同題まとめその2

綜音（へおん） @heon_aotsuki

君は自分のこんなところが嫌いだというけれど、私は君のすべてが好きだよ。だから君の嫌いな君は、私に預けてしまえばいい。私はそれを抱いたまま、風に乗ってどこか遠いところへ行こう、二度と決して君に見えない遠くへ。そうすれば君は、君の全てを愛してあげられるだろう？／風 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

きっと貴方には昔、翼があったのだろう。癒しを司る風の天使は、誰かの痛みを引き受けるたびにその羽を一枚ずつ喪って、とうとう空を翔ることも出来なくなった。夜と朝の間、夢と現のはざまで、薄紫の雲の中ふわり浮かぶ貴方の背中に、骨ばかりの翼の影を一瞬、僕は見た気がする。／風 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

「ホントは飛べるくせに」「…何のことかな？」「風使いなら飛べるでしょう。ジェットパックほどじゃなくたって、走るよりは早く」「さぁ、どうだろう？」「…僕のことなんて置いてけばいいのに」「私は一秒でも長く君と居たいんだ」「ばか」「じゃあ今後は一緒に空中出勤しよう」／風 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

書類が二枚重なっていることになんて、貴方は絶対気づかない。「またサイン、抜けてますよ。ここ」「ん？おお」筆圧の強い貴方のペンが、二枚目の紙へ無色のサインを刻む。そっと仕舞ったその紙に、迷って結局、鉛筆はかけない。僕の心の中だけで、僕は貴方に、全てを捧げた。／サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

お前の嘘くらいすぐにわかるんだ。だって俺は嘘吐きだからな。いつもどおりを装ったって、俺の目は誤魔化せないさ。面と向かってここにサインしろってお前が言うまでは、俺も気づかないふりをしてやるよ。俺の女房になる覚悟を、お前が本当に決めるまで。……待ってやるから。／サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

二人で暮らし始めて間もないのに、イワン君が家出した。探し回る私の胸で携帯が震える。「お前、ファンからの記入済み婚姻届なんて持って帰るなよ」ワイルド君に言われて、テーブルの上、紛れていた書類に気づいた。イワン君、私がサインするのは、君の名前の隣だけだよ。／サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

泣きながら家出の理由を話すと、「僕も経験があります」とバーナビーさんが言った。記入済の婚姻届なんて、貰ったことがないからわからなかったでござるよ…。どう謝ればいいかと悩んでいたら、差し出されたのは一枚の紙。「そこに先輩がサインして差し出せば、万事解決です」／サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

息を切らせてやってきたキースさんに、記入済の書類を差し出す。ああ、そんな嬉しそうな顔しないで。「サイン、してもらえますか？」何とか搾り出すと、「オフコース、そして勿論だとも！」と抱え上げられた。そのまま判子を買いに行って、役所に提出。判子なら家にあるのに。 サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

先輩を送り出して胸を撫で下ろすと、虎徹さんが言った。「…新品の婚姻届があるってのはどういうわけだ、バニーちゃん？」いきなりのことで表情を取り繕う暇もない。しまった、と真っ赤になった僕の頬に彼が触れる。「…俺らの分はもうないの？そろそろ待つのも飽きちゃった」サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

「何だよこれ。俺が頼んだサインは出所の身元引受人なんだけど？」「ごめん」「謝んな。聞いてんだ」「…見れば解るでしょ。嫌なら棄てて」「あーもう！だから！俺はお前の口から聞きたいの！」「え？」「…こういうもんは出てから渡せよ。刑務官に笑われただろ」「…ごめん」／サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

夜空でちかちかと光が瞬く。それは彼と僕だけのサイン。彼が空を翔るこの時刻、僕がいつでも天を見上げていることを、彼は知っている。「今日、訪ねても？」今夜の街は平和と見える。彼の携帯にYESを送って、僕は冷蔵庫を開けた。明日の朝のための卵を買いに行かなければ。／サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

空兎のつもりで書いたけどこれ一人称だけだと空折と見分けつかんな…ww　イメージとしては、ツンな頃は空っぽだったバニーちゃんの冷蔵庫が、キースさんのための食材で埋まっている感じなんだけど。

