#浬玖ぞんさば　ssのみ

浬玖 @Riku_in_W

【0】20xx年x月x日、街にゾンビが溢れ私はバリケードを築き立て隠った。あれから何日経ったか分からない。このままではいずれ食糧が尽きて死んでしまうだろう。ひとりでじっと死を待つより何かしら動いた方が良い。私はありったけの食糧を持ち外に出ることを決意した――。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【1】取り敢えず手近なビルに入ってみた。電気が来ていたのでエレベーターに乗ろうと思ったが扉が開いたらそこにはゾンビがぎっしりで、当然襲いかかられて早速死ぬかと思った…。戦いなぞやったことないからほぼ逃げるだけ。せめて武器も持っとくべきだった。 #浬玖ぞんさば HP:89 食:98

浬玖 @Riku_in_W

【2】張り詰めて周囲を伺っていたが角を曲がった所でゾンビと鉢合わせしてしまった。…腕が刃物って。何ですかあれはアリなんですか。なんて突っ込んでいる暇はなく即座に踵を返し逃げる。追われる。…逃げ切れたのは偶然が重なったお陰だ。心臓と肺が痛い。 #浬玖ぞんさば HP:79 食:98

浬玖 @Riku_in_W

【3.1】少女に声をかけられた。ゾンビ化した両親を安らかに眠らせて欲しいそうだ。そんな事を頼まねばならない子の心境を慮ると辛いものはあるがしかしこんな世だ。平時ならともかく無償でそんなことやってられるかと断ろうとしたが、お礼に治療薬をくれると言う。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【3.2】しばし利害を考える。正直恐いが戦闘の経験は無駄にはならないだろう。今までのように集団ゾンビや腕が刃物な奴を相手に何も出来ず逃げ惑うだけなのはもう嫌だ。了承することにした。　 #浬玖ぞんさば HP:74 食98 治療薬（ゾンビ化しつつある者を元に戻す。使い捨て）

