同題まとめその2

綜音（へおん） @heon_aotsuki

「永遠なんて、いりません」困惑する私に微笑んで君が言う。「終わりのないものには始まりだってない。人が永遠を口にするのは、決して手に入れられないものへの願いだ。そんな儚い嘘よりも、一瞬の本物を下さい」そうして君は、彼女を消せない私に言い訳を与えるんだ。／永遠じゃない #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

「永遠なんて、いりません」戸惑う俺に微笑んでお前が言う。「それは貴方が彼女に誓ったものでしょう。誓いを破る貴方なら僕は愛したりしなかった。貴方はただ、縋る僕を見捨てられないお人好しなだけなんです」そうしてお前は、あいつを消せない俺に免罪符を渡すんだ。／永遠じゃない #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

要求水準を思い切り低くすることで深く傷つく事を予防して、「期待しなければ失望することもないでしょう？与えられたすべてにいつも感謝して生きていける」そう言って先輩はとっても綺麗に笑うんだけど、でもハイさんはそんな生き方はとても寂しいし悲しいと思って、期待することを教えてゆくんだ

綜音（へおん） @heon_aotsuki

期待させるような事を思わせぶりに言って、言ったことは必ず実現する、という手順を繰り返し繰り返し、周りが呆れるほど実践して、折紙ちゃんが「期待しても絶対に裏切られない」ということを実感として信じられるまでにもっていくんだ。そしてやっと信じられたあたりで約束を守れない事故が文字数

綜音（へおん） @heon_aotsuki

バニーちゃんは「永遠じゃないなら、いらない。」からの出発。すっぱり諦めようとするんだけど結局思い切れなくて、最終的に悟りを開いてありのままを受け入れていくイメージだなぁ。

綜音（へおん） @heon_aotsuki

神学をかじると「永遠」という言葉の不可能性ばかりに意識がいってしまう。それはある一時点を起点として未来永劫存続することを目指すものだけど、主体である人間が誕生する以前には存在し得ない感情だから、決して「永遠」には到達できない。それでもなお、神は『永遠を思う心を人に与えられる』。

綜音（へおん） @heon_aotsuki

決して到達できないものへの憧れであり、1000％届かない願いでしかないのだけれど、それでもなお人は愛を「永遠」という言葉で修飾しようとする。その必死な足掻きが、切なくて、つらくて、とっても美しいと思う。

綜音（へおん） @heon_aotsuki

貴方は棺だ。冷えたその胸を観音開きに開いて、僕はこの手に触れる全てを、手当り次第に放り込む。きらきらと美しく、正視できぬほど醜悪で、燃えるように熱い、絶対零度の――貴方が僕から引き出した、あるいは与えたすべての感情。この棺を埋葬するまで、決して踏み出せない。／貴方に愛を閉じ込める

綜音（へおん） @heon_aotsuki

その針山に触れたのは無意識だった。指先からすうと入ってくる、彼女の「情報」。長い黒髪が頬に触れて、視界が少し低くなって。彼に愛される唯一の条件である姿が、窓枠の中に映り込む。「…折紙？」足を踏み入れようとした彼の、言葉と瞳が凍った。彼女の髪で作られた針山に、音もなく釦が落ちた。

綜音（へおん） @heon_aotsuki

信じないふりをするのは駆け引きじゃない。貴方が変わってしまうのが、僕は嫌なんだ。それは僕の我侭に過ぎないし、信じて欲しいとかなしく笑う貴方を見るのはつらいけれど。貴方は誰にも縛られてはいけない。僕は貴方の止まり木だから、飛び疲れたときにだけどうか、帰って来て。

綜音（へおん） @heon_aotsuki

ドリアン・グレイの肖像のように、描かれた僕の絵が、僕の代わりに傷を負う。おそらくは老いも。僕を喪うことを何よりも恐れる貴方はそのNEXTをたいそう喜んだけれど、僕は絵を処分する事にした。僕は貴方と共に生きて、死にたいんだ。欲しいのは独りきりの永遠じゃない。 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

この人形かい？触ってみたい？すまないね、ガラスの中は真空なんだ。…ふふ、彼は私の恋人だよ。冗談だと思うかい？…そう、恋人に似せたわけじゃない。過去形でもない。今もたがわず、可愛い可愛い私の恋人。この真空の箱の中で、永遠に死なない。肉体も、愛もね。／意味怖 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

