シリアルキラーさんと大和撫子

高村レイバン提督 @yachikaneko

留学生は身体をずらし、殺人鬼のペニスにうっとりと頬擦りをする。ちゅ、ちゅ、と何度も唇を寄せて、手首から溢れる血を擦り付け、ねっとりと舌を絡ませた。呆気なく精液を吐き出した殺人鬼に、留学生は微笑みかける。ひどい。ほかの人とこんなことしていたなんて。もうしないでくださいね。

高村レイバン提督 @yachikaneko

しゅるしゅる、と袴の紐を解き、留学生は再び殺人鬼の腹の上に跨った。肩で息をしながら、殺人鬼は留学生の瞳を見上げた。可憐に潤んでいた黒い瞳は、いま狂気に揺れて悦びに満ち騒いでいた。ようく見ていてくださいね。さいしょで、さいごです。先ほど手首を切ったナイフの切っ先が、白い腹に触れる。

高村レイバン提督 @yachikaneko

やめろ、と叫ぼうとしたその瞬間。すぅ、と息を吸い込んで、きつく唇を引き結ぶと、留学生は横一文字に刃を滑らせた。ぱくり、と薄い皮膚が口を開き、赤黒い塊が雪崩れ出てくる。がくり、と倒れそうになった小さな身体を弾かれたように抱きとめる。ふたりの間を血のにおいが満たしてゆく。

高村レイバン提督 @yachikaneko

きつくきつく抱きしめて、赤黒い体液が溢れ出す唇に貪るようにくちづけた。いたいよ、しにたくないよ、ごめんなさい、しにたくない、あなたといっしょにいたかった、ごめんなさい、でも、あなたのものになりたかった。こんな時まで、息も絶え絶えなのに、この子の話す自分の国の言葉はうつくしかった。

高村レイバン提督 @yachikaneko

うつくしい言葉を紡いでいた留学生の唇が小さく震えて、ひとつ、言葉を遺す。「あいしています。」 彼の母国の言葉だろうか、消え入りそうなその言葉はやはり、うつくしかった。

高村レイバン提督 @yachikaneko

己の、咆哮が、聞こえた。耳を劈く獣の声。しかし、ぬるぬると臓物が自分の下半身を滑り降りていく感触に、嫌でも欲望が頭を擡げる。嫌なのに嫌なのに嫌なのに！ もう動かないその子のアヌスをまさぐり、屹立を穿つ。そこは既に弛緩が始まっているのか、血で滑り易々と己を受け容れる。

高村レイバン提督 @yachikaneko

「あいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてる」何度も何度も、留学生が遺した言葉を繰り返しながら。何度も何度も、その身体に精を放った。愛しい。もう動かない。その子に。