浬玖 @Riku_in_W

【4.1】めぼしい物がないかと思い廃病院に入り込むと、看護婦だという女性に出会い同行を提案された。今まで誰かと共に行くという選択肢がなかったので言われてかなり驚いた。彼女が言うには単独よりペアでいる方が生存率が上がるらしい。何故、私をペアに選んだのだろう。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【4.2】断る理由もなくそのままの流れで並んで歩く。何とお呼びすればと訊ねた。お好きにと返ってきた。シロさんと呼ぼうと決めた。白衣は看護婦さんの象徴だったから。そう告げると彼女は肩をすくめて笑った。「こんな世ですから、もう長いこと着てませんけどね」 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【5.1】怒濤の勢いで何かの位置を言い置いて去っていった通りすがりさんを呆然と見送った。館？　真実？　何のことだろう。シロさんもわからないと言う。しかし位置情報が出回っているのならばそこにそれだけの何かがあるのだろう。それが危険か平安かはともかく。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【5.2】迷っても仕方ない、実際に行かねば解るまい。言われた通りの道順を辿る。ここだけの話だが結構方向オンチなのでシロさんがいてくれるのはかなり有難いと気づいた。…見つけたのは重厚な扉。すんなり開く。顔を見合わせ、警戒しつつ侵入すると背後で音を立てて扉が閉まった。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【5.3】入ってすぐの館の中は荒れていた。誰かが戦闘した後のようだ。ここにもゾンビが入り込んでいるのかも知れない。ふと足元に紙切れが落ちていることに気づいた。読めるが意味を成さない言葉の羅列。何かの暗号だろうか。そっと拾ってしまい込んだ。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【6】入った扉は押しても引いても動かなかった。なんたることだ。一旦脱出を諦めた私たちはそろりと館の奥へ進む。やがて見つけたのは、荒れてはいるが動植物の組織標本が並ぶ部屋。何かの研究が行われていたのだろうか。「ZV…ゾンビ？」シロさんが机上の小さな紙片を手に呟いた。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【7】なんだか焦げ臭い部屋だと思ったら多くの書類が焼けた跡がある。火の不注意か、それとも燃やしたのか。ちょっとひっくり返してみると燃え残った紙の断片が紛れていた。纏まって読める…素体って何の？　素体のモトは何？　何故そんな体質と強運が必要？　解らないことばかりだ。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【8】なんだか妙に空腹感がある。腹の虫を抑えたい。…それはともかく、シロさんと膝を突き合わせて座ったその間に今まで見つけたいくつかの紙片を並べてみる。私はひとつの仮定を立てたものの自信がないので口を噤み、シロさんも表情なく腕を組んで紙片を眺めるだけで何も言わない。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【9】今までも荒れた部屋を通ってきたがさらにこの部屋は酷い。壁が崩れ、黒々とした染みが広くあちこちに残っている。ゾンビのものか、それとも人か――。そんな中再び目に留まる暗号のような紙切れ。以前も似たような状況だったことを思い出す。何か関係があるのだろうか。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【10.1】薄暗い中、実験台っぽい物に何かが横たわっていた。生物のようだが全身にごてごてした機械が張り付いている。何かの実験の途中で放置されたのだろうかと、興味を持って近づいていく。突如雷鳴が閃き白く照らされたそれは、紛れもなくゾンビ！　しかも巨大！　なにあれ！！ #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【10.2】私がハッとすると同時にそれは起き上がる。しまった、近づきすぎだ。有力な武器を持たない私たちは狭い器具の間を駆け抜け逃げる。シロさんと二手に別れるべきかという考えがよぎった瞬間、手招く人影が見えた。あそこならゾンビから逃げられる。一瞬の判断で方向転換。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【10.3】なんとか逃げ切った私たちはその場にへたり込んで息をつく。誘導されたここはまだ見ぬ場所。あっという間に颯爽と去ってしまったけれど、あの人はきっと館の場所を教えてくれたのと同じ人だ。落ち着いてくるとさっきのゾンビが気に掛かる。即ち「何故実験台の上にいた？」 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【11.1】扉を開けるとそこは眩しい空の下だった。恐らく中庭で、四方を壁に囲まれ閉鎖的とは言え頭上に何もないのは何時ぶりだろう。私がついしゃがんでその辺の草を毟ったりしているとその間に隅の小屋を覗きに行ったシロさんがなんだか一目で武器と判るブツを持って戻ってきた。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【11.2】余程怪訝な顔だったのか「ロケットランチャーです」と訊く前に教えてくれたがつまりロケットをランチャーするブツとは一体何だ。私は横文字に弱く武器の知識も乏しい。まあよく分からないが、使い捨てとは言え大事な武器を得たのは分かる。知識を持つ彼女に感謝しよう。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【11.3】出来るなら所持品を充実させたいのだが荷の空きスペースには限界がある。ロケットランチャー・ケットくん(私命名)を持ち運ぶには何かを置いて行く必要があった。治療薬を取り出し簡単な説明を付加して叢の中に安置する。きっと運を味方につけた誰かが発見するだろう。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【12】不意に視界が大きく揺らめいた。酷いのは一瞬だったがその後も収まる気配はなく、ぐらぐらと世界が揺れる。同時に気分が悪くなるほどの空腹。気のせいではない。貧血かと思ったのだがシロさんは眉をひそめて断言出来ないと言葉を濁した。他に可能性があるのは何だろう？ #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【13.1】どきりとした。白骨死体だ。ゾンビは散々見てきたが人の死体を見るのは初めてだ。近寄るのを躊躇い時間稼ぎにもう一度手元の紙切れを見る。それは今まで幾枚か見つけたメモのうち暗号だろうかと判断したもの。戯れに重ねて透かしてみると意外とあっさり意味を持った。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【13.2】暗号の書き手によるととにかく指輪が重要であると言う。そして今、目の前の死人の指であったところにひとつの簡素な指輪。それは不思議な存在感を示して骨の間に鎮座する。手を伸ばして拾い上げた。 #浬玖ぞんさば

浬玖 @Riku_in_W

【14.1】何も知らず入った館だがこれまでの経験から重要な秘密が隠れているのは間違いない。そんな時偶然開けた扉の裏に下りの階段があった。早急に出口を見つけ脱出するべきなのだが秘密を知りたい気持ちも強くなっている。脱出の目処が立つまで探偵ごっこをやってみようと思う。 #浬玖ぞんさば