だって、すぐに会いたくて。待っていられなかったんです。たとえどれだけ離れていても、心だけなら千里も駆ける。貴方が教えてくれたんですよ、この話。…どうして泣くんです？／意味怖 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

昔々の話をしよう。遠く哀しい恋の話を。彼の愛はどこまでも無欲で、まっすぐだった。貴方がもう二度と、彼女を喪わなくていいように。そう言って彼は微笑み、その姿を変えた。その時既に私は、彼を愛していたのにね。彼という人間がいたことを、もう誰も知らない。彼でさえ。／昔々 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

一連の事件の後で、思い出したことがあります。アカデミーの学園祭で、僕、実は先輩に告白したんです。先輩は後夜祭のキャンプファイヤーのせいにしていたけれど、本当は真っ赤だったこと、僕は知っている。翌日にはもう、僕らは何も知らない他人同士になっていましたが。<学園祭> #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

距離感が変わったのは感じてた。でも、その理由がずっと解らなかったんだ。学園祭の後夜祭で、キャンプファイヤーの上に浮かび上がった青い球を見上げた記憶がよみがえってきたのは、つい最近で。ひとりの友を存在ごと喪ったその寂しさが、手を取り合った理由だったなんて。<学園祭> #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

まだ恋ではなかった、のだと思う。だけど想いを伝えられた瞬間、意識していたのは紛れもない事実で。膨らみかけた若芽を、花開くより前に摘み取ったあの人の判断は、おそらく正しかったのだけれど。あの学園祭でそっと初めて繋いだ手の中、たった５分の恋心は眠りについた。<学園祭> #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

後夜祭のキャンプファイヤーを囲んで、浮かれ騒ぐ子供たち。木陰で美しい青年の手を取っているのは――楽しかったかい、バーナビー。でも、そろそろ祭りは終わりだ。その幼い恋心も、目の前の炎に投げ込んでおしまい。憎しみで塗りつぶされたお前の心は、私だけのものだ。<学園祭> #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

家々に明かりの灯る夕暮れ時が嫌いだった。引かれたカーテンの隙間からあたたかい光が漏れて、いくつもの人影が寄り添う、そんな窓を見たくなかった。僕が持っていないもの。僕が奪われたもの。家族という名のその輪はいつだって、憧れる僕を締め出して無情に閉じていた。／輪 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

憧れ続けたその場所を、手に入れた気がしたんだ。貴方ののべてくれた手を握り、温もりが伝わった瞬間に。ここに居ろ、もう離すな。いや、俺が離さない。貴方の無意識の独善に、救われた。そしていつしかもう片方の手の先にも、温かい手は連なって。貴方の大きな輪の中に、僕も。／輪 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

ふわり、ひらり。夢で微笑むお前はいつも、あの日咲き乱れていた色鮮やかな花々に囲まれて。終わりなき永遠の象徴に指輪を贈った俺に、お前はその花で花冠を作ってくれた。その輪の花は、永遠に枯れない愛。絡めて連ねて、無限に広がる。夢と現の境界を越えて、香り続けながら。　輪／ #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

僕ではどの輪にも入れない。他の誰かにでもならない限り。もしかしたらその想いが、僕にこの能力をくれた。だけど盗んだぬくもりは熱すぎて、優しさは痛かった。借り物の姿で手を繋ぐたび、僕自身にさえ見捨てられた僕が、どこかで泣いていた。そうして僕は、求めることをやめた。／輪 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

自分の存在があらゆる輪から引きちぎられたあの日、私はとても寂しかった。けれどもその痛みを知らなければ、君と出会うこともなかった。君の痛みを分かち合うための孤独だったなら、それは私にとって恵みだ。さぁ、手をとって。この小さな二人の輪から、もう一度、始めよう。／輪 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい」。けれど誰かの痛みを、同情や想像ではなく本当に分かち合うためには、自分自身もその痛みを知らなけらばならない。最も深い苦しみを経験したものだけが、あらゆる痛みに寄り添うことが出来る。――スカイハイさんってそんなイメージ。

綜音（へおん） @heon_aotsuki

貴方の心の一番奥にはドアノブのない扉があって、僕には絶対開けることができない。それでもいい。そのままでいい。だって、それも含めて好きになったんだ。愛の誓いを決して過去のものにしないひとなのだと、わかったから。／ドアノブ #同題ssTB