライアは髪をかきあげる。距離を縮め彼の腕に抱きすくめられる位置まで進むと、顔を上げた。「ほら」「……？」「眼鏡外して。キスするのに邪魔だろ。それともなんだい、ここまできて、見学して終わりとか言うんじゃないだろうね？」ごくりと飲まれる生唾に、彼女はそっと目を閉じた。

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「なあチーフ」「なんだい？」「昨日は恋人の日とやらだったらしいぞ」「へぇ。それは初耳だ。で、それがどうかしたかい？」量産型対次元獣兵器の改良プランについてまとめられた書類を手にした彼女の反応は、平素とまったく変わることがない。聞いているのかいないのか、明確とは言い難い。

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自分で話を振っておいてなんだが、クロウもまたトライアが特別な反応をするとも思っていない。誕生日を始めとした記念日の類にこだわりのないタイプだろうことは、彼女との間柄が『恋人』という名前に変わる前からなんとなくわかっていたことだった。御蔭でクロウも、経過した時間を把握していない。

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研究所の敷地の端にある、彼女の居住空間。取締役たる彼女の部屋は、平社員であるクロウの部屋に比べればとんでもなく金がかかっている。いま二人が並んで座るソファもまたとんでもなく高価そうな革張り。粗相をしてしまったら…が当初、クロウは冗談ではなくそれに腰をかけるのが怖かった。

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口をつぐみ情報端末に目を向けつつ彼女の様子を伺う。花束だとか贈り物を用意しているわけではない。クロウの手にする情報端末はアメフトの地元チームの試合結果を教えてくれている。クリスマスだとかハロウィンほど一般化された日ではないのだ。彼女と同じように、世界はいつも通り流れている。

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『恋人』じゃなかったころに比べればこうして座るときの距離も違う。肩と肩が、腕と腕が触れるほどの距離は、彼女とのクロウとの思いが繋がってからだ。けれどもう少し。肌と肌を触れ合わせること以外にも、もう少しだけ近づくことができやしないかと。彼女はそんなことを考えることはないのだろうか。

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「クロウ？」そんな他愛もないことを、その横顔を見つめながらぼんやり考えていたものだから、トライアの問いかけに反応をしそびれた。「な、なんだ？」「導入予定のミドルレンジ武装の動作テスト、明日にでも……って思ったんだけど。どうかした？」「すまん。ぼーっとしてた」「熱でもあるのかい？」

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そういえば昨日のミーティングでもそのような話が出ていたような気がする。額に伸びてきたトライアの手はほんのりと冷たい。その冷たさが完全に離れていく前に、クロウはその手をそっと掴んだ。『恋人』になる前には知らなかった、想像以上に細い指、小さな手。「……なんだい？」「別に、なんでも」

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「資料読めないんだけど」彼女は右隣にいて、クロウが取ったのはその右手。その膝の上に置かれた資料とクロウを交互に見、トライアは怪訝な表情を浮かべる。「じゃあこっちで」「……あんた、なにがしたいんだい？」「恋人っぽいこととかじゃねぇの？」「なんで質問を疑問で返すかね……」

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呆れたように溜息を投げかけられるも、トライアは逃げることなくその左手をクロウの手に重ねてきた。そして右手は再び資料へ伸びる。クロウも視線は情報端末に向け、明日の天気を目で追いかける。触れた左手はほんのり冷たい。その指先を温めるように、クロウはぬくもりを伝えていく。

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恋人同士になってもたしかに甘い雰囲気にはほどとおい予感がするクロトラさんが、ちょっとだけ、ほんのり甘い雰囲気になってるのがほしい。

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「キスは駄目だよ」って言ってクロちゃんの唇を人差し指で押えるおキツネさま妄想しつつ仕事戻る。

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ロールケーキつんつんしてるおキツネさまがほしいな。ロールケーキ。ジャパネスクなおキツネさまだからきっと和菓子がおすきなのだろうけど、洋菓子もきらいじゃないと思うんだよな。抹茶ロールとか、和洋風のお菓子とかお好きだといいな。となりでエスターさんが幸せそうに食べてたらいいな。

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おいしいお菓子食べすぎて太ったって嘆くエスターさんとかかわいいな。「チーフ、走りましょう！ 走るのがいちばんです！」「ちょっと待ちな。効率を考えなよエスター。エネルギーの循環ってのを考えなよ。一辺倒じゃ破綻するよ」「（……走るの嫌なんだろうな、チーフ）」ってクロウさんがみてる。

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「水泳とかどうだ？　近くに市民プールがあったよな」「水泳？」「ああ。水の抵抗があるから、歩くだけでもカロリーを多く消費するとか言う話だけど」「水泳か……悪くないね」「あとウォーキングとかはどうだ。湖周を往復するだけでも相当効果はあると思うが……」「まあ……時間があればね……」

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ものぐさおキツネさまなのか、衣食住しっかりしてるデキる女子おキツネさまなのか。

おやすみなさい、よい夢を @szlico

わたしの思い描くおキツネさまはなぜか水泳がお好き。あとお風呂もお好き。たぶん水の中でなにかを考えるのがお好き。

おやすみなさい、よい夢を @szlico

おキツネさまはたぶん一汁三菜がっつり作るイメージってたぶん某所でそういうネタを見かけたからだな。クロちゃんの心をどうつかむかで「食から掴む」っていうのがあったのよ。あとエネルギー関連の研究者さんだし、そのあたりしっかりしてるかなあとか。でも効率重視なのが一般的イメージかな。

おやすみなさい、よい夢を @szlico

人遣いは荒いし無茶を振ってくることも少なくはないが、彼女はけして『悪い上司』ではない。研究員のペースを把握しているのかその指示は的確で、無駄な残業を好としない。結果を出すため、無駄にプライベートを潰すことを好まない。終業が近づくと率先して片付けを始め、周囲をフォローする。