「リディアンハウス殺人事件」 - 第17章 - 【事件編】「二日目の朝」

オリジナルミステリー小説「リディアンハウス殺人事件」のまとめです。
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作家:リディアン @arito_lydian2

二日目の朝がきた。 今にも土砂降りになりそうなぐらい、空がよどんでいる #lydianhouse

2012-10-31 08:06:35
作家:リディアン @arito_lydian2

風はビュービューと音をたてて吹いており、 その風にあおられた波が島の北側の岸壁に激しく打ち付けられていた。 みなもは数時間前の出来事を思い出していた──。 #lydianhouse

2012-10-31 08:07:35
作家:リディアン @arito_lydian2

ピストルを手にして物思いにふけていると、廊下から音が聞こえる。 誰か足音のようだった。 みなもはドアに耳を近づけて聞いてみた。 (「トン・・・トン・・・」) (「誰かな?」) (「しゃぺんです」) #lydianhouse

2012-10-31 08:08:15
作家:リディアン @arito_lydian2

(「君か、どうした?」) (「ちょっとお話があるのですが・・・ ・・・先生が行っている人体実験の件で」) (「き、君!何故そのことを!?」) (「裏の丘でお待ちしますね。では」) #lydianhouse

2012-10-31 09:42:46
作家:リディアン @arito_lydian2

──みなもは廊下に誰もいないのを確認し、屋敷の外へと向かった。 裏の丘からは海が見下ろせ、その下は一面の岸壁となっている。 。 #lydianhouse

2012-10-31 09:44:32
作家:リディアン @arito_lydian2

その岸壁の岩場に、洗濯物が飛ばされたようなものが引っかかっているように見えた。 しかしそれはよく見ると人の死体であった。 その人物は・・・せいじだった。 #lydianhouse

2012-10-31 09:44:54
作家:リディアン @arito_lydian2

彼の肌はすっかり灰色っぽく変色しており、唇は青に近い紫色をしていた。 彼は岩場に激しく被さる波によって打ち上げられたかのような格好で、岩と岩の間に手がはさまっていた。 みなもはその死体を確認すると、一つの決心を胸に、 しゃぺんの部屋に向かった。 #lydianhouse

2012-10-31 10:43:49
作家:リディアン @arito_lydian2

ドアをノックすると中から返事があった。 みなもはドアをそっと開けて中に入った。 しゃぺんはベッドに座っていた。 しゃぺん:「おう!おはよう。まぁ、座れよ」 しゃぺんはソファーを勧めたが、みなもは首を横に振り、そのまま立っていた。 #lydianhouse

2012-10-31 10:45:05
作家:リディアン @arito_lydian2

しゃぺん:「昨日は寝られたか? あー、それにしてもこの天気じゃあの迎えの船も来るのかどうか疑わしいな。それが来ないことには俺たちも帰れないし、警察だって呼べないんだぜ。まったく」 しゃぺんはその場を取りつくろうと、大げさな身振りをしつつ言った。 #lydianhouse

2012-10-31 10:47:20
作家:リディアン @arito_lydian2

みなも:「そうですね。ところで、せいじ様は・・・?」 しゃぺん:「ん?いないのか?また談話室かな。 あのおっさんはあそこがお気に入りみたいだしなぁ」 #lydianhouse

2012-10-31 11:51:07
作家:リディアン @arito_lydian2

みなも:「私さっき、裏の岸壁でせいじ様の死体を見ましたわ」 みなもがそういうとしゃぺんは一瞬ドキリとした表情を浮かべ、その後深刻そうな表情をした。 しゃぺん:「な、なんだって!せいじさんまで!?」 非常に変な間であったことは誰の耳にも明らかだった。 #lydianhouse

2012-10-31 11:51:34
作家:リディアン @arito_lydian2

みなも:「私・・・もう何が何だか!!!」 みなもはそう言って、しゃぺんの隣に座ってしゃぺんに抱きついた。 しゃぺん:「大丈夫、大丈夫だ。 きっとどこかに殺人鬼がいるんだ。 せいじもそいつに殺されたに違いない」 #lydianhouse

2012-10-31 11:52:39
作家:リディアン @arito_lydian2

しゃぺん:「ここに二人でいれば大丈夫だ。 俺が・・・お前を守ってやる!」 しゃぺんはそう言って、強くみなもを抱きしめた。 #lydianhouse

2012-10-31 13:24:45
作家:リディアン @arito_lydian2

しばらくの沈黙があった。 みなもはしゃぺんの胸に顔をうずめている。 しゃぺんはみなもの頭の後ろに手を回して抱いていた。 #lydianhouse

2012-10-31 13:25:10
作家:リディアン @arito_lydian2

ふと、方向性のない声がしゃぺんの体の中から耳に飛び込んできたような感覚を覚えた。 それはこの島では聞いたことのない声色であったが、 確かにみなもの口からしゃぺんに向けて発せられた言葉だった。 #lydianhouse

2012-10-31 13:26:12
作家:リディアン @arito_lydian2

しかも、以前に、かなり以前に、しかも何度も何度も聞いたことのあるような声。 何故か、懐かしくもあり、愛おしささえ感じる。 しかし、その発せられた言葉の内容は、そんな感情とは真逆のものだった。 #lydianhouse

2012-10-31 13:59:07
作家:リディアン @arito_lydian2

みなも:「ふふふ・・・もうとぼけても無駄よ。 あなたがみんな殺したんでしょう?」 (第17章:終) #lydianhouse

2012-10-31 13:59:33