新生児と蟹にまつわる話

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HUNTER's LOG @hunterslog

要するに脱皮できない人間が年に一度送られてくる「スデ水」を浴びて脱皮をする、というイメージが禊の根底にはあるのだろうということだ。禊とは一種の擬似再生の儀礼であるのだから当然といえば当然だが。

2010-08-04 21:10:25
HUNTER's LOG @hunterslog

禊(みそぎ)を「身-削ぎ」であり、風葬において肉が脱落し骨が現れる、太古の骨神信仰に由来するものだろうと言ったのは吉野裕子氏だが、そうだとしても、中間的にはそこまで「削がず」に「脱皮」の方へ接続させておいた方があれこれ繋がる気がする。

2010-08-04 21:06:50
HUNTER's LOG @hunterslog

この若返りの水が月に由来する話は本土にも伝わり、『万葉集』にも「月読の持ちたる変若水」とあり、『竹取物語』までおそらく通じていくだろう。さて、それはともかく「脱皮」である。あたしは禊とは脱皮のことだろうと思う。

2010-08-04 21:03:01
HUNTER's LOG @hunterslog

どこのギルガメシュだという感じだが、宮古群島の話である。ちなみに使者のアカリヤザガマは失敗の罰で今でも月で桶を持って立たされているという。で、神は人を哀れんで、年に一度「スデ水(若水)」を送ってくれるとされ、これが宮古の節(シツィ)の祭りの由来となっている。

2010-08-04 20:56:48
HUNTER's LOG @hunterslog

月と太陽が人に不死を、心無い蛇に死を与えようと「スデ水」と「死に水」を使者にあずけて遣わす。が、使者が用を足している間に蛇がスデ水を浴びてしまう。仕方なく使者は人間に死に水を浴びせ、こうして蛇は脱皮して若返る生き物に、人は死ぬ運命になってしまった。

2010-08-04 20:51:13
HUNTER's LOG @hunterslog

蛇や蟹など「脱皮」を特徴とする生き物を「巣出物(スデムン)」という、ということだったのだけれどこの「スデ」はなんかあったな、と引っかかりつつ、思い出した。若返りの水「スデ水」のことである。

2010-08-04 20:46:30
HUNTER's LOG @hunterslog

「カニババ」は教えていただいた加守神社の「カニは香泥即ち胎児の垢」とあるのも同じでしょう。 RT @enmadoka @hunterslog カニババは秀逸でしたね

2010-08-02 21:39:56
HUNTER's LOG @hunterslog

かに座はヘーラクレースvsヒュドラー戦でお邪魔に入ったヘーラーの化けた大蟹のことでしょうけど、より古くに母性と直結する日本と似たような何かがあったかもですね。どうもギリシアと日本は同じコードが通る。 RT @enmadoka @hunterslog 蟹は西洋でも母性を…

2010-08-02 21:35:58
en madoka @enmadoka

@hunterslog  蟹シリーズおもしろく拝見 蟹座の女なんで! 蟹は西洋でも母性を現しますね 卵抱えてるからかな? カニババは秀逸でしたね

2010-08-02 21:26:23
HUNTER's LOG @hunterslog

などなど。南の海からの習俗として、生児と蟹は中々深い関係があったのですな。

2010-08-02 21:01:10
HUNTER's LOG @hunterslog

カニババ:生児がはじめてする便。胎便のこと。(中略)カニババを排泄することによって胎毒も排泄されると考えられ、カニババが出るまでは母乳を与えず、天草をはじめとする草木を煎じた汁(略・などを)生児に吸わせた。『日本民俗大辞典』

2010-08-02 20:58:42
HUNTER's LOG @hunterslog

蟹守(かにもり):奄美諸島や沖縄諸島で、赤子出生七日目の産室からの初外出のときに、赤子の額や身体の上に蟹を這わせる習俗のこと。『日本民俗大辞典』

2010-08-02 20:58:28
HUNTER's LOG @hunterslog

(要約)古く本土の平安貴族の生児の産着にも「蟹取小袖」というものがある。蟹・鶴・宝づくしなどの小紋をつける、という。『日本人の死生観』吉野裕子

2010-08-02 20:58:14
HUNTER's LOG @hunterslog

(要約)蟹や蛇など「脱皮」を特徴とする生き物を「巣出物(スデムン)」という。孵化・脱皮・生長のコードと「スデル」の模倣呪術の関係が興味深い。『日本人の死生観』吉野裕子

