Affair Story 『雨』まとめ

ツイッター小説(@affair_story_s)の『雨』をまとめました。
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Affair Story @affair_story_s

#twnovel 雨宿りしていると『雨』がやってきた。『雨』は俺の脇にある自転車を見て、眉尻を下げる。あ、これは自責の顔だ。俺は少し考え、自転車の荷台を叩く。「良かったら乗らないか?」「え?」「『風』とはよく乗ってるけど、お前とは乗ったことないなって思って。どう?」「……乗る」

2010-08-29 21:09:05
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#twnovel 「ほら、来いよ」俺の呼びかけに肩を竦めるのは『雨』だ。その姿はいつもと違って浴衣で、傘も時代劇に出てくるような和物。『雨』は落ち着かないように袖を弄りながら、「だ、だって、雨……」俺は吐息を一つ。『雨』の手を握って歩きだす。「急ぐぞ。祭りは始まってるんだからな」

2010-08-14 02:52:22
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#twnovel 「ああもう!埒が明かない!『風』!一気にやっつけるわよ!」「は、はい!やりましょう!」せーの、と。掛け声と共に、激しい雨が風に乗り『台風』を襲う。『台風』は全身にそれを浴び、「わはは心地いいなぁ! もっと! もっとおくれ!」「「いやああ!!」」……家に入ろう。

2010-08-11 14:14:04
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#twnovel その顔を見た途端、『風』と『雨』が全力で逃げ出した。しかし遅かった。二人は腕を掴まれ、引かれ、グルグルと。二人を掴んで回る『台風』は笑顔で、「わはは久しぶりだなぁ!」「い、いや! 離しなさい!」「うわああああん!」あー、このロリコンは早めにどうかせんといかんな。

2010-08-11 13:34:58
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#twnovel 空の一点を見るのは『風』と『雨』だ。「何してんだ?」「備えてるのです」「何に」「あいつに決まってるでしょ」分からない。俺が首を傾げたとき、後ろで何かが降り立つような音がした。振り返ればひげ面のおっさん。おっさんは笑い、「会いたかったぞー!」『台風』が暴れ出した。

2010-08-11 13:30:55
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#twnovel 雨が降り出した。急で、勢いが強い。夕立だろう。思っていると後ろで水たまりを踏む音がした。振り返れば、そこにいるのは息を切らした『雨』だ。息を整えることはせず、乱れたまま、手を胸に当て、「少し、しか、いられないからっ」乱れた息を飲み込み、笑顔で、「走って、来たっ」

2010-08-09 20:41:31
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#twnovel 鳴り出した携帯を耳にあてた俺は、聞こえてきた声に驚く。「久しぶりね」「ああ、久しぶり」沈黙。声が消えた事で、俺は窓を打つ音に気付く。「ねえ、今私がどこにいるか分かる?」「……そうだな、たぶん、分かる」向こう側の濡れた窓を開ければ、見慣れた傘を持った『雨』がいた。

2010-08-05 20:53:59
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「もし」コール音の後喋り出した俺は、しかし留守電の接続に口を閉じる。待ち、そして、「あー、俺だけど。その、元気にしてるかなって。たまには顔見せてくれよ。待ってるから」 #twnovel 音の止んだ携帯を屋根に置き、『雨』は眉尻を下げて空を見る。「会えるなら会ってるわよ、ばか……」

2010-08-04 22:44:26
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#twnovel 「何か勘違いしてねえか? テメエ」『運』は、はっ、と嗤い、「考えろ。『雨』は雨を止ますか? 『時』は時を戻すか? 無理だ。それが存在だ。いいか? オレの存在は人を救う事でも殺すことでもねえ。運を左右することでもねえ。願われてどうこう出来るモノじゃねえんだよ」

2010-07-29 02:43:32
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#twnovel 外を覗けば雨が降っていた。「今日は引き籠るかなー」「ちょっと」声に視線を下ろせば、腰に手をあてた『雨』が眉を寄せている。「私がいるから外に出れないっていうの?」「いや、そういう訳じゃ」俺は少し唸り、「久しぶりだし、何処か行くか?」雨が少し弱まり、出やすくなった。

2010-07-28 21:02:39
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外に出ると地面が濡れていた。俺は空を見上げ、ふむ、と頷く。前を見れば『風』が走っており、俺はその後を追うように同じ方向へ走り出す。 #twnovel 「あ、いた」声に振り返った『雨』が驚いた顔をする。俺は少し考え、「久しぶり」「……ええ、そうね」俺の走って来た空に、虹が架かった。

2010-07-27 17:33:24
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#twnovel 汗を拭いながら歩いていると、土手で『夏』が暑苦しく筋トレしていた。「お前、ちょっと気合入りすぎじゃないか?」「はは、そんな事ないよ! なにせ――」ニカッ、と笑顔を作り、「後は任せろと、『雨』に言ってしまったからね!」そんなこと言われると、何も言えないじゃないか。