綜音（へおん） @heon_aotsuki

サーチライトに銀を反射させ、旋回してビルへ戻る。それは私と彼だけのサイン。君はきっと、いや必ず私を見ていてくれるだろうから。どきどきしながらロッカーの携帯を開くと、彼の返事はYES。今夜の私はまるでジョンだ！待っていて、私のMuse。すぐに飛んでいくから。／サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

@N_JaJamaru ありがとうございますー！　TLでスカイハイさんに手を振るバニーちゃんの話題を拝見していたので、そのイメージで書いてしまいましたｗ　バニーちゃんは眺めてる間もきっとすごく幸せな顔してると思うのですよ…うふふ///

綜音（へおん） @heon_aotsuki

「待っていて私のヨーコ」だと流石に露骨過ぎるなと思って変えたけど、これもわかる人にしかわからんネタ…w　「まるでジョンだ！」がわけわかめになりますな。いや犬のジョンさんでもいいんだけどねｗ

綜音（へおん） @heon_aotsuki

@N_JaJamaru いえいえ、作品的にはそっちが正解だと思いますww　作者としてはダブルミーニングで読者さんの好きなほうで受け取っていただければ嬉しいです＾＾　ふおおハイさんに手を振るバニーちゃん…！見える、俺には見えるぞ…！！///

綜音（へおん） @heon_aotsuki

「これ、俺の実家の番号。実家だと不携帯が多いからさ。何かあったら」数字を並べたコースターを差し出し、彼が笑う。「…名前」「え？」「あんたの名前も。紛れたらわからなくなるでしょ！」「すぐ登録すればいいだろ？」ああ、もう！私はあんたの名前のサインが欲しいのよ！／サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

「私の名前と、貴方の名前。この間に、彼の名前がある。そういうことよね」「ええ」頷きあって、婚姻届の左右にサインを入れる。彼は知らない、これは私たちだけの秘密の契約。この世で一番彼を愛して、この世で一番酷い嘘で彼を欺く、共犯者である私たちの。／サイン #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

婚姻届ネタはどのカップリングでもいろいろエピソードが考えられてよいなぁ。（うん、げんこうしよう

綜音（へおん） @heon_aotsuki

黄色いハンカチを一杯ぶら下げてエドワードを待つイワンちゃんを想像したけど、よく考えたらイワンちゃんなら黄色いハンカチで折った折鶴になってエドワードのところへ飛んでいくよね。迎えに行くよね。ずっと待ってたよって一秒でも早く言いたいよね。触れて抱きしめて、ぬくもりを感じたいよね。

綜音（へおん） @heon_aotsuki

いつかふたたび、会えるから。私はただ、何本か早い電車に乗るだけ。電車を降りたホームの上で、私、貴方を待ってるわ。だって、貴方が約束してくれたのよ？ 河を渡るときに背負うのは俺だって。だから、ほら、ね？ 必ずまた、会えるから。／ふた #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

どちらの気持ちも、嘘じゃない。彼を、貴方を、僕は愛してる。引き裂かれるふたつの心の間には痺れるような甘い痛みが生まれて、あさましい僕はどこかで、この痛みをもっと感じたいと望んでいる。ああ、誰か、僕を裁いてよ。心のとおり、この身体を切り裂いて。／ふた #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

NEXTの力を借りて、時の止まった絵の中へと貴方は僕を閉じ込めた。残酷な人。貴方が老いて死んでいくのを、黙ってただ見ていろだなんて。けれど貴方が寂しいなら、そうしてあげます。そして貴方が死んだなら、骨へと姿を変えましょう。貴方が僕を閉じ込めたこの額縁の中で。／骨 #同題ssTB

綜音（へおん） @heon_aotsuki

骨とか死体に「擬態」した場合にどうなるかっていうのはいろいろ考えられると思うのだけど、今回は「無機物への擬態は一方通行」という解釈。骨や死体や無機物は精神活動ができないし、元に戻ろうと思考することもできず、したがって能力の解除もできない、という。例えば狼の屍に擬態してもそのまま。

綜音（へおん） @heon_aotsuki

「その姿でなければ、彼は愛してくれないんです」必死に訴える青年に、魔女は言った。「昔、そう言って足を欲しがった人魚がいたよ。だけどね、本当のところを言えば、命をかけて愛するほどの価値のある男なら、たとえ足がなくても愛してくれたろうと私は思うよ――それでも『彼女』になりたいかい？」