2010-08-02 20:58:03
HUNTER's LOG @hunterslog

(要約)南西諸島に共通する満産の儀礼。母が子を抱いて東庭に出て、太陽を拝ませる。赤子を抱く女性は頭から「カカン」をかぶり、蟹をはわせる。なづけをする。『日本人の死生観』吉野裕子

2010-08-02 20:57:46
HUNTER's LOG @hunterslog

いずれにしても産喪の空間とは「あちら」と「こちら」を新生児・死者が「移動」し、「変身する」というイメージで見ていくことが、周囲に出現するアイテムや式次第の解題に重要となる。

2010-08-01 19:49:23
HUNTER's LOG @hunterslog

そしてその「分離」をスムーズに運ぶ呪能を持つのが「箒」というわけである。お産の際に箒を立てかけると軽く安産する、などときわめて端的素朴にこれが用いられるケースも多い。一方の葬儀では遺体から魂を速やかに「分離」するアイテムとして箒が出てくるわけだ。

2010-08-01 19:47:11
HUNTER's LOG @hunterslog

蟹が新生児にあてがわれることと排除されることの両面を持つのは、この移行の次第に対応している。すなわち、まだこちらに定着しない新生児には蟹の脱皮の呪能をあてがいそれを促進させ、定着が済んだ後は「あちらの気」を持つものとして排除される。

2010-08-01 19:44:27
HUNTER's LOG @hunterslog

これが出産後数日を母子が産屋にこもって過ごす習俗などに現れており、その数日をおいて新生児は「人」として「こちらの世界」に定着した、とみなされたのだ。生まれたばかりの子はぼろ布で硬くくるまれ、この数日があけてようやくその布が解かれ(脱皮)、産着が着せられる。

2010-08-01 19:41:41
HUNTER's LOG @hunterslog

下のお話かなり要注目項なんでちょっと広げておきましょう。太古、出産とは「あちらのモノ」が、こちらに来て「人の形に」変身するというイメージのものだった。たとえば蛇神を祖とするなら胎児は蛇であり、出産の後、人の形に変身する。

2010-08-01 19:38:30
HUNTER's LOG @hunterslog

.@enmadoka で、蟹に箒ときたらもう『古語拾遺』のあの不思議なお話「箒を作りて蟹を掃ふ」ですね。これだと蟹が新生児に害のあるもののように見える。一方で新生児に蟹をあてがう風習があったりで、この辺大変面白いところです。

2010-08-01 19:33:38
HUNTER's LOG @hunterslog

箒ですねえ。これは汎ユーラシア規模の「分離」の呪能を持つ、出産にも葬儀にも出てくるアイテムですね。RT @enmadoka @hunterslog  蟹と出産はありますねえ 脱皮・・箒もセットですよね 加守神社 http://bit.ly/9Lls66

2010-08-01 19:30:59
en madoka @enmadoka

@hunterslog  蟹と出産はありますねえ 脱皮・・箒もセットですよね 加守神社http://www.d3.dion.ne.jp/~stan/txt0/n3kmr01.htm

2010-08-01 01:44:55
かはひらこ(跡地)@アカウント移行しました! @kawairako

@hunterslog へえ、蟹については心当たりがお有りなんですね!いつかご披露くだされば嬉しいです*・∀・* ほっほう、このようなものから伊勢にまで繋がるとは。。。ゴクリw

2010-07-31 21:31:30
HUNTER's LOG @hunterslog

蟹は海人族系で出産のコードに深く絡むんですよ。新生児に蟹をあてがう。多分脱皮にまつわる何かのイメージです。RT @kawairako @hunterslog なるほど、蟹ですかぁ!蟹自体、あまり伝説とか神使とかいう話は…

2010-07-31 21:14:55