茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第７４５回「枝葉だけでなく、土の中の根を見なければならない」

茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ！　ぷれいりーどっぐくん、ルイジアナ州ニューオリンズで、おはよう！　こちらは、今、日曜日の朝６時３５分です。

茂木健一郎 @kenichiromogi

滞在中のルイジアナ州ニューオリンズから、連続ツイート第７４５回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日も、引き続いて、日本を元気にするツイートシリーズ！　（当分続きます）

茂木健一郎 @kenichiromogi

えつ（１）「うちの子が、どうしても勉強してくれなくて困っている」そんな相談を時々聞く。「勉強しないと、良い学校に行けませんよ、いい大人になれませんよ、と言っても、どうしても勉強してくれない」。それで、大人はいろいろな手を使う。勉強するまで、ＤＳをやってはいけませんと隠したり。

茂木健一郎 @kenichiromogi

えつ（２）あるいは、本人が悩んでいるケースもあるかもしれない。どうしてもやる気が起こらない。やらなくてはいけないと思っても、どうしても身体が動かない。そんな人がいるだろう。子どもが勉強しないで困る、自分自身がやる気が起こらない。そんな人たちのために、この連続ツイートをお送りする。

茂木健一郎 @kenichiromogi

えつ（３）話は変わる。無農薬、無肥料での「奇跡のリンゴ」をつくることに成功した木村秋則さんのお話。来る年もくるとしもどうしてもうまく行かない。ついに追い詰められて、死を決意して山の中に登っていった木村さんがようやくのところたどり着いた真実は、「答えは土にある」ということだった。

茂木健一郎 @kenichiromogi

えつ（４）リンゴの花が咲かない、実がならないという時に、どうしても土から上の、目に見えるところだけに注意が行って、何とか直そうとする。しかし、本当に大切なのは、目に見えない土から下。どのように根が生えているのか、土中に張り巡らせているのか。そこを立て直さないと、うまく行かない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

えつ（５）人間も同じこと。勉強をしないという「現象」に着目して、そこを何とか直そうとする。すると、ＤＳを隠したり、勉強しないと学校に入れないとか、手を変え品を変え「操作」しようとする。しかし、本当に大切なのは、そのような「目に見えること」ではなく、土の下の「動機付け」である。

茂木健一郎 @kenichiromogi

えつ（６）教育とは、子どもの心に火をつけることだとしばしば言う。火がつきさえすれば、あとは勝手に燃える。勉強しろ、と言わなくても勝手に勉強する。基礎にあるべきなのは、「感動」であろう。この宇宙の自然法則に触れた感動。社会の成り立ちを理解した感動。人とつながりたいという感動。

茂木健一郎 @kenichiromogi

えつ（７）入試に受かりたい、という動機は、対症療法的であり、便宜的ではあっても、決して、生涯続くような勉強の情熱にはつながらない。社会の中でのポジションを確保したいという動機に基づく学びは、それが終わってしまえば消えてしまうからである。農薬と肥料漬けの作物のようなもの。

茂木健一郎 @kenichiromogi

えつ（８）日本が、明治維新での国つくりに成功したのは、なんだかんだ言っても、当時の西洋の進んだ文化、文明に対する「感動」があったからだと思う。植民地化を避けるとか、そのような危機感があったにせよ、進んで西洋を学んだ知識人たちの感動があったからこそ、本物の文明開化となった。

茂木健一郎 @kenichiromogi

えつ（９）失われた２０年に苦しむ日本。これからの２０年が、失われた４０年に続かないためには、グローバルに人が行き交う現代のありさまについての、真性の感動がなければならないと思う。ガラパゴス化した国内でのポジション取りでは届かない心がざわざわする現場に触れないと、きっと始まらない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第７４５回「枝葉だけでなく、土の中の根を見なければならない」でした。