2010-07-17 18:08:32
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梅雨は終わったはずだというのに一日延びた雨も終わりが近い。窓を開け空を見上げれば、雲は既に薄く、落ちてくる雨も弱い。ふと視線を下ろせば、『雨』がいた。その傘が高く掲げられ、「見納めなさい。私の頑張りを!」 #twnovel す――、と。空に、彼女にしか架けられない光の橋が現れた。

2010-07-16 02:43:57
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#twnovel [8] 俺は顔を寄せ、紡ぐのは一言。「頑張ったな」『雨』が息を吸い込む。僅かな震えがあり、しかしすぐに抑えられ、「ええ」『雨』が俺の腕を掴んだ。「私を、誰だと思ってるの?」解かれ、腕の温もりが前に消えていく。ただ、直前。傘の下、俺の腕に梅雨最後の雨が一粒落ちた。

2010-07-15 23:09:49
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#twnovel [7] 『雨』が横を通り過ぎる。降る雨は強さを取り戻し、振り返って見える後ろ姿は、揺るがない。俺は吐息をつき、足を進める。目標は、傘。近付き、傘を上に引っ張り中に入り込み、『雨』が振り返る時間も与えず後ろから緩く抱きしめる。「――っ」『雨』の体が硬くなった。

2010-07-15 23:09:10
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#twnovel [6] 「明日から、しばらく会えなくなるな」「そうね」「明日から暑くなるかな」「かもね」「今度はいつ会うかしら」「さあね」言葉を交わし、互いに笑みを交わす。俺の頭上から傘が離れ、いつもの定位置へ。傘の縁で目元を隠し、『雨』は口元で弓をひいて言葉を紡ぐ。「またね」

2010-07-15 23:08:47
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#twnovel [5] 『夏』の横を小さな笑みで抜けた『雨』は、そこで初めて気付いたという風に目を見開いて俺と目を合わせた。「よお、元気か?」「……ええ、元気よ」背筋を伸ばし、いつもの表情を顔に張り付けて、『雨』は俺の前に歩いてくる。そして俺の肩を見て、互いの中間に傘を掲げた。

2010-07-15 23:08:33
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#twnovel [4] 『夏』は声を張り上げた。「立つんだ!」傘が浮き上がり、『雨』の顔が覗く。「立て!あと少しだろう!頑張れ!役目を果たせ!」一言、一言。『雨』は言葉に押され立ち上がり、前へ進む。そして二人がすれ違い、『夏』はいつもの光沢のある笑みを浮かべ、「後は、任せろ!」

2010-07-15 23:08:21
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#twnovel [3] 『雨』は歩く。己の存在理由を満たしながら。しかし足取りはおぼつかなく、二歩前に歩いては一歩、横へ。ついには足が止まり、『雨』が身を沈める。まずい、と。俺は『雨』に駆け寄ろうとしたが、それより早く、別の影が俺を追い抜いた。――『夏』だ。

2010-07-15 23:08:07
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#twnovel [2] しばらく歩いてやっと頬に雨粒が落ち、しかし、いくら歩いてもその勢いは増さない。『雨』はどこだ。辺りを見回しながら歩けば、見慣れた傘がある。そして、その中にある表情は、見慣れたものではなかった。いつも自信に溢れていたその表情は、疲労の色に満ちていた。

2010-07-15 23:07:48
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#twnovel [1] 天気予報を見てみると、昨日までとは違い明日からは晴れが続いている。つまり、今日が梅雨の終わりということだろう。しかし外、空に雲を置いてはいるが、そこから雨は降ってはいない。今日の天気は、雨だ。俺は外に出て、雲の厚い方向を目指して足を進める。

2010-07-15 23:06:43
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#twnovel 「遊園地はー!」「雨だから無理よ!」「やだー! 何で雨なのー!」聞こえてくる声に、俺の隣で『雨』の肩に力が入る。「あー……」言おうとし、何も出てこない。しかし、「あーあぁ、あの坊主、可哀そうになぁ?」声は後ろ、見れば『運』がいる。その顔には笑みで、「運がねぇや」

2010-07-15 03:58:39
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#twnovel 外から響くのは水の音。天気予報は曇りなのにどういう事だと窓を開ければ、『雨』がいた。「よお、元気か?」「ええ、見ての通り」俺は空を見上げ、「予報当たらないなぁ」対し、『雨』は笑う。「天気は女心と同じなのよ? 私に会ったこともない奴に、私の事がわかると思って?」

2010-07-15 03:45:44
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#twnovel 音がしないと思って外を見てみれば雨が降っていない。これはチャンスだと外に出るが、数歩を歩いた所でぽつぽつと。家に戻るとまた雨が止み、外に出るとまた降り出す。一体何なんだ。眉をよせて外を見ると角から見覚えのある傘がはみ出ていた。俺は吐息を一つ、傘を持って外に出る。

2010-07-14 22:54:12
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#twnovel 雨宿りをしていると『雨』が来た。『雨』は俺の濡れた姿を見て腰のポーチに手をやり、「風邪薬よ。私のせいで風邪引いたとか言われるの嫌だから」「あー、ありがとう。でも……」首を傾げる『雨』に、「それって風邪引いてからじゃないと使えなくない?」一気に雨が降り込んできた。

2010-07-14 01:08:47